幼稚園の登園拒否。子どもに楽しく通ってもらうために親ができる関わりって?
こんにちは!保育士ごんちゃんです。
現在、保育士として地域の公民館や療育教室で親子遊び講座をしたり、地域の保健師さんと一緒に子育て講座にまわったりするような働き方をしながら、子育てに関する情報発信をしています。
先日、おたよりフォーム宛にこんなご相談をいただきました。
【ペンネーム:たねさんより】
今回、5歳・年中クラスの息子の登園拒否傾向ついて、ご相談させていただけますと幸いです。
まず、息子の性質・性格についてお伝えすると、基本的に、とても優しい性格です。園ではすこし引っ込み思案な面も出ているかもしれません。何かするにしても、お友達に譲ったりするタイプかなと感じます。先生に伺うと、ひとりで黙々と作業をすることが多いです、とのことでした。
ただ、親しいお友達もいるようで、帰宅後にお友達と何をして遊んだか、毎日教えてくれます。
逆に自宅では、元気いっぱい!体を動かすのも大好きですし、少し暴れん坊なくらいです(笑)
こうやって、園と自宅と、バランスをとっているのかな?とも感じています。
息子は、1歳になる前から、今の認定こども園に通っています。私の住む地域の中では比較的規模が大きい園で、現在の年中クラスは2クラス・30人ずつの、計60人です。登園拒否傾向が強くなったのは、満3歳クラス(年少の一つ前のクラス)からで、実は、その当時、今の主人との再婚を意識するようになった時期でした。
私は、息子を疎かにするようなことはしたくなかったため、主人と2人で会うとしても、息子が園で過ごしている時、それ以外は息子を交え一緒に会うような形をとっていました。
ですが、息子にとっては「ママを取られる」という思いも強かったのか、登園拒否、「おうちにいたい、ママといたい」ということが多くなりました。そこからは、とにかく時間をかけ、焦らず家族の形を築いていきました。
そして、その後一旦落ち着き、2度目の大きな登園拒否は、年少の夏休み後でした。年少になり、新しく加わるお友達や、園でのルール、マナーのようなもの、覚えることが多かったりと、緊張感もあったのかもしれません。その頃、私の働き方も変わり、保育コースから教育コースへと変わったことで、園で過ごす時間も短くなり、息子はすこしだけ安心感を覚えたように見えました。
しかし、年少の夏休み後、激しい登園拒否で、泣きすぎて嘔吐してしまったことがあり…そこで、私は思い切って、1ヶ月ほどお休みをさせることにしました。
このときは本当に苦しく、色んな人から責められているように感じたり、自分の責任でこうなってしまったと自分を責めたり、とにかく苦しく長い時間でした。
ですが、そこからなんとか通えるようになり、息子にとっても高い高いハードルだったと思うのですが、なんとか一緒に乗り越えました。
その後、担任の先生から、「幼稚園に行きたくない、という自分の気持ちを受け止めてもらえて、
安心した気持ちがあったかと思います。一方で、1ヶ月登園しない間に、他の子ができることが自分はできない、という不安も生まれ、本人は大変だったかと思います」
と言うようなことを言われ、息子に申し訳ないような気持ちと、私のせいだ、という気持ち、でもあれでよかったんだ、と言う気持ちと、いろんな感情がぐちゃぐちゃに…
ちなみに、今の主人のお母さん、義母は、定年退職するまで保育士として勤めてきた人なのですが、
その義母に、「あのとき、ちゃんとお休ませてよかったんだよ。いつか爆発しちゃう時が来るなら、今でよかった」と言ってくれました。私はこの言葉にどれだけ救われたかわかりません。
また、主人も「自分は年少から3年間しか通わなかったけど、赤ちゃんの時から園でずっと過ごしているなんて、本当に偉いよ。〇〇ちゃん(息子)、頑張ってるね。」と言ってくれて、とても嬉しかったです。他人と比較して落ち込むことが多かった私を、主人、そして義母が支えてくれました。
そして、現在、年中クラスに通う息子。毎日のように「今日も幼稚園?」と聞かれ、「行きたくない」「おやすみしちゃダメ?」と泣かれることも度々あります。早めにお迎えをしたり、本当に難しい時は給食の前にお迎えに行ったり、ときには思い切ってお休みさせることも。
在宅ワークなのでどうにか調整できていますし、以前ほど、苦しいと感じることはなくなったのですが、なによりも、楽しく、明るい気持ちで幼稚園に通ってもらえたら嬉しいな、という気持ちです。
そのためのアクション、声がけなど、共有していただけますと、とても嬉しいです^^
非常に長くなってしまい、申し訳ありません…泣
今回はこちらのご相談内容をもとに、子どもの登園拒否に親としてどう関わっていけるか、一緒に考えていきたいと思います。
▼周りがよく見えているからこそ起こる集団への拒否反応
今回のご相談は、年中クラスに通う5歳のお子さんに幼稚園の登園拒否が見られることがあり、どう関わっていくのがよいかという内容ですね。
まずご相談者さんであるお母さんは、お子さんの性格について「基本的に優しい性格でお友達に譲ったりするタイプで、ひとりで黙々と作業をすることが多い」とおっしゃっています。
もしかすると、ひといちばい周りのことや状況を敏感に察知することができて、刺激を受けやすいタイプのお子さんかもしれないなと文面を読んで感じました。
クラスの人数も30人と多いので、大勢の中で過ごす幼稚園という集団生活に疲れやすい側面もあるのかもしれません。
0歳から6歳という乳幼児期は、「周りのことより自分のこと」という成長段階にいるお子さんが多いなか、周りのことによく気がついたり譲ったりできるのは一つの才能でもあります。
実はわたし自身も幼い頃から集団生活で刺激を受けやすいタイプだったので、記憶がはっきりしている頃でいうと特に小学校に入ってからは「学校に行きたくない」と思う日が多々ありました。
