飛行機雲が予告した太平洋側の雨か雪のあとは、強い冬型の気圧配置
2月8日午後の東京の空は、飛行機雲が消えにくくなっていました。
飛行機雲は上空の水蒸気が多ければ多いほどできやすく、長時間残っていますので、この現象は、降水現象の前兆の1つです。
飛行機雲と降水現象
今から113年前の明治36年(1903年)12月17日に、アメリカのライト兄弟(3男のウィルバー・ライトと4男のオービル・ライト)が、アメリカのノースカロライナ州キティホークで、飛行機「ライトフライヤー号」が人類史上初の人を乗せて空を飛んでいます。
飛行雲は、大気が飽和しているときに飛行機が出す排気ガス中の水蒸気や、翼の端付近にできる低圧部によって気温が下がることが原因となって飛行機の航跡に沿ってできる雲です。
従って、飛行機がなかった時代には飛行機雲はありませんし、できたばかりの飛行機も、低い気温の中の飛行ではありませんし、排気ガスの排出量も少ない小さなエンジンでの飛行ですので、飛行機雲はできません。
飛行機雲ができるようになったのは、第一次世界大戦など、戦争との関係で急速に性能が向上した大正末期以降です。
そして、飛行機雲は上空の水蒸気が多ければ多いほどできやすく、長時間残っていいるこから、「飛行機雲が長く消えずに残っているときは雨になる」という諺が生まれています。
飛行機雲の諺は、天気の予測に使える諺の中でも新しいものです。
冬型の気圧配置から南岸低気圧型の気圧配置に
2月8日までは、日本の東海上で気圧が低く、西の大陸側で気圧が高いという西高東低の気圧配置(冬型の気圧配置)が続いていました。
このため、日本海側のほとんどの地方で「なだれ注意報」が、太平洋側のほとんどの地方で「乾燥注意報」が発表されていました(図1、図2)。
しかし、2月9日は本州の南岸に低気圧が発生して東進するという、南岸低気圧型の気圧配置となりますので、関東から西の太平洋側では雨か雪の天気となります。なだれ注意報や乾燥注意報は一旦解除となり、別の種類の注意報などが発表されます。
同じ降水量でも、雨と雪では影響が違います。
普段、雪が少ない太平洋側で雪になると、少しの雪でも交通機関が乱れ、大混乱する可能性があります。
加えて、関東地方の天気の分布予報(図4)のように、雨と雪と曇の地域がいりくみ、ちょっとのことで天気が変わる可能性がありますので、気象情報に注意が必要です。
日本海にできる上空の強い寒気に対応する低気圧に注意
2月9日の南岸低気圧による関東地方の降水現象は、降水量としては多くありませんが、雪の場合は影響が大きくなりますので、注意が必要です。
また、日本海にできる上空の強い寒気に対応する低気圧の動きにも注意が必要です。
この低気圧は、大気が非常に不安定で積乱雲が発達しやすく、通過時には強い雪や突風などの激しい現象を引き起こすからです。しかも、動きが遅く、2月10日9時でも秋田沖ですので、長い期間にわたり注意が必要です(図5)。
その後、西日本の上空約5500メートルには、氷点下39度以下という今冬一番の非常に強い寒気が流れ込むなど、西日本を中心に強い冬型の気圧配置となるため、12日までの日本海側では西日本を中心に大雪となる見込みで、大雪や路面凍結による交通障害に注意・警戒が必要です。
そして、再び、日本海側のほとんどの地方で「なだれ注意報」が、太平洋側のほとんどの地方で「乾燥注意報」が発表されます。