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北米に大寒波 日本にも今週後半から寒波襲来

増田雅昭気象解説者/気象予報士/ウェザーマップ所属
北半球の寒波の様子(8日・上空約1500m気温)。濃い青の中心部ほど低温。

北米を、非常に強い寒波が襲っています。

特に影響が大きくなっているのが、米国中西部から東部にかけて。凍結や雪などにより、交通事故の多発や航空便の混乱などが起こっています。今回の寒波は、ここ20年で最も強いとも言われています。

北米の寒波より強い、東アジアに向かう寒波

強い寒波は、北極圏から流れ出します。

現在、南に向かって流れ出しているのは二つ。北米を襲ったものと、東アジアに向かってシベリアを南下中のものです。これらを比較すると、実は、東アジアに向かっている寒波のほうが強いのです。

地上の気温を予測する際に参考にするのが、上空約1500メートルの気温です。北米を襲ったものは、最も強い所で-31℃から-33℃前後。一方、東アジアへ南下中の寒波は、最も強い所で-39℃から-41℃前後です。

寒さをやわらげる日本海

ただ、寒波は南下を続けるうちに、地面付近からの熱を受けとるなどして、少しずつぬるく(それでも、十分に低温ですが)なっていきます。

特に日本海の海水温は10℃前後あり、寒波をやわらげる役割をしてくれています。ですので、日本では、今回の米国ほどにはなりません。

ただ、日本海上で発生する雪雲が流れ込むため、日本海側では雪の量が多くなる恐れがあります。

また、北海道は北に位置しているうえに、寒波が通る日本海の距離が短く、どうしても寒波の影響が強く出ます。内陸では-25℃前後か、ことによってはそれ以下の所も出てくるでしょう。

たしかに“最強”寒波だが…

9日以降、日本付近に来る寒波は、「最強寒波」などと言われていますが、これは「今季」の「これまでで」最も強いということです。言い換えると、今後さらに強い寒波が来る可能性も、あと1か月くらいは否定できません。

一方、今回の寒波の日本での強さは、冬のピークには毎年のようにやってくるレベルです。

必要以上に恐れることはありませんが、毎年のように多くの方が犠牲になる除雪時の事故が起こりやすいタイミングでもあります。

高齢者への声かけや、複数人数で除雪ができる準備など、前もってできる対策をしたいものです。

気象解説者/気象予報士/ウェザーマップ所属

TBSテレビ・ラジオ気象キャスター。大学在学中に気象予報士を取得し、民放キー局の報道番組に学生予報士として出演。気象キャスターに携わりながら、企業への予報やアドバイザーも長年担当し、甲子園での高校野球の大会本部気象担当を務めたこともある。災害から身を守る気象情報の使い方など講演も行うほか、Twitterで気象情報を毎日発信。著書に『TEN-DOKU クイズで読み解く天気図(ベレ出版)』がある。1977年滋賀県甲賀市生まれ。

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