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きゃりーぱみゅぱみゅ、武道館ツアーファイナルで全62曲を完走!【祝10周年】

ふくりゅう音楽コンシェルジュ
きゃりーぱみゅぱみゅ photo by AKI ISHII

圧巻のライブだった。きゃりーぱみゅぱみゅという世界へ誇るポップアイコンの底力を見せつけられた驚異のステージ。人気曲やアッパーチューンの数々を全62曲、ほぼノンストップでダンスし続け、限界まで歌いまくった満員の武道館公演。笑顔で挑戦し続ける姿を見て、感動のあまり心を揺さぶられ涙する観客もたくさんいた。そして何より、楽曲の素晴らしさを思い知らされ、この10年の成長を感じられたきゃりー自身の人間力のすごさに圧倒されたパフォーマンスだった。2022年、必ずや記録と記憶に残るであろう伝説のライブをレポートしよう。

10月19日(水)、きゃりーぱみゅぱみゅが歌手活動10周年を祝う、6年ぶりの日本武道館公演『きゃりーぱみゅぱみゅ 10th ANNIVERSARY JAPAN TOUR 2022 -TOUR FINAL- UMA 105』を開催し、ツアーを締めくくった。

Zaiko Connectからも世界配信された本公演(※アーカイヴあり)は、ツアーファイナル限定のスペシャルな内容となった。ステージもきゃりーらしさ溢れる独特なセンスだ。天井にはミラーボールを足にしたUFO、中央には目玉が目立つ照明鮮やかな巨大ピラミッド、ステージ脇には毒々しいキノコや巨大タコの足が垣間見える不可思議なセット。

驚くべきはツアー中のセットリストを一新。開演前からの客入れSE含め、きゃりーが誇るオリジナル楽曲82曲(※バージョン、リミックス違いなどは抜き)をフルバージョン、ショートバージョン、メドレーを織り交ぜ、過去10年の間に発表してきたミニアルバム『もしもし原宿』(2011年)、アルバム『ぱみゅぱみゅレボリューション』(2012年)、『なんだこれくしょん』(2013年)、『ピカピカふぁんたじん』(2014年)、『じゃぱみゅ』(2018年)、『キャンディーレーサー』(2021年)や各種シングル収録曲、そして、所属事務所アソビシステムと契約するきっかけとなったきゃりーが敬愛する中田ヤスタカ&こしじまとしこによるユニットCAPSULEのカバー作品までを、一気に駆け抜けていく画期的な構成によるライブとなった。

オープニング映像では、今日1日のキーワードである“UMA 105”について、これまで発表してきた全105体の未確認生物、いや105曲を意味することを解説しながら、ピンクのドレスなファッションでマスクを被ったきゃりーが登場。

きゃりーぱみゅぱみゅ photo by AKI ISHII
きゃりーぱみゅぱみゅ photo by AKI ISHII

しかも、いきなりの“撮影OK”の指示。誰もが知る人気チューン「インベーダーインベーダー」、代表曲である「PONPONPON」へとたたみかけていく。武道館フロアに12発増設された低音が鳴り渡るスピーカーの威力もすごい。世界レベルの圧巻なサウンドだ。

記念すべき武道館公演は、デビュー当時の面影を感じさせるダンス、演出を彷彿とさせながらも、この10年にわたる経験で日本を代表するポップスターとなった進化を堪能させてくれるステージとなった。それもそのはず、4月には、世界最大級の音楽フェス『コーチェラ・フェスティバル2022』への出演も果たし、海外からも音楽的に高い評価を受けているのだ。さらに今回、きゃりーをサポートしたダンサーはキッズ時代からKPPダンサーとして活躍したメンバーで、月日を経て大人に成長してから再度共演を果たしたこともあり、10周年という時の重みが感慨深い。

きゃりーぱみゅぱみゅ photo by AKI ISHII
きゃりーぱみゅぱみゅ photo by AKI ISHII

この日最初のMCでは、10年の感謝について「日本武道館へお越しのみなさんこんばんは! ツアーファイナルへようこそ。(タイトルの)UMAというのは未確認生物というわけで、105という数字は私が今までリリースしてきた楽曲となります。今日は、ほとんどの楽曲を披露したいですけどいいですか?」と、盛り上げる。会場には、きゃりー歴代の衣装をコスプレしたファンの姿も多かった。ペンライト片手に、目にも鮮やかな華やかなるオーディエンスたち。

この10年で音楽シーンは大きな変化が起きた。きゃりーぱみゅぱみゅの登場は鮮烈だった。原宿カルチャーやKawaiiカルチャーをビジュアルやファッション、音楽や言動で牽引し、YouTubeでのミュージックビデオ「PONPONPON」の拡散をきっかけに一気に世界へその存在を知らしめた。ケイティー・ペリー、レディー・ガガ、Charli XCXなど、世界中のスターがきゃりーの存在に大きな影響を受けているのだ。

