ケツメイシに聞いた、クレヨンしんちゃんとダチョウ倶楽部との“友情ソング”コラボの意義
●注目すべきは2つのコラボレーション
ケツメイシが、メジャーデビュー15周年第2弾シングル『友よ 〜 この先もずっと…』を4月20日(水)にリリースした。流麗なピアノハウス・サウンドがグッとくる極上のポップチューンの素晴らしさはもちろん、注目すべきは2つのコラボレーションだ。
本作は、劇場版クレヨンしんちゃんの最新作『映画クレヨンしんちゃん 爆睡! ユメミーワールド大突撃』のために生み出された年代を超えて響く書き下ろし曲であり、ミュージックビデオにダチョウ倶楽部を起用することで、華麗なる“リアクション芸”のヴィジュアライズ化に成功している。驚くことに、ケツメイシのメンバーは動画には一切出演することなく、まるでダチョウ倶楽部の映像作品かと見間違うほどに、リアクション芸のレジェンド3名の人間関係をうかがえる、“友情”の大切さを描いた作品に仕上がっている。まさに楽曲の世界観を見事に体現した、シンクロ率の高いコラボレーションだ。
ホールやアリーナ中心に動員力も右肩上がりな、ライブに定評を持つ彼らは、8月6日(土)に、収容人数日本最大7万人の日産スタジアムにて、一夜限りのお祭ライブ『ケツメイシ 15th Anniversary「一五の夜」〜今夜だけ練乳ぶっかけますか?〜』を開催する。そんなメンバー4人に、東京国際フォーラムで加山雄三と共演する直前に話を聞いてみた。
【ケツメイシへのインタビュー】
●鳥肌ものの美メロなピアノハウス
――シングルとしてリリースする新曲「友よ 〜 この先もずっと…」は、イントロから鳥肌ものの美メロなピアノハウスとなりました。この楽曲はどんなきっかけから生まれたのでしょうか?
RYOJI:今回、映画クレヨンしんちゃんの主題歌ということで、まずテーマをもらったんです。まだ映画完成前だったので脚本というかプロットを読ませていただいて。
――どんなイメージが湧いてきましたか?
RYOJI:子どもの頃の感情を思い出しました。好きな女の子に「結婚しよう!」と約束したり、「ずっと友だちだよ!」って結束したり。けっこう覚えているもんで、もしそれを実現できる世界だったらいいなって思ったんですよ。幼稚園のころに約束した願い事を叶えた子だっているわけですよね? いい加減なようでいい加減じゃないみたいな世界。大人になっちゃうと、「友だちでいよう!」とかなかなか言えないですけど、そういう関係性っていいな、大事だなって気がついたんです。
大蔵:アニメーション映画の主題歌は、僕たちも初めてだったし、子ども向けの映画でもあるので、言葉の使い方に気をつけましたね。口ずさんでもらいたかったので、わかりやすいリリックを心がけて小難しくならないようにね。サビの歌詞で「ありがとう」っていう、シンプルだけどすごい大事な言葉を伝えたかったんです。感謝する気持ちって大切ですよね。
DJ KOHNO:クレヨンしんちゃんの映画って大人が観てもグッとくるじゃないですか? なので楽曲でも、大人と子どものバランスにこだわりましたね。
RYO:最初にラップを書いたときは、技術的な問題でこれは子どもは歌えないよねってフレーズがあったんです。バランスに悩みましたね。でも、今回、しんちゃんの主題歌なのに、ミュージックビデオには大人のダチョウ倶楽部さんが出ているんですよ。泣けるし笑えるし、なんかいいですよね(笑)。
RYOJI:子どもにも伝わる言葉で大人を感動させようというのがテーマでした。ラップに関しても何度も書き直してもらったり、難しかったと思いますね。あと、40代になって感じたんですけど、結局子どものころに近所で遊んでいた世界とあまりやっていることが変わらないと思ったんですよ。公園が呑み屋に変わったぐらいで(苦笑)。メンバーそれぞれ、親になって自分の子どもが一生懸命友だちを作っていたり、初対面なのに仲良くしている姿を見たりするとグッとくるんですね。
――歌詞での「次会うときはまた皆で笑っていたいから 夢の中でも謝っておくよ」というフレーズにやられました。
RYOJI:大人になると素直に謝れなかったりするからね(苦笑)。
●ケツメイシが描いていた、子どもの頃の夢
――ケツメイシの4人は、子どもの頃にどんな夢を持っていましたか?
