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ダルビッシュのリハビリ登板には、伝説の名選手の血を引くプレーヤーが出場していた

宇根夏樹ベースボール・ライター
ダルビッシュ有(テキサス・レンジャーズ)FEB 24, 2015(写真:USA TODAY Sports/アフロ)

テキサス・レンジャーズ傘下のAA、フリスコ・ラフライダーズが5月1日に行った試合で、最も注目を集めたのはダルビッシュ有だった。けれども、この試合には他にも、興味深いプロフィールを持つ選手たちが出場していた。

その一人が、ラフライダーズの4番手として最終回に登板した、30歳のマット・ブッシュだ。12年前にドラフト全体1位指名を受け、そこから真っ逆さまに転落した歩みについては、前に「堕ちたトップピック・コンビ結成!? 出所したドラフト全体1位がレンジャーズに入団」で書いた。今シーズンは、5月4日までの10登板で防御率2.57、奪三振率9.00、与四球率2.57を記録し、5セーブ機会すべてにおいて成功している。このまま好投を続ければ、今シーズン中にメジャーデビューする機会が巡ってきてもおかしくない。

もう一人は、本人というよりも、その血統に目を惹かれる。ラフライダーズの「7番・DH」として出場したジョー・ジャクソンは、1919年のワールドシリーズで起きた八百長事件「ブラックソックス・スキャンダル」に連座して永久追放となった“シューレス”・ジョー・ジャクソンの血を引いている。映画「フィールド・オブ・ドリームス」と「エイトメン・アウト」(原作は「シューレス・ジョー」と「エイトメン・アウト」)に登場するシューレス・ジョーと言った方がわかりやすいかもしれない。映画では、レイ・リオッタとD.B.スウィーニーがそれぞれ演じている。

ライフライダーズのホームページに掲載されているジャクソンの略歴には「グレート・グレート・グレート・ネフュー(甥)」とある。続柄に明るくないため、日本語で何と呼ぶのかわからないが(ご存じの方がいらっしゃればご教示ください)、「グレート・ネフュー」が「甥あるいは姪の息子」で、そこからさらに2代離れるということだろうか。

5月5日に24歳を迎えたジャクソンは、2013年のドラフトで5巡目・全体160位指名を受けた。プロ入り当初は捕手だったが、現在はシューレス・ジョーと同じ外野手。もともと、右投げ左打ちという点は共通していた。トップ・プロスペクトではないものの、昨シーズンはA+のハイデザート・マーベリックスで110試合に出場し、打率.298、出塁率.366、10本塁打、33二塁打を記録した。数年後にメジャーデビューを果たせば、その時は話題になるはずだ。

また、この試合でダルビッシュの球を受けたクリス・ジメネスは、ダルビッシュが2014年に最も多くの試合でバッテリーを組んだ捕手だった(22登板中12度)。ジメネスはこの試合の3日後、金銭トレードでクリーブランド・インディアンスへ移籍した。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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