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横浜-秀岳館激突! 夏の甲子園 組み合わせ決まる

森本栄浩毎日放送アナウンサー
夏の甲子園の組み合わせが決まった。いきなり横浜と秀岳館の優勝候補同士がぶつかる

 夏の甲子園の組み合わせが決まった。今大会からは、この日の抽選で3回戦までのやぐらが決まるため、勝ち上がりの予想は立てやすい。強豪が集中したゾーンもあるため、2回戦から登場チームが日程的には断然、有利だ。

彦根東が初勝利めざし開幕戦に ~初日

 開幕戦は、今大会わずか8校しかない公立同士。春夏5回目の甲子園で初勝利を狙う彦根東(滋賀)が波佐見(長崎)に挑む。

彦根東の増居は、県大会の滋賀学園、近江戦で完投勝利。甲子園初勝利の期待がかかる
彦根東の増居は、県大会の滋賀学園、近江戦で完投勝利。甲子園初勝利の期待がかかる

彦根東の増居翔太(2年)は、伸びのある直球が武器。村中隆之監督(48)は、「自分たちの野球を全国に披露するには最高のクジ。はつらつと戦いたい」と意欲を見せる。先制点が大きなポイントになりそう。第2試合は済美(愛媛)と東筑(福岡)。東筑の青野浩彦監督(57)は、「26年前も初日の第3試合で、ずいぶん待たされた。今回は第2試合で少しはマシかな」と苦笑い。横手投げの石田旭昇(2年)が粘り強く投げて、愛媛決勝で20安打した済美の強打をかわしたい。第3試合は初出場の東海勢同士。藤枝明誠(静岡)の中田悠斗主将(3年)は、「前半がすべてだと思う。3回までしっかり守りたい」と初出場校らしいコメント。津田学園(三重)は5人の下級生が打線を引っぱる。

作新は強打の盛岡大付と  ~2日目

 夏の連覇を狙う作新学院(栃木)は、強打が看板の盛岡大付(岩手)と当たる。「去年に比べると目立つ選手はいないが、チームとしてまとまってきた」と作新の小針崇宏監督(34)。左腕大関秀太郎(3年)に篠原聖弥(3年)が成長し、投手陣は万全だ。盛岡大付は、主砲植田拓(3年)が予選4本塁打と好調で、関口清治監督(40)は、「とにかく打ち合いに持ちこみたい」と力勝負で勝機をうかがう。第2試合は伝統の松商学園(長野)と31年ぶりの土浦日大(茨城)が対戦。土浦日大は、打線が粘り強くエース富田卓(2年)を援護して甲子園をつかんだ。松商学園も上位打線が好調で、富田がどこまで踏ん張れるか。第3試合は、前橋育英(群馬)と山梨学院の実力派関東勢同士。ケガでセンバツを棒に振った吉沢悠(3年)が完全復活し、投打に戦力アップした前橋育英に対し、山梨学院の吉田洸二監督(48)は、「試合をしたことはないが、強いことだけははっきりしている。最後まで食らいついて、最後に勝負をかけたい」と僅差の展開を期待した。第4試合の日大山形と明徳義塾(高知)も好カード。4年前の準々決勝で当たって日大山形が勝っている。荒木準也監督(45)は、「あのときは勝ち上がっていたから勢いもあった。今回は初戦だから」と控えめながらも、「3回までしっかり守りたい。ふた周り目から勝負をかけたい」と再度の難敵撃破に燃える。明徳の山口海斗主将(3年)は、「こちらに来てからチームの調子が上がってきた」とセンバツ初戦敗退の雪辱に自信を見せた。

常連校がどんな戦いするか  ~3日目

 3日目は常連校が相次いで登場する。木更津総合(千葉)が、第1試合で日本航空石川と。木更津総合は、左腕山下輝(3年)が急成長し、2年連続出場につなげた。左打者が多い航空石川は、山下のスライダーをしっかり見極め、粘り強く攻めたい。圧倒的な強さで埼玉大会を制した花咲徳栄は、開星(島根)と第2試合で対戦する。徳栄は、高橋昂也(広島)のような大黒柱はいないが、打線の援護が早く、5人の投手をうまく使いまわした。開星も打線好調で、打ち合いか。11年連続の聖光学院(福島)は、初出場のおかやま山陽と。ともに複数の投手が競って力をつけてきた。聖光の経験が上回るか、決勝引き分け再試合を勝ち抜いた山陽の勢いが勝るか。第4試合は早稲田佐賀と聖心ウルスラ(宮崎)の九州対決。ウルスラの戸郷翔征(2年)は、184センチの長身から力のある球を投げる。早稲田佐賀が、少ない好機をどう得点に結びつけるか。

