クラスター爆弾の新規開発を行う日本防衛省
8月29日に防衛省の平成27年度概算要求が提出され、その中にクラスター弾頭の新規開発を行うことが明記されていました。
空母を貫通し撃破する為の大型艦艇対処用弾頭は開発中の超音速空対艦ミサイル「XASM-3」用と思われますが、地上目標等に対し広範囲に高い貫徹力を有する攻撃が可能な地上目標対処用弾頭とは地上攻撃用クラスター弾頭の事になります。どのミサイルに実装する予定なのでしょうか。空対艦ミサイルを改修して空対地ミサイルとして使うのか、地対艦ミサイルを改修して地対地巡航ミサイルとして使うのか、あるいはその両方なのか。実戦配備された場合、南西諸島に地対艦ミサイルを前進配備させる際に大きな意味を持つ事になるかもしれません。
今回の概算要求の中では詳細がよく分からず要注目です。そして日本国はクラスター爆弾制限条約(オスロ条約)に加盟しているので、条約に抵触しないクラスター弾頭を開発することになります。オスロ条約は一定の条件でのクラスター弾頭を認めています。
- 10個未満の爆発性子弾しか含まない。
- それぞれの爆発性子弾の重量が4kg以上である。
- 単一の目標を察知して攻撃できるよう設計されている。
- 電気式の自己破壊装置を備えている。
- 電気式の自己不活性機能を備えている。
以上の5つの条件を全て満たす場合にはオスロ条約に抵触しません。あるいはそもそも爆発性子弾を持たない拡散弾頭の場合はクラスター爆弾に該当せず条約とは無関係になります。概算要求には「広範囲に高い貫徹力を有する」とあるので、自己鍛造弾を用いたスマート対戦車子弾である可能性がありますが、しかし自己鍛造弾では敵上陸部隊が軽装歩兵であった場合には効果が薄いので、従来とは全く異なるクラスター弾頭を開発するのかもしれません。