自閉症の画家が描く、壁一面の絵画にただただ圧倒される作品展【神戸市】
真っ赤な背景に描かれた十二支の動物たち。壁一面を使い切るほどの大きさの絵を描いたのは、石村嘉成さん。アーティストとして世界的に評価されている彼は、2歳の頃に重い自閉症と診断されました。
昔から、生き物にしか興味を示さなかったという嘉成さん。彼が描く動物たちの絵は皆、キャンバスの上で生命力に溢れていて、まるで向こうの世界からこちらを覗き込んでいるかのようです。
「今年も良い年でありますように」というタイトルの十二支の絵は、岡山県の能楽堂ホールで行われた個展で、能舞台に飾られました。三ヶ月を費やして描かれた力作です。
迫力があり圧倒されてしまう作品ですが、動物たちの目がとても優しくて見守られているような感覚にもなるから不思議です。そこが嘉成さんらしさなのかもしれませんね、動物たちの心の部分がクローズアップされて、賑やかな言葉が聞こえてきそうな作品の数々。
「虎と竜が真ん中にいて、平和な毎日が訪れるように祈っています」と、嘉成さん。この日は会場に彼のご家族がいらっしゃって、ギャラリーに来る人たちに気さくに声をかけられていました。
朗らかな雰囲気の嘉成さんとご家族ですが、嘉成さんが11歳の頃に母親を亡くすという辛い経験を乗り越え、過去の様々な苦労の末にようやく今があるのだといいます。
「医学的には治療法が確立されていない自閉症ですが、適切な療育によって日常生活を獲得し、才能を開花しました。同じような悩みを持っている人に伝えたい。悩んでいる人は多いだろうから」と、お父さんの和徳さんが話してくれました。
今回初となる関西での個展。「色んな人たちが出会い、交流する場としてあったら」と、版画刷り体験のワークショップも開催しています。作品は持ち帰れるそうで、大人も楽しんでできるワークショップです。
ワークショップと同じ日に、講演会もあります。講演内容は和徳さんが、嘉成さんに行った療育に関する詳しいお話をしてくれるそうです。
ワークショップは1/28(土)の14:00~・15:00~・16:00~の三回、特別講演会&ライブドローイング18:00~で、どちらも500円で参加できます。既に予約多数なのだそうですが、まずはお問い合わせくださいね。
今、製作中の絵はなんと23メートルの大きさなのだとか。一年がかりで描いているそうなのですが、アンモナイト、ティラノサウルス、マンモスなど古代の生き物たちがテーマです。これは愛媛県の美術館で飾られるというお話。
フランスやベルギー、オランダなどの国際的な賞を受賞し、国内のコンクールでも高い評価を受けている嘉成さん。そんな今に至るまでの人生を描いた映画「青いライオン」が現在製作中です。
映画には「こども本の森 神戸」の名誉館長、竹下景子さんも出演されるそうで来春の公開予定ということですよ。
自己肯定感の積み重ねによって、人をおもてなすまでになれたという嘉成さん。「みんなが作品を見て元気になって、笑顔になってほしい」と、今日も絵を描き続けます。神戸市中央区文化センターでの展示は10階にて拝観無料。
ただただ圧倒される素晴らしい絵画に、出会いに行ってみては。
石村嘉成展 ~作品は僕のことば~
1月8日(土)~2月11日(土)
神戸市立中央区文化センター10階ラウンジ 無料
ワークショップ
1月28日(土)14:00~・15:00~・16:00~
9階スタジオ 500円
特別講演会&ライブドローイング
1月28日(土)18:00~ 1階多目的ルーム 500円
お問合わせ:078-381-7899
場所:神戸市立中央区文化センター
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