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台風ラッシュ 上陸しやすい曜日は?

片山由紀子気象予報士/ウェザーマップ所属
台風24号の予想進路図(9月28日午後3時現在、ウェザーマップ作画)

 台風24号は非常に強い勢力を保ったまま、30日(日)に西日本にかなり接近し、上陸する可能性が高い。過去、台風の上陸は火曜日が多いが、土日はニュースに触れる機会が減り、被害が拡大しやすいという。平日の今のうちに、職場や家庭で台風への備えを話し合いたい。

台風24号の大きな眼

 日本付近の雲を見渡すと、一番に目に飛び込んでくるのが台風24号の雲です。だれでも気がつく台風の雲、さらに眼が大きければなおさらです。台風24号の眼の大きさはどのくらいあるのでしょう。

 こちらは28日(金)正午の気象衛星ひまわり8号がとらえた台風24号の雲です。上図が赤外画像、下図が可視画像です。

気象衛星ひまわり8号がとらえた台風24号の雲:上図は赤外画像、下図は可視画像(2018年9月28日正午,著者作成)
気象衛星ひまわり8号がとらえた台風24号の雲:上図は赤外画像、下図は可視画像(2018年9月28日正午,著者作成)

 台風の西側に見える台湾の大きさが約400キロとすれば、眼の大きさは半分くらいでしょうか。通常、台風の眼は20キロから200キロと言われています。

 台風24号の眼はやや楕円で、眼のふちが不規則な形をしています。天気予報の番組でよく使われる赤外画像では黒い眼に見えますが、太陽光を反射した可視画像では眼のなかにも細かい雲があるのがわかります。

 眼のパターンにはいくつか種類があり、このような大きな眼は黒潮が流れている海域で見られるそうです。

台風24号 加速して30日(日)に上陸か

 台風24号は28日午後3時現在、宮古島の南東約280キロにあります。前日の夕方は宮古島の南東約500キロでしたから、この24時間で動いた距離は220キロ、時速10キロ程度のノロノロです。

 しかし、今後は少しずつ動き始めるでしょう。29日(土)午後以降、動きが速くなり、九州に近づく頃には時速30キロ程度、北海道では時速80キロと加速する見通しです。

 今は嵐の前の静けさ、暴風雨は突然やってきます。

上陸が最も多いのは「火曜日」

 以前、【気象の統計学】台風は火曜日が好き?というコラムに書きました。それから5年、今はどうなのだろうかと調べてみると、今でも変わらず、台風の上陸は火曜日が多いのです。偶然とはいえ、自然の不思議さに驚きました。

台風が上陸した日を曜日別に調べたグラフ(1980年から2017年まで,著者作成)
台風が上陸した日を曜日別に調べたグラフ(1980年から2017年まで,著者作成)

 今年はどうでしょう。日曜日、火曜日、水曜日、木曜日と週半ばが多いです。どの曜日に台風が来ても、大変なことに変わりはありません。

 しかし、土曜日と日曜日は会社や学校が休みの一方で、ニュースに触れる機会が減り、暴風雨に気がつくのが遅れやすいとの指摘があります。

 平日の今のうちに、職場や家庭で台風への備えを話し合いましょう。

【参考資料】

菊池明弘,2004:第2章 Dvorak法による台風の強度推定,気象衛星画像の解析と利用-熱帯低気圧編-,気象衛星センター.

西村修司,2005:衛星画像を用いた台風解析,第39回夏季大学 新しい気象学 台風・集中豪雨テキスト,日本気象学会.

片山由紀子,2013:Yahoo!ニュース個人【気象の統計学】台風は火曜日が好き?

気象予報士/ウェザーマップ所属

民放キー局で、異常気象の解説から天気予報の原稿まで幅広く天気情報を担当する。一日一日、天気の出来事を書き留めた天気ノートは128冊になる。365日の天気の足あとから見えるもの、日常の天気から世界の気象情報まで、天気を知って、活用する楽しみを伝えたい。著作に『わたしたちも受験生だった 気象予報士この仕事で生きていく』(遊タイム出版/共著)など。

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