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“大谷翔平に似てます”ホークス幸山が待望の公式戦初アーチ

田尻耕太郎スポーツライター
「あれ?記念のボールがない。じゃ、持ってるフリします(笑)」(撮影:筆者)

二保、岡本が2回無失点

9月22日、福岡ソフトバンクホークスは、ウエスタン・リーグで阪神タイガースと対戦した。

【9月22日 ウエスタン・リーグ タマスタ筑後 2,030人】

阪神     0300200000 5

ソフトバンク 0002300000 5

※規定により延長10回引き分け

<バッテリー>

【T】竹安、福永、山本、守屋、高宮、伊藤和――小豆畑

【H】大隣、二保、岡本、児玉、野澤――九鬼

<本塁打>

【H】幸山1号

3番手で好投した岡本
3番手で好投した岡本

<戦評>

先行を許したソフトバンクだったが、しぶとく追いつき引き分けに持ち込んだ。3点を追う4回裏、5番・茶谷と6番・釜元の連続適時打で1点差に。直後に再び3点差をつけられたが、5回裏には先頭の8番・幸山がソロ。さらに2番・城所、4番・ジェンセンのタイムリーで追いついた。

投手陣は先発の大隣が5回5失点だったが、リリーフ陣は好投した。2番手の二保は2回無安打。3番手の岡本も3者連続奪三振などで2回を抑えた。

ソフトバンクは9回と10回にそれぞれ先頭打者を出して、10回は2死満塁まで攻めたてたが、サヨナラの決定打が出なかった。(了)

日本一小さな村で生まれた大きなスラッガー

ソフトバンク・幸山
ソフトバンク・幸山

育成3年目の幸山一大が嬉しい公式戦初本塁打を放った。

5回、先頭で打席に立ち、フルカウントから阪神先発の竹安の直球を左翼へ運んだ。

「久々に芯に当たりました(苦笑)。でも、入ると思わなかったので、一生懸命走りました。ホームラン、やっぱり嬉しいです」

育成枠ながら入団時には話題の多い選手だった。まず出身地の富山県舟橋村は日本一面積の小さな自治体。その小さな村から誕生したプロ野球選手は、日本人外野手で最も身長の高い191cm(今季の登録は190cm。縮んだ!?)を誇る長距離砲候補と期待された。

今オフに自由契約も「今は前を向いて」

また、はっきりとした目鼻立ちがどこか日本ハムの大谷翔平にそっくりとも言われた。

「今でもたまに言われます。今年も、オリックスと試合をした時に向こうの選手から言われました(笑)」

昨オフは台湾ウインターリーグに参加するなど成長のキッカケを掴んだというが、入団から背番号124のまま。育成選手はドラフト入団から3年が経過すると、一旦は自動的に自由契約選手として公示されることが決まっている。球団が再契約の意思を示さなければ“クビ”となってしまうわけだ。

「もちろん頭の中にはありますけど、あまり考えないようにしています。考えすぎてもプラスにならないかなと思って。とにかく前を向いてプレーしています」

持ち味は打撃。やはり長打力だ。

本塁打にこだわる

「今年は2桁本塁打を打つと言って臨みましたが、3軍と合わせてもまだ4本なんです。でも、まだ試合はあります。あと6発クリアしてみせますよ!」

2軍公式戦はあと5試合しかないが、「10月のフェニックスリーグまで猶予を(笑)」と照れ笑いした。

「とにかくバットでアピールしないといけない立場。もちろん外野守備もしっかりしないといけませんが、守備も頑張って打撃をもっと頑張るという気持ちでやっていきます」

“本家”の大谷は今オフにもメジャーへ移籍するといわれており、来年のプロ野球は「大谷ロス」なシーズンとなる。ファンの心にぽっかりと空く穴を埋める豪快アーチをかっ飛ばせる選手となれ。とことんバットを振り込む秋が待っているだろう。

スポーツライター

1978年8月18日生まれ、熊本市出身。法政大学在学時に「スポーツ法政新聞」に所属しマスコミの世界を志す。卒業後、2年半のホークス球団誌編集者を経てフリーに。現在は「Number web」「文春野球」「NewsPicks」にて連載。ホークス球団公式サイトへの寄稿や、デイリースポーツ新聞社特約記者も務める。また、毎年1月には千賀(ソフトバンク)ら数多くのプロ野球選手をはじめソフトボールの上野由岐子投手が参加する「鴻江スポーツアカデミー」合宿の運営サポートをライフワークとしている。2020年は上野投手、菅野投手(巨人)、千賀投手が顔を揃えた。

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