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元WBAスーパーライト級王者、崖っぷちでKO勝ち

林壮一ノンフィクション作家/ジェイ・ビー・シー(株)広報部所属
Amanda Westcott/SHOWTIME

 2連敗中だった元WBAスーパーライト級王者、マリオ・バリオス(27)がウエルター級転向第2戦でKO勝ちを飾った。

 故郷であるテキサス州サンアントニオのリングに上がったバリオスは、同じく2連敗中だったジョバニー・サンチアゴ(33)を8ラウンド1分42秒で沈めた。7回までのジャッジ3人のスコアカードは、いずれも70-63でバリオスのリードを伝えていた。

Amanda Westcott/SHOWTIME
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 14勝(10KO)3敗1分となったサンチアゴも、自身に後が無いことを十二分に理解していたであろう。が、6ラウンド1分に右を喰らい、ロープに凭れかかる。その直後、バリオスはボディと顔面に左を打ち込み、サンチアゴをグロッキーにした。サンチアゴは右目を腫らし、深刻なダメージを受ける。

 ここぞとばかりにバリオスは左フックをヒット。サンチアゴは何とか同ラウンドを凌いだが、元世界チャンプのパンチを浴び続け、崩れ落ちるしかなかった。

Amanda Westcott/SHOWTIME
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 CompuBoxの数字は、バリオスの優勢を裏付けるものであった。この27歳の元世界チャンプは、サンチアゴよりも90発多くパンチを放っていた。地元の観衆に後押しされ、試合中もエンジン全開といった調子だった。

Amanda Westcott/SHOWTIME
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 バリオスは試合後に語った。

 「素晴らしい気分だ。このリズムを掴むのにしばらく時間がかかった。でも、とてもいい気分だよ。トレーナーのボブ・サントスと姉が我がチームにいることに心から感謝している。自分はフィジカルを強化する必要があった。その成果を感じる。サンチアゴが出てくることは分かっていた。彼はとんでもない闘志のある男だ。脱帽だね。

 だからこそ、少しずつ彼を崩していった。我慢しなければならない時間帯もあった。右のカウンターは、ラスベガスのジムで練習してきたものだ。自分は間違いなくウエルター級のトップ選手たちと肩を並べている。まだまだ証明しなければならないものがある。またサンアントニオに世界タイトルを持ってくるつもりだ」

 バリオスにとって、サンチアゴは咬ませ犬に過ぎなかった。ただ、生き残ったことは事実である。元WBAスーパーライト級チャンプは次に何を見せるか。

ノンフィクション作家/ジェイ・ビー・シー(株)広報部所属

1969年生まれ。ジュニアライト級でボクシングのプロテストに合格するも、左肘のケガで挫折。週刊誌記者を経て、ノンフィクションライターに。1996年に渡米し、アメリカの公立高校で教壇に立つなど教育者としても活動。2014年、東京大学大学院情報学環教育部修了。著書に『マイノリティーの拳』『アメリカ下層教育現場』『アメリカ問題児再生教室』(全て光文社電子書籍)『神様のリング』『世の中への扉 進め! サムライブルー』、『ほめて伸ばすコーチング』(全て講談社)などがある。

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