なぜデ・ブライネは「世界最高のMF」と称されるのか?グアルディオラの信頼...紐解かれるシャビの言葉
マンチェスター・シティが、好調だ。
プレミアリーグ第31節でリーズに敗れたシティだが、首位の座を譲ってはいない。2位マンチェスター・ユナイテッド(未消化1試合)との勝ち点差は11ポイントで、優勝に向けて邁進している。
チャンピオンズリーグでは準決勝ファーストレグでホームにボルシア・ドルトムントを迎えて2-1と勝利しており、シティはベスト4進出に向けて前進している。シティ対ドルトムントの一戦では、アーリング・ハーランドに注目が集まっていた。だが、違いをつくったのはケヴィン・デ・ブライネだった。デ・ブライネはシティの先制点を記録。決勝点のシーンでは、アシストしたイルカイ・ギュンドアンのランニングを見逃さずに正確なフィードを送っていた。それだけではなく、試合を通じて正確なキックとコントロール、ポジショニングで確実にドルトムント守備陣の穴を突いていた。
「ハーランドは素晴らしい選手だ。それは数字が物語っている。だがフットボールはチームスポーツだ。我々には1億ユーロ(約128億円)以上の選手は買わないという方針がある。1億ユーロ以上の選手を買うことが競争的な意味合いでアドバンテージになるとも思えないけれどね」とはグアルディオラ監督の弁である。
■チームスポーツと中盤の重要性
グアルディオラ監督が語るように、フットボールはチームスポーツである。
なかでも中盤の構成力は試合の鍵を握る。バルセロナの黄金時代にはセルヒオ・ブスケッツ、シャビ・エルナンデス、アンドレス・イニエスタが中盤に君臨した。そのチームを率いていたのは、グアルディオラ監督に他ならない。
近年のフットボールにおいて、中盤の重要度は増している。
チャンピオンズリーグで3連覇を達成したレアル・マドリー(カゼミーロ/クロース/モドリッチ)、2018-19シーズンの欧州王者リヴァプール(ファビーニョ/ヘンダーソン/ワイナルドゥム)、昨季の欧州王者バイエルン・ミュンヘン(ゴレツカ/キミッヒ/チアゴ)と強豪には頼れるMFがいた。
今季のチャンピオンズリーグで8強に名を連ねたドルトムント(ダフート/ベリンガム/エムレ・ジャン)、パリ・サンジェルマン(ヴェッラッティ、パレーデス、ゲイェ)、チェルシー(ジョルジーニョ/コバチッチ/カンテ)、ポルト(セルジオ・オリベイラ/ウリベ/グルイッチ)、シティ(ロドリ/ギュンドアン/デ・ブライネ)、中盤に3枚配置する形とダブルボランチでローテーションする手法で異なるが、ミドルゾーンを厚くする各チームの考え方は一致している。
■メッシの次点
シティは先日、デ・ブライネと2025年までの契約延長を行った。
デ・ブライネはシティ加入以降、公式戦255試合に出場して65得点101アシストを記録している。
今季のプレミアリーグでは24試合5得点11アシストを記録しているデ・ブライネだが、ギュンドアン(24試合12得点2アシスト)、ベルナルド・シウバ(23試合2得点4アシスト)、ロドリ(28試合1得点1アシスト)以上にゴールに絡んでいる。
「デ・ブライネは私が指導した中でベストプレーヤーの一人だ。(リオネル・)メッシがいるが、彼は別次元。だがメッシの次にはデ・ブライネがくる」とはグアルディオラ監督の言葉である。
「デ・ブライネがチームにいるのは本当に素晴らしい。彼は特別な選手だと思う。常にどういうプレーすべきかを心得ている。ポジショニングはいつも的確だ。彼がチームにいることは幸運だよ。我々と共にプレーを楽しんで欲しい」
「デ・ブライネという人間を深く理解しているわけではない。だが彼は落ち着いていて、家族と共に過ごすのを好み、トレーニングや試合を待ち遠しいと思うようなタイプだ」
■ブレイン
歴史を紐解けば、常勝のチームには「ピッチ上の監督」と称されるような選手がいた。
シャビ、アンドレア・ピルロ、ガビ・フェルナンデス...。オーケストラの指揮者のようにタクトを振るい、試合を読む力に長け、攻守においてポジショニングで効果を出し、指揮官のマインドをプレーを通じて体現していた。
こんにちでは、中盤の選手に走力が求められるようになっている。加えて、得点力、2列目からの飛び出す能力などが要求される。そういったアビリティを兼ね備えているのが、まさにデ・ブライネである。
「デ・ブライネは世界最高のMFだ。違いをつくれるし、信じられないクオリティを備えている。彼は別次元にいるというのが僕の見解だ」
現在、アル・サッドで指揮を執るシャビ監督が、そうデ・ブライネを称賛している。世界最高のMF--。そんなデ・ブライネを擁するシティが、タイトル獲得に近づいているのは、何かを暗示しているのかもしれない。