RYOJI:サッカー選手でしたね。中学校になったらお寿司屋さんだったかな。小学校のころ貧乏で、親が安い寿司しか食ってないのを見て、寿司屋になって食べさせてあげたいなって思ってました。サッカーは、代表戦で木村和司のフリーキックを見て、子どもながらにかっこいいなと思ったんですよ。
大蔵:しんちゃんくらいの頃は、仮面ライダーになりたかったですね。ヒーローもののテレビをよく観ていました。
RYOJI:まだチャンスあるよね? 鍛えてるしさ。
一同:(笑)。
大蔵:あとはタクシーの運転手になって、おばあちゃんを乗せてあげたいとか思ってましたね。
RYOJI:それで身体を鍛えてんだ。
大蔵:ははは(笑)。あと星が好きだったので星の名前を覚えたりしていて。宇宙飛行士になりたかったな。
RYOJI:えっ、歌詞覚えないのに?(笑)。……なんかちゃちゃ入れちゃうな、すみません(苦笑)。
一同:(笑)。
DJ KOHNO:僕ずっとスポーツ選手ですね。バスケをやってました。でも、高校くらいで、代表に行くレベルには努力じゃ埋められないという現実に気づいて。そんな時にDJに出会ったんです。
――結果、DJとして夢が叶ったんですね。
DJ KOHNO:そうですね。DJは、地元の先輩がやっていて。その先輩の家でずっと遊んでいたのがきっかけですね。
RYOJI:ちょうどあれだよね、スニーカーの時代だから。バスケとヒップホップが遠くなかったんだよね。
DJ KOHNO:そうそう、バスケのスーパープレイ集の映像のBGMは、全部ブラックミュージックだったので。
――なるほどです。RYOさんは?
RYO:母親がフリオ・イグレシアスを好きで、その影響で僕はフリオ・イグレシアスになると思っていました(苦笑)。髪型も真似して七三とかしてるんですよ。でも、やっぱり俺は日本人だったことに気がついて、フリオにはなれませんでした(苦笑)。
一同:(笑)。
――歌手というよりもフリオ・イグレシアスになりたかったんですか?
RYO:そうですね。
大蔵:気がつけたのが早くてよかったですね(苦笑)。
RYO:鏡見て白人じゃねぇなって思って(笑)。その後は、中学のときに医者になりたいと思ってたんですけど、結局それに見合う努力もしなくて、もうなりゆきでここまで来た感じです(苦笑)。
――でも、結果、フリオに近い歌手の世界にいるという(苦笑)。
一同:(笑)。
●しんちゃんが踊る、振り付けダンス・ビデオ
――『友よ 〜 この先もずっと…』のジャケットで、メンバーもしんちゃんの世界でイラスト化されましたね。
大蔵:光栄です。
RYOJI:何よりも子どもからの株があがりました(笑)。
DJ KOHNO:子どもの友だちがいつもうちに遊びにきているんですけど、今までと挨拶のキーが一個あがりました(笑)。
――嬉しいことですよね。ちなみに今回、作曲の共作者にnote nativeの田尻知之さんの名前がありましたね。
RYOJI: 1 FINGERで最初にお願いして。今回も、キャッチーでポップな作品にしたかったので、ピアノハウスが強いnote nativeにお願いしました。イントロから耳に残る音の入れ方が素晴らしいですよね。
DJ KOHNO:イントロだけですごい映画っぽいというか、ドラマティックにグワっと持っていかれる曲ですよね。
――そういえば、先日出演された10年ぶりの音楽番組『ミュージックステーション』への出演はいかがでしたか?