通算19曲目では、キラーチューン「つけまつける」が登場。カラフルかつ派手派手しい出で立ちで、プロデューサー中田ヤスタカとともに作り上げてきたきゃりーぱみゅぱみゅのアイデンティティーとも言えるナンバーをダンサブルに披露。イントロから鳥肌ものの瞬間だ。

続けて名作アルバム『なんだこれくしょん』からのメドレーをプレイ。勢いを一切止めずにフルで展開していくキラーチューン「きらきらキラー」、「もんだいガール」、「Crazy Party Night~ぱんぷきんの逆襲~」への流れが凄まじかった。まさに熱狂のオーディエンス。

UMA役で出演したダンサーは、特徴が異なる4種のモンスターということで、きゃりーのアイデアによりまったく違うダンスジャンルのダンサーが4名起用された。テクニカルかつ華麗なバレエを披露したFLAT WOODS MONSTER役のOkapi〜、長身を活かした迫力あるHIPHOPをカマしたイエティ役のSHO→TA、スタイリッシュなヴォーギングで会場を釘付けにしたMOTHMAN役のRandy、安定感抜群の軽やかなHOUSEステップをキメまくったチュパカブラ役のbrownと、実力派が武道館に集結した。

きゃりーぱみゅぱみゅ photo by AKI ISHII
きゃりーぱみゅぱみゅ photo by AKI ISHII

途中、インターミッションとしてUMA姿のダンサーがそれぞれの得意スタイルで踊るバレエ調な「完全形態」、HIP HOP調な「きみのみかた」、ヴォーギング調な「スローモ」、HOUSE調な「じゃんぴんなっぷ」を矢継ぎ早に披露しながら後半戦へと突入。

アッパーなイントロダクションから「DE.BA.YA.SHI. 2021」、「キャンディーレーサー」といった圧巻のEDMモードへ。そして8月にSNSで開催された『Adobe DANCE VIDEO FES』ダンスビデオ投稿キャンペーンで選ばれた最優秀グループ “GASHI crew”の3人組ダンサーが「どどんぱ」で登場。ダンサブルかつ海外仕様なサウンドが繰り広げられていく日本武道館。

時代を彩るヒット曲の多さにあらためて感銘を受けつつ、世界的キラーチューン「ファッションモンスター」におおいに湧くオーディエンス。

続いて、きゃりーの名を広めた傑作アルバム『ぱみゅぱみゅレボリューション』パート、さらにCAPSULEカバー曲パートへと鮮烈にメドレーしていく。この10年、きゃりーの活躍を振り返るとしたら、欧米での人気の獲得が大きかった。さらに、昨年からはタイや韓国などTikTokでの現地ユーザー発信によるバズを受けて過去曲「PONPONPON」、「チェリーボンボン」のリバイバルヒット現象も同時多発的に勃発しているのだからおもしろい。

あらためて完成度の高さを見せつけられたEDMポップな「原宿いやほい」、オリエンタルを感じさせるメロウなポップチューン「かまいたち」で盛り上がりが止まらないフロア。

さらにカンフースタイルな「ガムガムガール」をフルでダンサブルにパフォーマンスするきゃりー。

ここからは、今こそ語り合いたい大名盤アルバム『じゃぱみゅ』パートのメドレーへと走り抜け、ああ、もうなんだか某24時間テレビのマラソンな気分だ。そう、ゴールはもうすぐ高鳴るハイテンション。追い打ちをかけるように「にんじゃりばんばん」、「最&高」で大団円を迎えながらも、オーディエンスの熱狂はまだまだ止まらずアンコールへ。

鳴り止まないアンコールの拍手に応えて、衣装を令和スタイルなきゃりーへ着替えての登場。アイデンティティーである頭の上の大きなリボンも健在だ。

MCで「声がガサガサになりました。ほんとに歌いすぎたかも。ガサガサのままいきますね(苦笑)。10周年のツアーファイナルを一緒に迎えていただきありがとうございます。わたしは高校生の頃にファッションが好きになって。その当時は街を歩いてたらクスクス笑われて。あ、変な子歩いてるなとか。頭にでかいリボン付けてる変な子がいる、みたいな存在だったんですね。でも、それが自分は普通だと思っていたし。だけど、きゃりーぱみゅぱみゅとしてアーティスト活動をして。名前も、ノリでつけたところがあるから、こんな11年間も活動できるなんてほんと思っていなくて。それには、わたしを支えてくれているスタッフの皆さん、そして今日集まりの会場のみなさんのおかげで、今のわたしが武道館のステージに立てています(涙)。ほんとうにありがとうございます。人生で3回も武道館に立てると思ってもいなくて……」と涙を浮かべ深々と頭を下げた。さらに「これから先も自分がやりたいことを表現していきたいと思っています。世の中の“なし”を“あり”に変えられる存在になれるように、これから先の10年も頑張っていきたいと思います。本当にありがとうございます! 嬉しい〜」と宣言した。

