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ボジョレー・ヌーボーいよいよ解禁!2017年は悪天と高温で「希少かつ芳醇」なワイン

森さやかNHK WORLD 気象アンカー、気象予報士
(写真:アフロ)

フランスの詩人ビクトル・ユゴーは「神は水を作ったが、人はワインを作った」と言い、小説家ゲーテは「ワインのない食事は太陽の出ない一日」と言うなど、ワインの妖艶な力に魅了される人は数知れません。

いよいよ新酒ボジョレー・ヌーボーの解禁が明日(16日)に迫っていますが、2017年のワインの出来はどうなのでしょう。

2017年ワインの評価

ボジョレー栽培醸造研究機関のChatelet氏によると、今年のワインは「酸味と果実味とタンニンが見事なバランスで整っている。今世紀最高の出来と言われた2015年を彷彿とさせる芳醇さがあり、溌剌さとエレガンスさも兼ね揃えている」とのことで、かなり評価が高いようです。

美味しさの原因(1)夏の高温

その良質なワインの原因には、まず夏の高温と晴天が挙げられるでしょう。

一般にワインの糖度は光合成によって作られますが、日射が多く気温が高いと、より植物が盛んに光合成を行い、ワインのボリューム感が増します。今年8月は特に気温が高く、例えば南部ボルドーの気温を見ると、月全体で平年より1℃も高くなっていました。この暑さのおかげで、例年より早くブドウが実り、記録的に早い収穫ともなったようです。

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美味しさの原因(2)春と初夏の悪天

一方、春や初夏に起きた悪天もまた、美味しいワインを作り出した原因と考えられます。何だか矛盾して聞こえるかもしれませんが、理由はこうです。

4月下旬ボジョレー等では気温が氷点下に落ち込み、霜やブドウの木々が凍結するなどの事態が発生、最大で9割の木に壊滅的な被害が出ました。加えて7月10日に起きた雹の嵐で、特にボジョレーでは被害が広範囲に及び、多くのブドウの実が落ちてしまいました。結果、フランスの今年のブドウ生産量は1945年以来最悪になったと言われています。

しかしブドウが落ちてしまったことで、残された果実に栄養が行き渡り、良質のワインにつながったと考えられるのです。

今年のワインは希少かつ至高の逸品。多くの生産者の方々の苦労と、悪天に耐え抜いたブドウに感謝をし、2017年のボジョレーをいただきたいと思います。

NHK WORLD 気象アンカー、気象予報士

NHK WORLD気象アンカー。南米アルゼンチン・ブエノスアイレスに生まれ、横浜で育つ。2011年より現職。英語で世界の天気を伝える気象予報士。日本気象学会、日本気象予報士会、日本航空機操縦士協会・航空気象委員会会員。著書に新刊『お天気ハンター、異常気象を追う』(文春新書)、『いま、この惑星で起きていること』(岩波ジュニア新書)、『竜巻のふしぎ』『天気のしくみ』(共立出版)がある。

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