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かゆみの悩み、あなたも40%の1人?世界20カ国調査が明かす驚きの事実

大塚篤司近畿大学医学部皮膚科学教室 主任教授
(写真:イメージマート)

【世界のかゆみ事情:驚きの発症率と年齢による違い】

最近、20カ国以上50,000人を対象とした大規模な調査が行われ、かゆみに関する驚きの結果が明らかになりました。

調査によると、世界全体でのかゆみの発症率は約39.8%。つまり、10人に4人が何らかのかゆみを経験しているということになります。日本でも同様の傾向があると考えられ、身近な問題であることがわかります。

特に注目すべきは、年齢によるかゆみの発症率の違いです。65歳以上の高齢者では43.3%とさらに高くなっています。これは、年齢とともに皮膚が乾燥しやすくなることや、免疫機能の変化が関係していると考えられます。

高齢者のかゆみ対策として、保湿ケアを充実させることが重要です。また、かゆみが長期間続く場合は、併存疾患の可能性もあるため、専門医の診察を受けることをおすすめします。

【性別や地域による差:女性や特定の地域で高い発症率】

興味深いことに、かゆみの発症率には性別による差も見られました。女性は40.7%、男性は38.9%と、女性のほうがやや高い傾向にあります。これは、女性特有のホルモンバランスの変化や、スキンケア習慣の違いが影響している可能性があります。

地域別に見ると、北米が41.6%と比較的高く、ヨーロッパは35.9%とやや低めでした。日本を含むアジア地域は40.2%で、世界平均とほぼ同じ水準でした。これらの差は、気候や生活習慣、医療アクセスの違いなどが関係していると考えられます。

【皮膚疾患とかゆみの関係:特定の疾患で高い発症率】

調査では、皮膚疾患とかゆみの関係も明らかになりました。皮膚疾患がある人の55.7%がかゆみを訴えており、疾患がない人(28.8%)と比べて約2倍の発症率でした。

特に、アトピー性皮膚炎(72.6%)、慢性手湿疹(79.6%)、乾癬(63.0%)などの疾患では、かゆみの発症率が非常に高くなっています。これらの疾患をお持ちの方は、かゆみ対策に特に注意が必要です。

かゆみは生活の質に大きく影響する症状です。しかし、適切な対策を取ることで、多くの場合、症状を和らげることができます。日々のスキンケアを丁寧に行い、気になる症状がある場合は早めに皮膚科を受診することをおすすめします。

参考文献:

Yosipovitch, G., et al. (2024). International study on prevalence of itch: examining the role of itch as a major global public health problem. British Journal of Dermatology. DOI: 10.1093/bjd/ljae260

近畿大学医学部皮膚科学教室 主任教授

千葉県出身、1976年生まれ。2003年、信州大学医学部卒業。皮膚科専門医、がん治療認定医、アレルギー専門医。チューリッヒ大学病院皮膚科客員研究員、京都大学医学部特定准教授を経て2021年4月より現職。専門はアトピー性皮膚炎などのアレルギー疾患と皮膚悪性腫瘍(主にがん免疫療法)。コラムニストとして日本経済新聞などに寄稿。著書に『心にしみる皮膚の話』(朝日新聞出版社)、『最新医学で一番正しい アトピーの治し方』(ダイヤモンド社)、『本当に良い医者と病院の見抜き方、教えます。』(大和出版)がある。熱狂的なB'zファン。

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