上昇組と下降組に分かれた東京23区・1年間の中古マンション価格騰落率。今、狙い目の区は?
「マンションレビュー」を運営するワンノブアカインド社が2月22日に「2023年1月 全国市区町村中古マンション価格ランキング100」を発表した。
同社は全国の市区町村で中古マンション価格が高い場所100カ所を、1ヶ月に1度発表。今回発表されたのは、2023年1月時点で「日本で中古マンション価格が高い場所はどこか」のランキング。それに加えて、ランキング上位の市区町村で中古マンション価格が1年前と比べてどのくらい上がったか、下がったかの騰落率も発表された。
中古マンション価格動向は、不動産市況を敏感に反映させる。そのため、1年間の騰落率はこれからの狙い目の場所を探すときにも役立つ。中古マンションが高い場所のランキングよりも、騰落率のほうが興味深いデータとなるわけだ。
たとえば、2023年1月時点で中古マンション価格が高い場所ベスト5は以下の通り。
第1位 東京都港区
第2位 東京都千代田区
第3位 東京都渋谷区
第4位 東京都中央区
第5位 東京都目黒区
ランキング20位までに東京23区のうち18区が入っていることも含めて、東京都心の行政区が大半を占めるのはいつもながらの結果で、驚きはない。
ちなみに、20位までに入っている市区町村で、東京23区以外なのは13位の東京都武蔵野市と17位の川崎市中原区だけだった。
これに対し、比べものにならないくらい興味深いのが、中古マンション価格が高い場所100カ所それぞれの価格騰落率。1年前となる2022年1月と比べ、今年1月にはどれくらい中古マンション価格が上がったか、下がったかの数値だ。
1年前と比べて中古マンション価格の上昇率が高かった場所はどこか。上昇率の高い順に並べると、上位には意外な市区町村名が出てきた。
全国で中古マンション価格上昇率の第1位は……
この1年、全国で中古マンション価格が大きく上がった場所の1位から20位までをあげてみよう。
注目したいのは、中古マンション価格上昇率が高い20位までに東京23区は1つも入っていないこと。そして、1位から20位までの市区町村では、中古マンションの価格がそんなに高くない、という点だ。
70平米換算で2000万円台、3000万円台のところが大半を占める。なかには2000万円を切る価格水準のケースもあり、4000万円を超える場所は1箇所もない。
マンションは新築だけでなく、中古マンションも価格が大きく上がっているとされるが、この調査結果を見る限り、取引されている中古マンション価格は常識的な価格水準である。
そして、「この1年で、中古価格が大幅に上昇したのは、郊外が多い」という特徴も見てとれた。
全国で最も大きく中古マンション価格が上昇したのは、千葉市の美浜区。JR京葉線の海浜幕張駅・検見川浜駅を中心にする海側のエリアだ。
海浜幕張駅周辺には幕張新都心という呼び名もあり、超高層のビルが目立つ。マンションが建つのは、その周辺部。この住宅エリアでは、近年、「幕張ベイパーク」という特大規模のマンションの販売が進んでおり、すでに生活が始まっている住宅棟では中古マンションの売り物も出ている。その価格が高く(5000万円以上が多い)、それがエリアの中古マンション相場を押し上げている可能性がある。
2位の東京都東村山市は、故・志村けんさんの出身地として知られる。こちらは、山側に位置する、穏やかな郊外エリアだ。
郊外であり、住宅地系の場所で中古マンション価格が大きく値上がりしているといえるのは、3位以下も同様。3位の名古屋市西区は、一部名古屋駅に近い場所があるが、多くは上小田井や中小田井に代表される郊外の住宅地だ。
4位の川崎市麻生区は小田急線の新百合ヶ丘駅を中心にした郊外の住宅地で、一部多摩ニュータウンの街区が含まれる。
5位の大阪市住之江区は都心部に近い場所だが、2025年に大阪・関西万博が開かれる予定の此花区同様、埋め立て地が多い場所で、住宅価格が抑えられている。
そのように、住宅地系でこれまで中古マンション価格が抑えられていた場所でこの1年、価格上昇が著しい……それが、今回の集計から見えてきた中古マンション市況の傾向といえる。
都心部でマンション価格が大きく上昇している、という報道が多いため、郊外の中古マンションに注目する人が増えた。それで、郊外部の価格上昇が目立つようになった、ということかもしれない。
それでは、マンション価格の上昇が著しいとされている東京23区内では、どのような動きが出たのか。
東京23区内における中古マンション価格騰落率を分析し、狙い目となる区を掘り起こしたい。
上昇組と下降組が分かれた東京23区
この記事は有料です。
資産価値はもう古い!不動産のプロが知るべき「真・物件力」のバックナンバーをお申し込みください。
資産価値はもう古い!不動産のプロが知るべき「真・物件力」のバックナンバー 2023年3月
税込1,100円(記事3本)
2023年3月号の有料記事一覧
※すでに購入済みの方はログインしてください。