いじめがあるなど特別嫌なことがあるわけではないのに、集団生活には幼いながらに気を遣うことも多くて疲れやすく、家のほうが居心地がよくて行きたくない気持ちがしていました。
今回のご相談のケースでも「親しいお友達もいるようで、帰宅後にお友達と何をして遊んだか、毎日教えてくれます。」とおっしゃっていて、対人関係に問題があるということではないように思います。
登園拒否の主な原因としては、家に居心地の良さを感じていることや、周りがよく見えるからこその集団生活への拒否反応ではないかと考えられます。
▼日々の関わりで大切な2つのこと
おたよりの中で「逆に自宅では、元気いっぱい!体を動かすのも大好きですし、少し暴れん坊なくらいです。こうやって、園と自宅と、バランスをとっているのかな?とも感じています。」とおっしゃっているように、家に居心地の良さや安心感を感じられているというのはとても素晴らしいことです。
その他のエピソードからもお母さんが息子さんの気持ちを大切に、日々関わっていらっしゃることが伝わります。お子さんの様子を見て少し休ませる期間をつくるなど、臨機応変に対応されていて素敵だと思います。
そのため、基本的な関わりのスタンスは今までのままで何の問題もないと思います。
ただ「明るく楽しい気持ちで幼稚園に通ってもらえたら嬉しいなという気持ちで、そのためのアクション、声がけなど、共有してほしい」とおっしゃっていますので、親子の関わりで大切にしてほしいことについてお伝えします。
子どもの気持ちを受け止めること
子どもに「幼稚園に行きたくない」と言われた時は、「行きたくないんだね」とその気持ちを受け止めて共感し続けることが大切です。
もしかしたらもう普段の関わりで意識されていることかもしれないのですが、子どもにとって親が自分の気持ちを分かってくれているということは大きな安心感につながります。
そして離れて過ごす時間もその安心感をよりどころに、外の世界でがんばることができるようになります。
私自身も幼少期に学校に行きたくないと思う日があったものの、実際はなんとか学校に行っていました。(今ほど学びの選択肢が多様でなかったことも大きいと思います。)
何とか通えていたのは、学校で辛いことや気疲れすることがあっても「家に帰ってお母さんに話そう、お母さんなら分かってくれる」という安心感があったことが大きかったです。
幼児期の子どもの場合、行きたくない理由をうまく言語化できない場合も多く、子どもから発されるメッセージとしては「行きたくない」「おうちにいたい」ということだけであることもありますよね。
そんな時も「なんで行きたくないのか」を追求しすぎる必要はなく、ただただ「行きたくないんだね」「いつもがんばってるもんね」と共感してあげてほしいと思います。
家庭を居心地のいい安心できる場所にすること
今回のご相談者さんの場合、これはもうすでに日々の関わりの中でできていらっしゃるように感じますが、家庭を子どもにとって安心できる場所にし続けてほしいと思います。
厳しくしつけたり、園で他の子と同じようにできないことをがんばらせたりする必要はありませんので、家ではリラックスできてのんびり過ごせる環境を作ってほしいです。
理由としては、外で刺激を受けやすかったり周りのことがよく見える子ほど疲れやすい面もありますし、外の環境で十分がんばっていることが多いので、家ではしっかりと休んだりゆっくりしたりすることが大切だからです。
そのためにできる声かけとして、「幼稚園に行って帰ってきたら、これをしようか」など、お子さんが好きなことをする楽しみを用意しておくのもいいと思います。
▼親も「無理せずできること」をする
子どもが幼稚園や学校に行きたくないと言った時、わたしは無理して行かせなくていいと考えています。今は学びの選択肢も多様になっていて、学校でしか学べないことはありません。
しかし、子どもに無理して登園させないようにしようと思うと、逆に親が無理してしまう場合が考えられます。
登園せずに自宅にいるということは、その分親が子どもと一緒に過ごさなければならず、仕事の調整をする必要があったり、自分の時間がなくなってしまったりします。
今回のご相談者さんは、在宅ワークなのでなんとか調整できているとおっしゃっていますが、子どもに無理をさせないことで親の生活に支障をきたしすぎることがあると、結果親が無理することになってしまいます。
そのため親は孤独にがんばりすぎることなく、無理せずできる限りのことをするようにしてほしいと思います。子どもにとっては、親がイライラせずに笑顔でいてくれることがいちばんです。
子どもをひとりで外のコミュニティに通わせたり預けたりすることが難しければ、身内で頼れる人に自宅に来てもらったり、もし身内を頼れなければ公共や民間のサービスなどを利用したりして親も無理しすぎないようにしてほしいです。
子育てをしていると登園拒否に限らず、親が子どもに「こうなってほしい」と望む状況にならないことってありますよね。
わたしたち親は、子どもの気持ちや行動を思い通りにコントロールすることは不可能なので、自分が無理しすぎずにできる最大限のことをして、あとは子どもを信じて待つしかないんですよね。
すぐに解決する問題じゃない分、もどかしい思いをすることがあると思いますが、親子で安心できる信頼関係を築いていく良いチャンスでもあります。
周りの人に頼りながら、無理しすぎずに子どもの成長を見守っていきましょう!
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今回も最後まで読んでくださりありがとうございました。また次回の記事でお会いしましょう!