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16年ぶりのNBAチャンピオン。エースの大型契約

林壮一ノンフィクション作家/ジェイ・ビー・シー(株)広報部所属
(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 NBA最多記録である18度目のVを達成したボストン・セルティックスのエース、ジェイソン・テイタム。彼は5年3億1390万ドルという条件で、契約を延長しそうだ。既に合意したと報じたメディアもある。

 これはNBA史上最大の好条件だ。テイタムは2029-30シーズンに7100万ドルを稼ぐことが見込まれる。つまり、NBA史上初の7000万ドル選手が誕生するのだ。

写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ

 テイタムはNBAファイナルにおけるダラス・マーベリックスとの5試合に出場し、平均22.2得点、7.8リバウンド、7.2アシストをマーク。1シーズンのみ名門デューク大学でプレーした後、2017年にセルティックスから全体3位で指名され、プロ入り。

 2メートル3センチのフォワードは、ジェイレン・ブラウンとコンビネーションの良さを見せ、バスケットボール界を代表する選手に成長した。

写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ

 2020年2月25日、アウェイゲームでポートランドを訪れたテイタムは、自身のアイドルであったカーメロ・アンソニーとユニフォームを交換した。当時、著者はポートランド・トレイルブレイザーズの番記者であり、そのシーンを目にしている。

 テイタムは言ったものだ。

 「カーメロ・アンソニーやコービー・ブライアントに憧れていた。カーメロのプレーから多くを学びながら育った。3本の指に入る大好きな選手さ。僕はカーメロ信者の一人だよ」

 既にセルティックスの主力となり、スター選手の仲間入りを果たしていたが、テイタムは素朴な青年である一面を覗かせていた。

(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)
(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 2008年以来、16年優勝から遠ざかっていたセルティックスだが、背番号0はしっかりと名門のバトンを受け継いだ。しかし、彼は今回、ファイナルのMVPをジェイレン・ブラウンに譲る形となった。

写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ

 テイタムは連覇を目指すセルティックスに、なくてはならない存在だ。今回の大型契約は、チームの気持ちが表れている。2024-2025シーズンは、ファイナルMVPも狙って大車輪の働きをするに違いない。

写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ

 「すべての犠牲には、それだけの価値があった」

 今季チャンピオンとなった直後に放ったテイタムの言葉には、含蓄があった。更なる飛躍を期待したい。

ノンフィクション作家/ジェイ・ビー・シー(株)広報部所属

1969年生まれ。ジュニアライト級でボクシングのプロテストに合格するも、左肘のケガで挫折。週刊誌記者を経て、ノンフィクションライターに。1996年に渡米し、アメリカの公立高校で教壇に立つなど教育者としても活動。2014年、東京大学大学院情報学環教育部修了。著書に『マイノリティーの拳』『アメリカ下層教育現場』『アメリカ問題児再生教室』(全て光文社電子書籍)『神様のリング』『世の中への扉 進め! サムライブルー』、『ほめて伸ばすコーチング』(全て講談社)などがある。

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