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渡辺明棋王(35)防衛か? それとも本田奎五段(22)が追いつくか? 棋王戦五番勝負第4局始まる

松本博文将棋ライター
(記事中の画像作成:筆者)

 3月17日。東京都渋谷区・東郷神社において棋王戦五番勝負第4局▲本田奎五段(22歳)-△渡辺明棋王(35歳)戦がおこなわれます。

 五番勝負はここまで渡辺棋王2勝、本田五段1勝。第3局は渡辺棋王の勝ちとなりました。

 三冠(棋王、王将、棋聖)を保持し、王将戦七番勝負と棋王戦五番勝負を並行して戦う渡辺棋王はタイトなスケジュールが続いています。

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 先日は王将戦七番勝負第6局で広瀬章人八段に勝っています。

 棋王戦第4局対局場は東郷神社は都内の原宿にあり、近所の千駄ヶ谷・将棋会館からは歩いても行ける距離です。

 立会人は中村修九段。記録係は高橋佑二郎二段。盤側の関係者はみな、新型コロナウイルス感染予防のため、マスクをしています。

 8時45分。挑戦者の本田五段がまず入室。下座に就きました。

 8時50分。渡辺明棋王が上座に。一礼して駒箱を取ります。将棋では上位者が駒箱を手にして開き、中から駒を取り出して盤上に置きます。

 渡辺棋王が「王将」、本田五段が「玉将」を初期位置に並べ、両者ともに大橋流で駒を並べていきます。

「それでは9時となりましたので、本田五段の先手番で指し始めてください。お願いします」

 立会人の中村九段がそう告げて、両者「お願いします」と言いながら一礼。対局が始まりました。

 本田五段は初手、飛車先の歩を伸ばしました。本田五段は互いに飛車先の歩を伸ばし合う相掛かりを得意としています。第2局ではその相掛かりで渡辺棋王から勝利をあげました。

 2手目。渡辺棋王は角筋を開けました。本局では相掛かりにはせず、4三の地点に銀を上がる雁木の作戦を採用しました。

 本田五段は7七に銀を上がる矢倉の形。矢倉では角を一つ下に引き、転換して使う「引き角」の手法が用いられます。その角をどう使うか。

 19手目、本田五段はさっと四段目に角を上がりました。この早い段階では、あまり見られない指し方です。時間の使い方の早さからして、本田五段の研究手と推測されます。

 渡辺棋王はおそらく意表を衝かれたでしょう。しかしさほど時間を使わずに、さっと中段に飛車を浮いて使います。これもまた序盤の早い段階では、あまり見ない形です。

 時刻は11時を過ぎました。現在は28手目、渡辺棋王が攻撃陣の一つ桂を跳ねたところまで進んでいます。

 持ち時間は各4時間。通例では夕方頃に勝敗が決まります。

将棋ライター

フリーの将棋ライター、中継記者。1973年生まれ。東大将棋部出身で、在学中より将棋書籍の編集に従事。東大法学部卒業後、名人戦棋譜速報の立ち上げに尽力。「青葉」の名で中継記者を務め、日本将棋連盟、日本女子プロ将棋協会(LPSA)などのネット中継に携わる。著書に『ルポ 電王戦』(NHK出版新書)、『ドキュメント コンピュータ将棋』(角川新書)、『棋士とAIはどう戦ってきたか』(洋泉社新書)、『天才 藤井聡太』(文藝春秋)、『藤井聡太 天才はいかに生まれたか』(NHK出版新書)、『藤井聡太はAIに勝てるか?』(光文社新書)、『棋承転結』(朝日新聞出版)など。

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