DJ KOHNO:『Mステ』は思った以上にスタッフの方が緊張してましたね(笑)。
RYOJI:面白かったですね。RYOさん珍しく緊張してましたけど。
RYO:震えました(笑)。
RYOJI:僕はなんかスタジオ観覧に来た感じでしたね。
DJ KOHNO:AKB48をあんな近い距離で見れるなんて、もう一生ないでしょうね(笑)。
――今回の「友よ 〜 この先もずっと…」では、プロモーションにあたってミュージックビデオと振り付けダンス・ビデオとメイキングを用意されていて素晴らしいなと思いました。知っていただくための努力をクリエイティヴなプロダクトで準備されているんですよね。
RYOJI:振り付けダンス・ビデオは、このダンスブームのいま、しんちゃんとコラボしたチャンスを逃しちゃいけないなと思って(笑)。子どもたちに覚えてもらいたいですねぇ。
DJ KOHNO:運動会とかで使われるかもしれないからね。先生たちが、ちょうど僕らの曲を聴いてきた世代の方が増えてますから。使ってほしいなぁ。
――「友よ 〜 この先もずっと…」の振り付けダンス・ビデオが収録されたDVD特典を、ダンスの教材として活用してほしいですね。そういえば、最近は、子どものほうが新しい曲を知ってたりっていうのが多いですよね。
RYOJI:すぐ覚えちゃいますからね。
●ダチョウ倶楽部主演!? ガチなミュージックビデオ
――そして、今回驚愕だったのは「友よ 〜 この先もずっと…」のミュージックビデオが、完全にダチョウ倶楽部さん主演のヴィジュアライズされた作品になっていたことです。でも、たしかに曲のメッセージ性である“友情”の大切さが伝わってくるんですよ。素晴らしい企画だと思いました。
DJ KOHNO:最初、ミュージックビデオの監督が2案出してくれて、それでシリアスなほうを選ぼうとしてたんです。でも、ポロっとRYOJIくんが「ダチョウ倶楽部さんがご飯食べている絵だけでいいんじゃないかな?」って言い出して。みんなで盛り上がったんですよ。それで、オファーしてみたら、ダチョウ倶楽部さんのマネージャーの方がうちらのCD持っていたらしくて(笑)。
――おおお、じゃあこれまで特に接点はなく?
RYOJI:ないですね。クラブで南部虎弾さん(元ダチョウ倶楽部のメンバー)に会ったことがあるくらいで(苦笑)。でも、世代的にはずっと楽しませていただいていた芸人さんですから。
――もはやレジェンド感ありますもんね。ていうか、熱々の鍋ネタで上島竜兵さんの口元から卵がスローモーションで飛ぶところとか、あれは日本の伝統芸能として作品として残すべきだと思いましたよ。撮影中、陣中見舞いに伺ったんですよね?
DJ KOHNO:はい、行ってきました。見学させていただいてたら、けっこう、本番前にしっかり話し合われていて、一回の熱湯風呂への飛び込みもノリでやってるんじゃなくて、すごい計算尽くされているんですよ。
RYOJI:失敗すると洋服とか着替えなきゃいけないもんね。本気度が凄そうだよね。
DJ KOHNO:あと、熱湯風呂の職人さんがいるんですよ。ダチョウ倶楽部さんがやる時は、その人たちじゃないとダメらしいですね。現場の雰囲気も、ピリピリはしてないですけど、一流の緊張感がありました。
RYO:「この熱湯に命ある限り」みたいな服を、熱湯チームが着ているんだよね。
――コンサートの舞台製作チームみたいな結束力っぽいですね。あのミュージックビデオを観ていて思ったのは、楽曲のテーマである“友情”感が伝わってきたことですね。
RYOJI:僕たちのグループも、ツアーまわるとあんな雰囲気があったりするのでダブる部分があるかな。しかもダチョウ倶楽部さんは、第一線で長く続けているわけじゃないですか? そういうのにあやかりたい気持ちも含めてお願いさせていただきましたね。お笑いなのに、うるっときちゃう瞬間があるんですよ。
●友だち=家族より家族みたい、そんな歌詞に注目
――いや〜、思いのほか泣けましたね。感動しました。あと、楽曲のフレーズでいうと、ここはしっかり聴いてほしいところなどありますか?
大蔵:大サビの部分とかやっぱりいいですよね。
RYOJI:長年いっしょにいると友だちであっても、家族より家族みたいな。そんな歌詞にも注目してほしいですね。誰もが思い浮かべられる感情だと思うんですよ。
DJ KOHNO:普通に残る曲になってほしいね。
――「友よ 〜 この先もずっと…」は、見事に子ども世代でも歌えて、かつ親世代でもグッとくる楽曲になりました。ダチョウ倶楽部さんのメイキング映像も良かったですね。
RYOJI:そう、メイキング映像の方が好きなぐらいです。グッときますよ。
――そして、よいよ映画『映画クレヨンしんちゃん 爆睡! ユメミーワールド大突撃』が劇場公開されますね。
大蔵:「友よ 〜 この先もずっと…」がどんな風に流れるかが楽しみです。
RYO:これから映画を観に行くのが楽しみです!
ケツメイシ オフィシャルサイト