きゃりーぱみゅぱみゅ photo by AKI ISHII
きゃりーぱみゅぱみゅ photo by AKI ISHII

さらに、きゃりーは満員のオーディエンスへ向けて「わたしの今日の武道館のテーマは、限界を超えることでした。自分には不可能かなと思っていることも、意外とやってみたら出来ることってあると思うんです。それを今日わたしはダンスで体現しました。声もこんなにカラカラになる程歌えて幸せです! 明日は起き上がれないし、声も出ないと思うので、休養しま〜す(苦笑)」と、ポーズを付けて笑いを誘った。そう、不可能を決めつけず限界を超えていく未確認生物=UMA105とは、きゃりーぱみゅぱみゅ本人だったのだ。

ここからは、エンタメ業界がインターネットの浸透によって一気に大変貌を遂げた10年という荒波を、巨大なるポップアイコンというイメージをひとり背負って乗り越えてきたポップスター、きゃりーぱみゅぱみゅの“現在”が垣間見れるパートとなった。新曲の誕生秘話について「ツアーでめずらしく水着を買って海に行ったら、岩場に足が当たって、10針以上縫いました(苦笑)。キレイに縫ってくれて目立たなくなってきたけど、この傷自体も自分自身だから愛していきたい。そう思って、ミュージックビデオも脚の傷が歌い出す作品になっています!」と語り、10周年というターニングポイントにふさわしいエレクトロポップな「一心同体」をプレイ。

ラストは、“さよなら”じゃなく“またね”と歌う、最新ツアーでもおなじみのエンディング・ソング「ちゃんちゃかちゃんちゃん」で全62曲、ほぼノンストップでダンスしまくりのパーティーを完走。奇跡のような日本武道館公演となった。熱狂の渦のままに乗り越えたきゃりーぱみゅぱみゅ。本公演を経て、またひとつ大きな成長を遂げたように思う。まさに”最新のきゃりーは最強のきゃりー!“であることを証明した伝説となるステージ。

きゃりーぱみゅぱみゅ photo by AKI ISHII
きゃりーぱみゅぱみゅ photo by AKI ISHII

11月には、世界最大規模のダイバーシティな音楽フェス『True Color Festival THE CONCERT 2022』への出演も発表。きゃりーがデビューしてすぐに一躍世界的に人気となったきっかけを作ったケイティ・ペリーとの初共演を果たす。次なる10年へ向けて、さらなる活躍が楽しみでしょうがない。

追記:本来アンコールで披露したかったであろう重要ナンバー「原点回避」をやらなかったことは、愛嬌あるきゃりーらしさであり、結果、ほぼ全曲披露というある種“原点回帰”を受け入れたライブとなったことが物語性として偶然の意味性を発揮していて面白いと思った。なので、「原点回避」はミュージックビデオでどうぞ!!!

【アーカイブ配信】

10th ANNIVERSARY JAPAN TOUR 2022 -TOUR FINAL- UMA 105

Zaiko Connectにて全世界配信

配信期間:2022年10月19日(水)~2023年1月19日(木)

https://connect.zaiko.io/e/kpp10

【LIVE INFORMATION】

『True Colors Festival THE CONCERT 2022』

■2022年11月19日(土)開場 16:00 / 開演 18:00

■2022年11月20日(日)開場 15:00 / 開演 17:00

会場:東京ガーデンシアター

お問合せ

True Colors Festival THE CONCERT 2022 事務局

ハローダイヤル:050-5541-8600(9:00~20:00 無休)

メールアドレス:tcc@truecolorsfestival.com

『きゃりーぱみゅぱみゅ Special Live 2022 ~Back To Coachella~』

日程:2022年12月20日(火)

場所:なんばHatch(大阪府)

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日程:2022年12月21日(水)、22日(木)

場所:EX THEATER ROPPONGI(東京都)

【最新リリース】

2022年10月5日配信リリース

『一心同体』(中田ヤスタカ プロデュース)

1.一心同体

2.一心同体(Instrumental)

3.一心同体(TV edit)

オフィシャルサイト

http://kyary.asobisystem.com

音楽コンシェルジュ

happy dragon.LLC 代表 / Yahoo!ニュース、Spotify、fm yokohama、J-WAVE、ビルボードジャパン、ROCKIN’ON JAPANなどで、書いたり喋ったり考えたり。……WEBサービスのスタートアップ、アーティストのプロデュースやプランニングなども。著書『ソーシャルネットワーク革命がみるみるわかる本』(ダイヤモンド社)布袋寅泰、DREAMS COME TRUE、TM NETWORKのツアーパンフ執筆。SMAP公式タブロイド風新聞、『別冊カドカワ 布袋寅泰』、『小室哲哉ぴあ TM編&TK編、globe編』、『氷室京介ぴあ』、『ケツメイシぴあ』など

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