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世界バレーで起きた「韓国女子バレー大惨事」。唯一の希望となった美女選手パク・ジョンアとは?

慎武宏ライター/スポーツソウル日本版編集長
13番がパク・ジョンア(写真:西村尚己/アフロスポーツ)

大阪の丸善インテックアリーナ大阪(大阪市中央体育館)に来ている。日本で開催されている2018女子バレーボール世界選手権に出場した韓国代表を取材することが目的だったが、女子バレー韓国代表の姿はない。1次リーグで敗退したからだ。

初戦のタイ戦から4連敗を喫し、1次リーグ最終戦のトリニダード・トバゴ戦には勝利したが、C組5位で早々と大会を去ることとなった女子バレー韓国代表(各組4位までが2次リーグ進出)。

韓国が世界選手権の1次リーグで脱落するのは、1974年のメキシコ大会から出場チームが24カ国に拡大されて以来、初めてのこと。それだけに筆者も今回の早期敗退は予想出来ず、韓国メディアも「韓国女子バレーの大惨事」(『中央日報』)と報じているが、そんな韓国代表にも一筋の希望を示した選手がいた。

パク・ジョンアだ。

韓国Vリーグの韓国道路公社ハイパスでプレーする25歳。攻撃力に定評があるアタッカーで、今年8~9月に行われたジャカルタ・アジア大会にも出場し、韓国の銅メダル獲得に貢献した選手だ。

これまで女子バレー韓国代表といえば、その実力と恵まれたルックスから韓国で絶大な人気を集めるエースのキム・ヨンギョンに注目が集まりがちだった。

(参考記事:【画像】アイドル並みのかわいさ!? 韓国美女バレー選手“ベスト6”が美しすぎる!!

そんななか、今回の世界選手権でそのキム・ヨンギョンとともにチームの攻撃を牽引したパク・ジョンアの活躍は、韓国メディアでも高く評価されている。

「パク・ジョンアが猛爆」(『STNスポーツ』)、「“渡せば1点”パク・ジョンア」(『スポーツタイムズ』)などと報じられているほどだ。

“Vリーグ公式美女”と並ぶ人気

もっとも、これまでも韓国Vリーグでは人気を集めてきた。

数多くの代表選手を輩出してきた女子バレーの名門・南星(ナムソン)女子高時代から“超高校級”と称されたパク・ジョンアは、高校卒業後に韓国VリーグのIBK企業銀行でプロデビュー。

2016-2017シーズンまでプレーしたIBK企業銀行では主力として活躍し、3度のリーグ優勝に貢献。2017-2018シーズンに加入した韓国道路公社ハイパスでも、加入1年目にして攻撃の要として活躍し、前年度リーグ最下位だったチームがリーグ優勝を果たす立役者となった。

また、所属チームでの活躍ぶりだけでなく、そのルックスも注目の的になってきた。

“Vリーグ公式美女”と呼ばれるコ・イェリムや“コートのスーパーモデル”とされる外国人選手たちと並んで、実力と美貌を兼ね備えた選手として人気を集めてきたのだ。

(参考記事:ミスコン受賞者も!! 韓国Vリーグ女子の“美しすぎる外国人選手”を集めてみた!!

“元祖美人姉妹”に代わるアタッカーと期待されたが…

ただ、代表チームでの評価はそれほど高くなかったのも事実だろう。

南星(ナムソン)女子高の2年生だった2009年に代表に初選出されると、2011年日本で開催されたワールドカップや、2014年のワールドグランプリ、2016年のリオ五輪などに韓国代表として出場。

キム・ヨンギョンとともに2012年のロンドン五輪にも出場して“韓国女子バレー界の元祖美人姉妹”とされたハン・ソンイに代わるアタッカーとして期待を集めてきたが、守備でのミスが目立ち、非難を浴びることも少なくなかったのだ。

特に五輪初出場となったリオ五輪では、レシーブのミスにネット上で非難の声が集中し、パク・ジョンアは自身のSNSアカウントを閉鎖した。

ここ数年、韓国のスポーツ選手がネット上で過度な誹謗中傷や人格攻撃を受けることが増えているが、パク・ジョンアもその一人だったわけだ。

(参考記事:FC東京チャン・ヒョンスも炎上リンチにさらされる韓国“テックル・テロ”の恐怖

Vリーグでの活躍が注目される一方、代表チームでは評価を上げられずにいたパク・ジョンアだが、今回の世界選手権ではエースのキム・ヨンギョン以上ともいえる活躍を見せ、評価が急上昇している。

初戦のタイ戦で18得点を挙げると、その後の5試合ではアメリカ戦の26得点などいずれもチーム最多得点を記録。通算得点もチーム最多の108得点を記録し、1次リーグを終えた時点で得点ランキング3位に入ったのだからそれも当然だ。

パク・ジョンアにとって今回の世界選手権は自身の評価を一変させた大会となったことは間違いないだろうが、それだけにチームが1次リーグで敗退したことが残念である。

来年の東京五輪世界最終予選で有利な組に振り分けられるためにも、世界選手権で上位に入って世界ランキングの順位を上げておきたかった韓国だが、2次リーグ進出も叶わなかったことを受けて、韓国メディアも「韓国の五輪へ行く道がもっと険しくなった」(『SPOTVNEWS』)と落胆を隠せない。

韓国が東京五輪に出場するためには、来年行われるアジア選手権で優勝するか、世界最終予選でグループ1位に入らなければならないが、『オーマイニュース』は、「(五輪出場権獲得は)決して簡単なことではない。世界選手権で見えた問題点とポジション別の弱点を補強しなければ、五輪への出場自体、不可能だろう」と報じている。

東京五輪への道のりは厳しいが、だからこそ、韓国女子バレーの新たな希望として期待を集めているのがパク・ジョンアでもある。はたして、2年後に東京でその姿を見ることはできるか。彼女の今後の活躍と成長に期待したい。

ライター/スポーツソウル日本版編集長

1971年4月16日東京都生まれの在日コリアン3世。早稲田大学・大学院スポーツ科学科修了。著書『ヒディンク・コリアの真実』で02年度ミズノ・スポーツライター賞最優秀賞受賞。著書・訳書に『祖国と母国とフットボール』『パク・チソン自伝』『韓流スターたちの真実』など多数。KFA(韓国サッカー協会)、KLPGA(韓国女子プロゴルフ協会)、Kリーグなどの登録メディア。韓国のスポーツ新聞『スポーツソウル』日本版編集長も務めている。

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