北朝鮮フィギュアペア、平昌五輪でメダルなるか!?カナダ合宿共にした韓国ペアが語ったその実力と素顔
平昌冬季五輪が開幕し、各競技で熱戦が繰り広げられている。一方で、スポーツとは関係のない北朝鮮応援団もまた連日、様々な話題を振りまき、日本メディアでも加熱報道が続いている。
そんな中、アイスホッケー女子の韓国と北朝鮮の合同チーム「コリア」にも注目が集まっているが、初戦のスイスに0-8(10日)、第2戦のスウェーデンに0-8(12日)と大敗。
本来、別々のチームである北朝鮮が、韓国チームに加わることで、懸念されていた通り戦術が機能しないまま、本番を迎えてしまった感は否めない。
それでも14日に控えている日本戦で一矢報いたいところだろう。
ここまでの平昌五輪に関する北朝鮮報道と言えば、管弦楽団や美女応援団、「コリア」合同チームにスポットライトが当たっているが、実は今大会、密かにメダルを狙っている北朝鮮選手がいる。フィギュアペアのリョム・テオク、キム・ジュシクの2人だ。
「ユニゾン」が強み
14日にフィギュアペアのショートプログラム、15日にフリーが行われるが、そこにリョムとキムのペアが出場する。
先月、台北で行われた四大陸フィギュアスケート選手権に出場し、ショートプログラム(SP)とフリーで自己ベストを更新して3位に入り、同大会北朝鮮初の銅メダルを獲得したばかり。
私は同大会終了後に、台北のホテルで2人に話を聞くことに成功したのだが、「五輪ではもっといい演技を見せたい」と笑顔を見せていた。
参考:超厳戒態勢の北朝鮮フィギュアペアのプライベートに接触成功!四大陸選手権で知った日本ファンとの秘話
リョムとキムは2015年からペアとなり、2016年8月の「アジアン・オープン・フィギュアスケート・トロフィー」(フィリピン)、同11月の「2016年メラノカップ」(イタリア)の両大会で金メダル。さらに2017年2月の札幌冬季アジア大会では銅メダルを獲得している。
ペアを組んで今年で3年目。2人の成長の陰には、昨年8月からの約2カ月、カナダで受けたブルーノ・マーコットコーチ(2015、16年の世界選手権で優勝したデュハメル・ラドフォードペアなどを指導)の演技指導があった。
世界に通用する技術と演技を習得することで、国際大会で結果を残せるようになったわけだ。
フィギュアスケート関係者によれば、「リョムとキムの強みは、『ユニゾン』(男女の動きの同等性)」だというが、そんな彼らの実力を間近で見てきたのが、平昌五輪に出場する韓国フィギュアペアのキム・キュウン、カム・ガンチャン。
昨年8月のカナダ合宿で一緒に練習して、親睦を深めた。
キムチとキムパプで仲良く
キム・キュウンとカム・ガンチャンは、北朝鮮ペアととても仲が良い。特に女性同士になると会話が弾んだそうだ。
先月の四大陸フィギュア選手権で、キム・キュウンに北朝鮮ペアとの仲について詳しく聞くことができた。
「久しぶりに会ったときは『元気にしてた?』とか、お互いを気遣った会話から始まります。私が北朝鮮ペアの2人と初めて会ったのは、去年2月の札幌冬季アジア大会です。そのあと8月に私たちが合宿しているカナダに2人が来たのですが、そこで練習しながら仲良くなりました。カナダでは北朝鮮の女性コーチがキムチを漬けてくれて、私たちもキムパプ(海苔巻き)を作って一緒に食べたりしました。(リョム・)テオクは本当に恥ずかしがり屋で、そのしぐさがとてもかわいらしいんです(笑)」
パワフルな演技力が特徴
そんな交流を続けているうちに、互いにスケートの評価もするようになった。
「こういうところがうまいとか、意見交換をしていました。北朝鮮ペアはスケートの技術が高くてセンスがあります。それに加えて、強さと耐える力があります。パワフルで演技力も十分。学ぶ点がたくさんあります。逆に私たちの演技を見て『スケートの技術は高いし、演技力がある。とてもいいペアだね』と言ってくれました」
切磋琢磨しながら、練習を重ね、実力に磨きをかけてきた北朝鮮と韓国のペア。明日のフィギュアスケートペアSPで演技を披露する。
韓国のキム・キュウンは、北朝鮮ペアと大舞台に立てることを素直に喜んでいた。
「一緒に五輪に出場できてすごくうれしい。とても意義深いことですし、五輪では共にいい思い出を残したいです」
平昌五輪に出場するフィギュアペアにはカナダ、アメリカ、ロシアなどの強豪国がひしめく。
そんな中で、韓国ペアもその実力を認める北朝鮮ペアが、メダル獲得に向けてどのような演技で観客を楽しませてくれるのか注目したい。