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行政書士はどんな業務をする人?

竹内豊行政書士
行政書士はおもに役所関係や民事に関わる書類の相談・作成に応じています。(写真:アフロ)

はじめまして。2001年から行政書士をしております竹内豊と申します。

この連載では皆様の生活に役立つような内容を、定期的に発信していきたいと思います。

さて、第1回となる本日は「行政書士」の業務内容についてお伝えします。

「行政書士です」と言うと、たいてい「何をする人ですか?」と質問を受けます。日本行政書士会連合会(日行連)はホームページに「行政書士は頼れる街の法律家」というコピーを載せています。でも、何を頼ってよいのか分かりません。そこで、行政書士をご理解頂くためにQ&Aを作りました。行政書士は読者の方々にとって意外と役立つ存在かもしれません。

Q1.行政書士はどのような人ですか?

A. 行政書士法に基づいて活動する法律系の国家資格者です。次の3つのいずれかの条件を満たして日行連に登録すれば行政書士として活動できます。

≪条件1≫行政書士試験に合格する 

試験は年に1回実施されます。年齢・学歴・国籍等に関係なく受験できます。平成27年度の試験結果は次のとおりです。

 受験者数41053人、合格者数4083人(合格率9.95%)

  最年長は81歳、最年少は14歳の方が合格しています。

≪条件2≫公務員として20年以上の行政事務を担当した人

≪条件3≫弁護士・弁理士・公認会計士・税理士となる資格を有する人

行政書士のほとんどが≪条件1≫の試験合格者です。

Q2.行政書士は全国にどのくらいいますか?

A.全国に約4万7000人います。ちなみに、税理士は約7万7000人、弁護士は約3万8000人、司法書士は約2万2000人います。

Q3.行政書士は何を行っていますか?

主に次の2つの書類に関する相談・作成及び官公署等への提出代理を行っています。

A.行政手続書類~官公署に提出する書類

B.民事書類~権利義務または事実証明に関する書類

 

AもBも範囲が広いです。「業務範囲が広いこと」が良くも悪くも行政書士の特徴です。

ただし、他の士業の法律(弁護士法、司法書士法、税理士法等)で制限されている業務はできません。たとえば、A行政手続書類業務では、税務申告は税理士、法人や不動産の登記は司法書士の独占業務のため関与できません。また、B民事書類業務では、裁判につながる紛争案件は弁護士の独占業務のため関与できません。

以下に代表的業務を紹介します。

行政手続書類業務

新規事業を行いたい中小企業や個人事業主に、おもに次の許可取得のための法務サービスを提供しています。

 ・建設業許可申請(一定以上の規模の建設業の営業許可)

 ・風俗営業許可申請(スナックやバーの営業許可)

 ・運送業許可申請(旅客や貨物の運送業の営業許可) 

 最近は、外国人が日本に滞在して就労等の活動を行うための在留資格の許可申請、民泊(旅館業法の許可取得)やドローン(電波法令に基づく無線局の免許)に携わる行政書士が増えています。

民事書類業務

相続に関する業務が大半を占めています。具体的には次のような業務があります。

 ・遺言作成業務(遺言作成のサポート)

 ・相続手続業務(遺産承継の書類作成や手続代理)

 その他、契約書や内容証明の作成なども行っています。

 

実際、それぞれの行政書士は専門分野に特化して業務を行っています。専門分野以外の相談を受けた際は、他の専門家を紹介するなどして対応します。

 さて、この連載の対象は民事書類業務の家族法です。家族法は、結婚・親子・離婚・相続など「個人と家族」に関する法律です。生きていく上で不可欠な法律と言えます。

人生は至る所に“落し穴”が待ち受けています。個人と家族の関係も同様です。でも、“落し穴”がありそうな所を知っていれば落下を回避できます。また、万一落ちても深みにはまらずに這い上がれます。

私が実務で経験したことやニュースを基に、「“人生の落し穴”に落ちない情報」を今後発信していきます。ぜひ、お役立てください。

行政書士

1965年東京生まれ。中央大学法学部卒業後、西武百貨店入社。2001年行政書士登録。専門は遺言作成と相続手続。著書に『[穴埋め式]遺言書かんたん作成術』(日本実業出版社)『行政書士のための遺言・相続実務家養成講座』(税務経理協会)等。家族法は結婚、離婚、親子、相続、遺言など、個人と家族に係わる法律を対象としている。家族法を知れば人生の様々な場面で待ち受けている“落し穴”を回避できる。また、たとえ落ちてしまっても、深みにはまらずに這い上がることができる。この連載では実務経験や身近な話題を通して、“落し穴”に陥ることなく人生を乗り切る家族法の知識を、予防法務の観点に立って紹介する。

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