がんばれ千葉大:監禁事件で傷ついた全ての人と共にスクールトラウマを癒す(「推定無罪」でも処分はあり)
ネット上では、千葉大への批判や悪口がたくさんあります。事件後の千葉大の謝罪も、処分への言及も、特別なことではないと思いますが、なぜか批判されたりもします。大勢の千葉大生が傷ついているのに。
■学校が傷つくとき:スクールトラウマ
事件事故の関係者が学校から出たとき。それが大きく報道されたとき。学校全体が傷つきます。このスクールトラウマの問題は、たいていは小中高の問題ですが、今回は千葉大が傷ついています。
容疑者はすでに卒業式を終えているとはいえ、在学中の犯行と見られていること、そして監禁現場が大学のすぐそばだったこともあり、大学名が目立つ報道が続いています。週刊誌の記事でも、大学名が大きく見出しになっています。
学生が逮捕されたとき、大学名が出るときと出ないときがありますが、今回は強調されすぎだと感じます。
「女子中生誘拐事件で千葉大生を襲い始めた「風評被害」」といった記事も出ています。
匿名のネットユーザーだけでなく、識者、有名人で千葉大に否定的な発言をする人もいます。
ある名のあるライター(編集者)さんは、身近に犯罪者がいても気づかなかった問題を指摘し、千葉大生は、もっと東京の大学生や多様な大人とつき合った方がいい、都内の大学生と比べると幼い印象がある、オープンマインドな人材が育たないとツイートしてます。
そのツイートには、こんな反応がありました。
■千葉大の事件に対する対応への批判
千葉大学は、記者会見で謝罪し、容疑者男性の卒業取り消しなどの処分の可能性を語りました。これに対して、ネット上のコメントとして、「学業とは別の話だ」といった意見も多数見られました。
まあ、そう言われればそうかもしれません。しかし、多くの学校で在学生が刑事事件を起こしたら、当然何らかの処分をします。それは日常的に行われており、千葉大だけが行っているのではありません。
誘拐事件に関し、千葉大が卒業取り消しを検討することは「推定無罪」の原則に反するとの記事も出ています。
なるほど、おっしゃるとおり「推定無罪」ですし、被疑者の人権は守られなければなりません。社会的リンチなど、もっての外です。ただ、この記事では大学の謝罪も、安易だと批判されています。たくさんの、賛同のコメントもついています。
しかし、推定無罪の被疑者も身柄拘束はされます。学生や社員が大きな刑事事件で逮捕起訴されれば、学校や会社が謝罪や処分を行うのは、普通のことでしょう。どうして、今回の千葉大は批判されてしまうのでしょうか。もしも千葉大が謝罪しなければしなかったで、社会のバッシングを受けることでしょう。
学校でも、会社でも、あるいは政党でも、裁判で有罪が確定するまで、謝罪も処分も何もいたしませんというのが、はたして正しいのでしょうか。大学は学生を守らなければなりませんが、同時に社会的責任を果たさなければなりません。
一般的には、逮捕の段階で謝罪が行われ、起訴の段階で正式な処分が下されることが多いでしょう。後に無罪になれば処分は取り消されるでしょうが、これまでの例では、起訴前に処分が下されることもありますし、また時には大学や会社の処分が甘すぎると、世間から非難されることもあります。
ある教育大学で学生が集団準強姦容疑で逮捕された際には、大学側の「教育的配慮」による比較的軽い処分に対して、世間からは厳しい意見が多数寄せられました(ちなみに、この事件は被害者との示談が成立したことで起訴猶予となり、学生らからは大学の処分取り消しの訴えがなされました)。
どのタイミングで、どの程度の処分を下すのかは、難しいものです。
警察からは、暗に学校へ話が来たりすることもあるようです。罪の重さや時期によって、ここは学校もどうか穏便にとか、何らかの処分はあるのでしょうね、などと指示ではありませんが、会話の中に出てきたりするものです。
3月中は卒業生も在籍中ですから、千葉大の謝罪も処分への言及も、ごく一般的なことだと思います。ただ、さかのぼっての処分には、様々な意見はあるでしょう。
■がんばれ千葉大生
残念なことに、何件かの事件が起きてしまいました。しかし、決して千葉大生が特に犯罪を犯しているわけではありません。ただ、たまたま大きく報道される事件が起きただけです。
ほんの何人かの人のせいで、その大学全体、学生全体が非難されることなど、あってはなりません。この春の卒業生が、誇りを持って出身大学名を言えるように、この春の新入生が喜びと希望を持って入学できますように。
千葉大は、言うまでもなく、りっぱな大学です。事件によるマイナスイメージを払拭するのは、卒業生や在学性の使命です。もちろん、心ある人たちは、事件によって傷ついた全ての人々を応援します。
同じ大学の学生が逮捕されて、ショックを受けている人もいるでしょう。あの、監禁されていた建物を毎日見ていた人の中には、衝撃を受けたり、悔やんだりしている人もいるかもしれません。
傷ついているあなたの心を癒しましょう。そして、学生と教職員が協力して、スクールトラウマを癒しましょう。
事件によって、これ以上傷つく人を増やしてはいけません。