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梅雨が大幅に遅れることで起きる5つのこととは?注意点を気象予報士が解説

植松愛実気象予報士・防災士・野菜ソムリエ
暑さでややくたびれ気味の都内のアジサイ

13日は12日に引き続き、厳しい暑さが予想されているほか、内陸中心に雷雨のおそれも。今年2024年は九州北部~関東甲信の梅雨入りが平年と比べ遅れている中、いつもとは異なる現象に注意が必要です。

【1】雷雨が増える

梅雨前線がなかなか北上せず本州付近が梅雨入りしないということは、晴れて気温が上がる日が多くなるということになりますが、一方で上空には寒気が入りやすくなります。地上付近では気温が高いのに上空には寒気が入っていると、上下の温度差が開いてしまい、大気の状態が不安定に。
夏のゲリラ豪雨のように突然の雷雨になったり、突風やひょうを伴うような激しい現象のリスクが高まります。
すでに今月2~4日は広い範囲で大気の状態が不安定になり都心でも雷雨がありましたが、今週も内陸中心に広く雷雨のおそれ。
13日は特に関東北部や、長野~東海で注意が必要です。

13日夕方の(左)天気分布予報(気象庁HPより)、(右)発雷確率(気象庁データを元に作成)。全国的に内陸で雷雨のおそれがあり、特に長野・静岡・愛知の県境付近で危険度が高い。
13日夕方の(左)天気分布予報(気象庁HPより)、(右)発雷確率(気象庁データを元に作成)。全国的に内陸で雷雨のおそれがあり、特に長野・静岡・愛知の県境付近で危険度が高い。

【2】「暑熱順化」前に猛暑が前倒しで来る

12日は福島県内で今年全国で初となる35度以上の猛暑日が観測されましたが、暑さはまだまだ続きそうです。13日も東北~九州のあちこちで32~33度の最高気温が予想されています。
通常、ひとの体は数か月かけて暑さに慣れていき、上手に汗をかきやすい体に変わってきます。これを専門的には「暑熱順化(しょねつじゅんか)」と言います。
この「暑熱順化」のおかげで、梅雨明け後に猛暑がやってきてもある程度対応できるのですが、今年2024年のように梅雨入り前から猛暑になってしまうと、熱中症のリスクが高まるのです。

【3】1年でもっとも強い紫外線を浴びてしまう

もし丸1日晴れたと仮定した場合に1年でもっとも紫外線が強いのは、夏至を迎える6月ごろ。太陽高度がもっとも高く、真上に近い角度から紫外線が降りそそぐためです。
しかし通常、6月というのは梅雨に入っていて曇りや雨の日が多いので、丸1日晴れるということ自体があまりありません。いわば梅雨のおかげで、「もっとも強い紫外線」をあまり浴びずに済んでいるわけです。
ところが今年2024年は梅雨入りが遅れていて晴れの日が多くなっているため、「もっとも強い紫外線」をダイレクトに浴びてしまうことに…。普段の6月よりもしっかり対策をするのがおすすめです。

【4】沖縄の降水量が増えすぎる

本州付近がなかなか梅雨入りしない、ということは、梅雨前線はその間、沖縄付近に停滞し続けていることになります。つまり、例年よりも沖縄で雨が降りすぎてしまうのです。
川が少ない沖縄では梅雨の雨は重要な水資源ですが、それでも降りすぎは困ります。すでにここ1か月の降水量(11日までの30日間)が平年の3倍を超えている地点もあります。また13日夕方にかけては沖縄で最大100ミリ、奄美で最大150ミリの雨が予想されていて、普段の「梅雨末期の豪雨」以上に土砂災害や洪水に注意・警戒する必要があります。

【5】本州付近の梅雨が「あいまい」になる

週間予報(気象庁HPを元に作成)。
週間予報(気象庁HPを元に作成)。

このさき15日・16日の土日には九州北部~東北で続々と梅雨入りする地域が出てきそうですが、これできっぱり「わかりやすい梅雨らしい天気」が続くわけではありません。
梅雨入り早々に晴れる日が連続したり、かと思ったらまた雨が降ったりと、「これってほんとに梅雨なの?」と思うような、直観的にわかりづらい梅雨シーズンになることが予想されます。
普段以上に天気予報をチェックして、情報をうまく利用することが重要です。

気象予報士・防災士・野菜ソムリエ

気象予報士・防災士として講演・執筆を行う傍ら、野菜ソムリエ・食育インストラクター・薬膳マイスターとして出張料理人(一般家庭での作り置き代行)としても活動。NHK・民放各局で気象キャスターを歴任し、報道の現場や防災、気候変動・地球温暖化に関する最新情報にも詳しい。著書に『天気予報活用ハンドブック~四季から読み解く気象災害』(竹下愛実名義・共著)がある。

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