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台風21号は今年最も強い勢力に 秋台風のコースで火~水曜に上陸へ

増田雅昭気象解説者/気象予報士/ウェザーマップ所属
台風21号の進路予想図(ウェザーマップ)

 台風21号は発達を続け、今年最も強い勢力となっています。今夏の台風でたびたび見られた複雑な動きをするようなことはなく、コースはしぼられつつあり、来週の火~水曜に列島に上陸する可能性が高そうです。

猛烈な勢力まで発達

 台風21号は、台風で最も強いランクの「猛烈な」勢力にまで発達。中心気圧は915hPaと今年最も強い勢力に並び、まだ発達を続ける見通しです。

 コース上の海水温が高いため発達しやすく、上空の空気の流れも台風が渦を発達させるのに適した環境となっています。

 

 本州付近に接近する頃には、さすがに勢力は少し落ちるでしょうが、それでも災害をもたらすには十分な力を持って接近しそうです。

秋台風のコースで接近

 今夏は、本州を東から西へ進み逆走台風ともいわれた12号など、変わった動きをする台風もありましたが、今回の21号はおかしな動きをすることはありません。

 列島には今週末、秋雨前線が南下し、天気は秋のパターンに移りつつあります。秋雨前線のすぐ北には、上空を強い西風、偏西風が流れています。

 夏は偏西風が本州付近になく、風に乗れない台風が迷走しやすいのですが、秋台風は最終的に偏西風に流され、フラフラせず北上する台風がほとんどです。

5日(水)の上空5000m付近の風の流れ。ピンクの矢印が強い風を表す。台風はこの風に流される。(気象解析支援システムAPLAより)
5日(水)の上空5000m付近の風の流れ。ピンクの矢印が強い風を表す。台風はこの風に流される。(気象解析支援システムAPLAより)

 週明けには、偏西風が列島上空で大きく蛇行し北東方向へ流れます。台風21号はその流れに乗り、弧を描くように少しずつ東へカーブして加速する、秋型のコースで北上します。

 あとは、台風21号が北上しながら、小さく曲がるのか、大きく曲がるのか次第となりますが、いずれにせよ接近のタイミングは、何日もずれるようなことはもうありません。予定変更の検討や、実った農作物の早めの収穫など、今週末にできることをなさってください。

気象解説者/気象予報士/ウェザーマップ所属

TBSテレビ・ラジオ気象キャスター。大学在学中に気象予報士を取得し、民放キー局の報道番組に学生予報士として出演。気象キャスターに携わりながら、企業への予報やアドバイザーも長年担当し、甲子園での高校野球の大会本部気象担当を務めたこともある。災害から身を守る気象情報の使い方など講演も行うほか、Twitterで気象情報を毎日発信。著書に『TEN-DOKU クイズで読み解く天気図(ベレ出版)』がある。1977年滋賀県甲賀市生まれ。

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