日本舞踏とノルウェーファッション「HAiKw/」の幻影的コラボ
8月にオスロで開催されたファッションショー「オスロ・ランウェイ」。最終日夜に鑑賞した「HAiKw/」は強く印象に残るものとなった。
舞踏家の吉本大輔さん、東丸さん、メル(Mer)さんが、HAiKw/の新コレクション「New You- New Me」をまとい、静かに舞い踊る。
モデルが決められた場所をまっすぐにウォーキングする、通常のファッションショーとは異なっていた。同時に、オスロ・ランウェイで、日本人がモデルとなっている光景を初めて見た。
「ヒッチハイク」という言葉から名付けられたHAiKW/は、個性的で色鮮やかなデザインを得意とするブランドだ。
デザイナーは、イーダ・ファルク・ウイエンさん。「舞踏とファッションを共演させてみないか」という提案で、今回の特別なショーが完成したとインタビューで語る。
「最初は舞踏が何が知らなかったのですが、調べれば調べるほど興味がわいてきました。ダンサーや俳優と一緒に、ファッションを“ライブパフォーマンス”という形で表現してみたいと、ずっと思っていたので。劇場などでも、服は欠かせないものですからね」。
コレクションにはそれぞれ「サマーグリーン」、「グラフィック・ジャングル」、「ブルーストーン」、「パープル・ハナミ」など、色彩を表現する名前がつけられている。
2018年春夏のトレンドを表現した「流行予報」にしたかったと、ウイエンさんは話す。
今回発表されたコレクションは韓国や日本からインスピレーションを受けている。一部はショーピースだが、日本でも販売される予定。
HAiKW/の顧客はカルチャーに興味がある層と、若者という2種類のグループが多いとウイエンさんは話す。
オスロ・ランウェイでは別のブランド「Fam Irvoll」が、ファッションショーらしくないということで現地メディアから批判を受けていた。HAiKW/はその意味では、もっとファッションショーらしくはなかったかもしれない。
観客の多くはノルウェー人。初めて見る舞踏に「感動した!」と驚いていた。
ショーを鑑賞したイェンスさんとスティーグさんは、「思いもしていない舞台だった」、「激しく、美しかった」と高く評価する。
「たくさんの光景が頭の中にはいってきたので、服は一部しか印象に残らないかもしれないけれど、素晴らしいものを体験することができました」とイェンスさんは話した。
このような形のショーでは、確かに服だけには集中できないかもしれないが、別の価値がうまれるとウイエンさんは付け加えた。
「服というのは体験だと、私たちは考えています。写真など、ほかにも服を発表する別の機会はあります。今回の舞台は、表現方法としてのひとつです」とほほ笑んだ。
Photo&Text: Asaki Abumi