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元世界ヘビー級王者が語る井上尚弥

林壮一ノンフィクション作家/ジェイ・ビー・シー(株)広報部所属
撮影:山口裕朗

 元世界ヘビー級チャンピオンのティム・ウィザスプーンに、井上尚弥vs.アラン・ディパエン戦について聞いてみた。

撮影:山口裕朗
撮影:山口裕朗

 ティムには過去に、井上のファイト映像を見てもらったことがある。

https://news.yahoo.co.jp/byline/soichihayashisr/20210212-00221099

写真:REX/アフロ

 「イノウエの身長が165センチ、タイ人のチャレンジャーが162センチか。俺はトレーナーの仕事をイングランドで受けることも多い。ディパエンは、イングランドのリングに上がったことがあるんだな。IBF5位だっけ? 名前を聞いたような気もするが、ハッキリとした記憶はない。イノウエほど名を知られた選手じゃないよね…。

 イノウエがいつもの如く、爆発的な攻撃力を見せて圧勝するんじゃないか。イノウエは強い。特にオフェンスにはまったく問題がない。それに速い。

 ただ、前回も述べたがボクサーは打たれちゃダメなんだ。ドネア戦時ではパンチを喰っていたが、ダメージを負わないことを期待したいね。

撮影:山口裕朗
撮影:山口裕朗

 アメリカでも、イノウエの株は上がっている。うちの息子とも素晴らしい選手だね、って話しているよ。

 ここ数日間で、バンタム級の世界チャンプが皆リングに上がるんだな。統一王座に最も近いのはイノウエと言っていいだろう。イノウエなら、きっとバンタム級王座統一をやってのけるよ。

 前後、左右の動きで相手のパンチを躱す姿が印象的だが、今後は階級を上げるだろうから、頭の動き、上半身の動きでのディフェンスも向上させたいね。お次はスーパーバンタムに転向しそうだから、相手もデカくなる。パンチを貰わないボクシングを追及してほしい。

 正直なところ、今度の挑戦者はイノウエの敵じゃないだろう。やはり、今、アメリカで注目を浴びつつあるスーパーバンタム級チャンプのステファン・フルトン(WBC/WBOスーパーバンタム級チャンプ)やムロジョン・アフマダリエフ(WBA/IBFスーパーバンタム級王者)との試合が決まれば面白そうだな。

 俺がイノウエvs.ディパエン戦の映像を目に出来るのがいつになるかは分からないが、楽しみにしているよ。モンスターっぽいところを見たいね」

 2021年に日本で行われる最後のBIGマッチまで、残すところ数日となった。チケットは完売。両国国技館が燃え上がりそうだ。

ノンフィクション作家/ジェイ・ビー・シー(株)広報部所属

1969年生まれ。ジュニアライト級でボクシングのプロテストに合格するも、左肘のケガで挫折。週刊誌記者を経て、ノンフィクションライターに。1996年に渡米し、アメリカの公立高校で教壇に立つなど教育者としても活動。2014年、東京大学大学院情報学環教育部修了。著書に『マイノリティーの拳』『アメリカ下層教育現場』『アメリカ問題児再生教室』(全て光文社電子書籍)『神様のリング』『世の中への扉 進め! サムライブルー』、『ほめて伸ばすコーチング』(全て講談社)などがある。

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