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LiSAさんの夫不倫報道から考える、「女性上位の結婚」の難しさ

植草美幸結婚相談所代表・恋愛・婚活ジャーナリスト 植草美幸
(提供:ankomando/イメージマート)

■歌手LiSAさんが夫の不倫報道後に活動休止

アニメ『鬼滅の刃』の主題歌歌手として知られるLiSAさんが、心身疲労により一部活動を休止されました。夫で声優の鈴木達央さんの不倫報道が原因とも言われています。

週刊文春によると、LiSAさんの全国ツアー中に、鈴木さんが自宅へ不倫相手を招き入れていたとのこと。これに、夫婦のそれぞれのファン、さらには関連作品のファンをも巻き込んで、怒りの声が上がっています。

LiSAさんの楽曲は世界的ヒットを記録し、NHK紅白出場歌手であり日本レコード大賞も受賞した実力派。夫の鈴木さんも業界の有名人ではあったものの、妻の活躍から「LiSAの夫」と呼ばれることにプライドが傷ついていた? という報道もあります。

LiSAさん鈴木さんご夫婦が、別れを選ぶのか再構築を目指されるのかはあくまで家庭内のこと。まずは静養され、冷静に夫婦関係を見つめ直されることでしょう。

しかし、婚活現場では、女性のほうが社会的・経済的に上の立場になるマッチングは慎重に扱うようにしているのが現状です。

■35歳で年収900万円の女性、破談の理由

以前、結婚相談所で破談になった、こんなカップルがいらっしゃいました。男性は年収700万円のSE。女性は35歳で製薬会社の営業職で年収900万円以上、薬剤師の資格もお持ちの優秀な方でした。

お見合いを経て、真剣交際に入っていたのですが、あることの折り合いがつかずにいました。それは、男性が「未定だが仕事で海外転勤があるかもしれない、結婚前に仕事をやめてほしい。パートならいいけれど、扶養内にしてほしい」と主張したこと。仕事に誇りがあり、共働きのほうが家計も安心だと思っている女性側が説得を続けますが、最後に「おふくろもそう言っている、やめてくれるよね?」と親まで出してきたことで、破談となりました。

のちにわかったことですが、男性は「上下関係ができそうで、妻が自分より稼いでくるのが嫌だった」と語っていました。結婚後、最大の理解者であるはずのパートナーから頭を押さえつけられるのはつらいもの。一度退職してしまえば、正社員として復職するのが難しいケースもあります。「妻に嫉妬する夫」は結婚前に見抜き、気を付けてほしいところです。

■嫉妬しやすい男性3つの特徴

婚活現場での体感としても、夫のほうが経済的・社会的に上であることを望む「上方婚」を望む女性は95%以上で、男性側も自分よりも経済的・社会的立場が低い女性を望む「下方婚」を好む傾向にあり、対になっているからこそ根深いのです。

婚活を慎重にするべき理由として、マッチング時は了承していても、交際中や結婚生活を経て、男性側に嫉妬やひがみが生じてくるケースがあります。妻への嫉妬に発展しやすい男性は次の3つの特徴です。

1.嫉妬深い性質で、女性の仕事を下に見る

自分に自信がなく、人の評判を気にしすぎる、プライドが高い男性がいます。こういったタイプは、交際中の会話の中から、嫉妬の芽がないか注意して見定める必要があります。ある婚活男性は「女のくせに夜勤があるなんて、なんでそんな仕事にしたのですか?」と発言し、相手女性を憤慨させたことがありました。このように、女性の仕事を下に見る発言にも注意が必要です。

2.「妻より上であれ」という社会重圧を感じやすい

昨今、固定的な性別役割分担意識は和らいできました。実際、内閣府による「男女共同参画社会に関する世論調査」(令和元年9月)では、「夫は外で働き、妻は家庭を守るべきである」という考え方に「賛成・どちらかといえば賛成」は35.0%、「反対・どちらかというと反対」63.4%となっています(※)。ただ、確かに世の中の意識は変わりつつあるものの、現実には「男性の方が経済的に上」である夫婦が主流です。

※内閣府:パンフレット「ひとりひとりが幸せな社会のために ~令和2年版データ~」より(https://www.gender.go.jp/kaigi/renkei/pamphlet/pdf/panphlet_all.pdf)

すると当人同士が了承していても、親族や知り合いから「夫の年収のほうが低いなんてヒモ男か」などと繰り返し言われる社会的な重圧もあります。これにより、当人同士が気まずくなり、対等な関係で居づらくなっていくことがあります。

3.「昭和の母」と妻を比べる

また、男性の中に、昭和の家庭像=「女性は家庭を守るもの」という刷り込みがあると、結婚前はキラキラと働く姿が素晴らしいと思っていたのに、結婚後は「仕事が忙しく家庭を顧みない妻」に見え、家庭不和につながっていく例もあります。そういった意味でも「昭和の母」と妻を比べる男性は避けたほうがいいでしょう。

職場や友人など同世代との関係性が薄く、周囲の夫婦観を知らない男性が陥りやすい価値観です。夫婦像が、自分の親世代で止まっていて、働く妻をイメージできていないのです。

上記の結果、「君はエリートだから」「どうせ自分は○○だから」といじけ、妻の仕事や行動を監視・制限したり、不倫や浮気に走ったりというモラルに反する行動に発展するケースも現場で見聞きします。ぜひ結婚前に見極めていきましょう。

■妻は夫をマウンティングしないことも忘れずに

最後にもう一つ、女性側の注意点もお伝えします。

ある女性は夫の10歳年上で、年収も夫の2~3倍ありました。しかし、女性は「自分はたまたま仕事が得意だった、自分に合った企業に就職できた。それだけです」と語っていました。

女性が「自分は頑張ったからこのポジションや年収がある」と誇りを持つこと自体はいいのですが、慢心して「だから夫は頑張っていない」「もっと頑張れば上に行けるのに」と考えてしまうのは、お互いにとってよくないこと。

婚活現場でも無意識のマウンティングは破談の原因です。共働きが当たり前になっている今日、女性のほうが社会的・経済的立場が高い状況も増えてくると思われます。その時に、既存の価値観に囚われたり競い合うのではなく、お互いを支えあい、よりよい関係性を築けるよう婚活時から価値観を合わせておくことがポイントです

結婚相談所代表・恋愛・婚活ジャーナリスト 植草美幸

千葉県出身。青山学院大学卒業。結婚相談所マリーミー代表、恋愛・婚活アドバイザー。1995年に、アパレル業界に特化した人材派遣会社、株式会社エムエスピーを創業。そこで培ったコーディネート力を活かし、2009年、結婚相談所マリーミーをスタート。以後10年以上にわたり年間約1,000組の恋愛・結婚に対するアドバイスを行い、業界平均15%と言われる成婚率において、約80%の成婚率(※)を記録している。『結婚の技術』『婚活リベンジ!』など、著書は計14冊。メディア出演の他、地方自治体をはじめとした講演依頼も多数。(※) 成婚退会者数÷全体退会者数で算出。

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