横浜-秀岳館など豪華カードずらり  ~4日目

 4日目は豪華なカードが揃った。広陵(広島)と中京大中京(愛知)の優勝経験校同士は、1回戦屈指。左腕磯村峻平(3年)ら速球派4人が揃う中京に対し、広陵は大黒柱の左腕平元銀次郎(3年)がチームの浮沈を握る。中京は継投機がポイントになるか。ともに守りから崩れることは考えられず、ハイレベルな攻防になりそうだ。会場が沸いたのは、横浜(神奈川)と秀岳館(熊本)の対戦が決まったとき。トップクラスの戦力、実績を持ち、勝敗は優勝争いに直結する。投手力で秀岳館、打撃で横浜に分があり、どちらが主導権を握るか。予選5本塁打の増田珠(3年)ら右の強打者が並ぶ横浜打線に、左腕2枚の秀岳館投手陣がどう挑むか。秀岳館の鍛冶舎巧監督(66)は、「展開はやってみないとわからない。高校野球のお手本のような試合をしたい」と3大会連続4強の貫禄を示す。横浜の平田徹監督(34)は、「注目されて嬉しい」と話し、逸材と評判の左腕及川(およかわ)雅貴(1年)について、「大切に育てたいが、どこかで投げさせたい」と起用に含みを持たせた。続く第3試合も興南(沖縄)と智弁和歌山の優勝経験校同士がいきなり当たる。興南は、左腕宮城大弥(1年)の加入で、劇的に戦力がアップした。智弁和歌山も、下級生が成長して、秋の近畿コールド負けから立ち直った。チーム力が不安定ではあるが、ベテラン監督の采配もあり、いい試合になりそう。

抽選札を手にした大阪桐蔭の福井主将。4日目の登場で日程的にはまずまずだ
抽選札を手にした大阪桐蔭の福井主将。4日目の登場で日程的にはまずまずだ

そして第4試合で、大阪桐蔭が登場し、米子松蔭(鳥取)と対戦する。松蔭の左腕辰己晴野(2年)が粘り強く投げて接戦に持ち込みたい。松蔭は、予選の初戦で中国大会優勝の鳥取城北を倒して波に乗った。

北海-神戸国際大付はスラッガー競演  ~5日目

 5日目は3試合。まず、滝川西(北北海道)と仙台育英(宮城)の対戦。49番目に出場が決まった仙台育英は、予選準決勝の東陵戦で延長15回引き分け再試合を制して代表キップを手にした。西巻賢二主将(3年)は、「疲れはありません」とキッパリ。左腕長谷川拓帆(3年)がセンバツ初戦敗退の雪辱なるか。滝川西はしっかり守って得意の接戦で勝機をうかがう。第2試合は日本文理(新潟)と鳴門渦潮(徳島)の一戦。文理の大井道夫監督(75)は、今夏で勇退が決まっている。「何とか私を甲子園へ、と選手たちの気持ちがベンチにいても伝わってきた。監督冥利に尽きる。甲子園で終われて幸せ」と大井監督。渦潮も合併(鳴門工と鳴門第一)後、初の甲子園で、左腕河野成季(3年)が安定している。文理は継投策か。第3試合から2回戦で、2つ勝てば8強。この枠が日程的にも最高と言える。

神戸国際大付の岡野は春から急成長。予選も準々決勝以降で2完封含む3連続完投勝利
神戸国際大付の岡野は春から急成長。予選も準々決勝以降で2完封含む3連続完投勝利

昨夏準優勝の北海(南北海道)と神戸国際大付(兵庫)という実力校がぶつかる。北海は、昨年も中軸を打った川村友斗(3年)が予選4本塁打と健在。平川敦監督(46)は、「(去年の)経験者がチームの財産になっている」と信頼を寄せる。国際は、岡野佑大(3年)がエースに成長し、故障の左腕黒田倭人(3年)をカバーした。主砲猪田和希(3年)が、予選で勝利に直結する本塁打を放っていて、両校とも中軸打者が打てば勢いづくはずだ。

天理-大垣日大 試合巧者同士  ~6日目

 2回戦の4試合が行われる。元プロの中村良二監督(49)が就任後、初の大舞台となる天理(奈良)は、常連の大垣日大(岐阜)と。「先制、中押し、ダメ押しの野球をやりたい」と、1986(昭和61)年同校初優勝時の主将でもあった中村監督の理想は高い。ともに試合巧者で、ミスが勝敗を分けそう。甲子園初勝利を狙う三本松(香川)は初出場の下関国際(山口)と対戦。2年生が多く、勢いのある下関国際打線が、三本松のエース佐藤圭悟(3年)をどう攻略するか。第3試合に登場する明桜(秋田)の輿石重弘監督(54)は、公募で4月に就任した。早速、結果を出したが、寮で選手と生活し、メンタルトレーニングも採り入れるなど、短期間でチームをまとめた。強打線の二松学舎大付(東東京)に一丸で挑む。第4試合は明豊(大分)と坂井(福井)。坂井の左腕吉川大翔(3年)は制球がよく、連打を許さない。予選5試合でチーム本塁打9本の明豊打線も大量点は見込めないだろう。

京都成章の北山に注目  ~7日目

 初戦終盤の7日目に登場するのは、まず京都成章と神村学園(鹿児島)。昨年の京都翔英-樟南に続く同府県対決だ。

京都成章の北山は、182センチの恵まれた体から最速146キロの速球を投げる
京都成章の北山は、182センチの恵まれた体から最速146キロの速球を投げる

成章のエース北山亘基(3年=主将)は、予選49回で60三振を奪った近畿屈指の右腕。接戦に持ち込めば勝機十分だ。センバツにも出た高岡商(富山)は、予選で日大三、早稲田実に完勝した東海大菅生(西東京)と。エース左腕土合伸之輔(3年=主将)は、「ボール球を打たせる投球ができるようになった」と春からの成長を強調。大黒柱の左腕で難敵を倒せるか。そして相手が決まらなかったのが青森山田。かつては県外生が多数を占めていたが、今回はほぼ全員が県内出身で、新しい姿を見せてくれそうだ。開幕戦の勝者と対戦する。

桐蔭は左腕との連戦か

 今回は3回戦まで抽選はない。初日第3試合から2日目第2までは一つ目のヤマ。ここは作新と盛岡大付の勝者が一番手か。2日目第3から3日目第2までは激戦。前橋育英、明徳、木更津総合、徳栄など粒揃いだ。3日目の第3から4日目第2までのヤマは、広陵ー中京の勝者と横浜ー秀岳館の勝者が2回戦で当たる。大阪桐蔭が入った次のヤマは、桐蔭が勝っても興南と智弁和歌山の勝者が待ち受ける。ここには仙台育英もいて、8強までの道のりは険しい。このヤマは左腕エースが多いので、これまでから左腕に苦戦することが多かった桐蔭が足もとをすくわれる可能性もある。2勝で8強となる次のヤマ(4校)は、北海と神戸国際の勝者が優位か。次のヤマでは、二松学舎の打棒が期待される。次の4校(明豊、坂井、成章、神村)は実力伯仲。開幕戦を含む最後のヤマ(5校)は東海大菅生に公立3校が挑む構図。春夏連覇を狙う大阪桐蔭は、2回戦から難敵が待ち受ける。西谷浩一監督(47)は、「夏は当然、強いところばかり」と受けて立つ構えだ。夏連覇が懸かる作新は、初戦が大きなカギを握る。

宣誓は滝川西主将に

 今回の選手宣誓は、滝川西の堀田将人主将に決まった。

選手宣誓が決まった瞬間、滝川西の堀田主将が手を挙げた
選手宣誓が決まった瞬間、滝川西の堀田主将が手を挙げた

立候補制を採っているが、今回は18人とやや少なめだった。「正直、ビックリしている。監督や仲間と話し合って(文言は)決めていきたい」と堀田主将は場内からの拍手に笑顔を見せた。

毎日放送アナウンサー

昭和36年10月4日、滋賀県生まれ。関西学院大卒。昭和60年毎日放送入社。昭和61年のセンバツ高校野球「池田-福岡大大濠」戦のラジオで甲子園実況デビュー。初めての決勝実況は平成6年のセンバツ、智弁和歌山の初優勝。野球のほかに、アメフト、バレーボール、ラグビー、駅伝、柔道などを実況。プロレスでは、三沢光晴、橋本真也(いずれも故人)の実況をしたことが自慢。全国ネットの長寿番組「皇室アルバム」のナレーションを2015年3月まで17年半にわたって担当した。

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