アメフトの試合で50得点したら、マクドナルドがチーズバーガーを1年間無料で進呈
英語のフレーズに「50 burger」という言葉がある。
50個のハンバーガー……。とても一人では食べ切れるような量ではないが、この50バーガーとはスポーツ用語で1チームが50得点以上を挙げることを意味して、主にアメリカンフットボールの試合で使われる。
世界的なハンバーガー・チェーン店のマクドナルドが、アメリカでチーズバーガーを1年間無料で進呈するキャンペーンをひっそりと開催中だ。
ウーバーイーツのような宅配サービス会社「ドアダッシュ」とマクドナルドがタッグを組んで展開するこのキャンペーン内容は次の通りだ。
キャンペーン期間中の11月12日(日本時間13日)から23日(日本時間24日)の間にアメリカで行われるプロのアメリカンフットボールの試合で、1チームが1試合で50得点以上を入れること。50得点を記録したチームが出たら、該当試合が終わった時の最終得点をマクドナルドとドアダッシュをタグづけし、McDeliveryとSweepstakesというハッシュタグも入れてツイートする。この条件を満たしたツイートをした先着50名にチーズバーガーが無料で1年間進呈される。
平均的なNFLの試合は両チーム合計で50得点前後になるので、一方のチームだけで50得点はかなり難しいが不可能ではない。
2018年シーズンに行われたカンザスシティ・チーフス対ロサンゼルス・ラムズ戦では、54対51でラムズが勝利。NFL史上初めて両チームが「50バーガー」超えをした試合となった。
今季はまだ50得点超えを果たしたチームは出ていないが、今季の1チーム平均試合得点はNFL史上最高の25.1得点とハイスコアな試合が続いている。
10月4日(日本時間5日)にはクリーブランド・ブラウンズがダラス・カウボーイズ相手に「50バーガー」に「1バーガー」足りない49得点を上げた。
キャンペーン第1週目だった先週の試合では11月15日(日本時間16日)のタンパベイ・バッカニアーズ対カロライナ・パンサーズ戦でバッカニアーズが46得点を記録したが、「50バーガー」チームは現れなかった。
キャンペーン最終週の今週行われる試合で注目なのは、19日(日本時間20日)の木曜日の夜に行われるシアトル・シーホークス対アリゾナ・カージナルス戦。シーホークスは今季ここまでリーグトップの32.2得点を記録しており、カージナルスもリーグ7位の29.6得点と得点力の高いチーム同士の対戦。シーホークス守備陣はリーグで下から5番目の29.6失点とザル・ディフェンスなので、カージナルスに「50バーガー」のチャンスはありそうだ。
11月22日(日本時間23日)の日曜日の試合では、ここまで無敗の9連勝と波に乗るピッツバーグ・スティーラーズが1勝8敗と低迷するジャクソンビル・ジャガーズと対戦。スティーラーズ攻撃陣はリーグ4位の30.1得点、ジャガーズ守備陣はリーグ・ワースト2位の30.1失点なので、QBのベン・ロスリスバーガー率いるスティーラーズが「50バーガー」を達成するかもしれない。
実はこのキャンペーンの中に「NFL」の文字は一度も出てきていない。公式ルールを読むと、「American professional football team scores at least 50 points in a single game...(アメリカのプロのフットボール・チームが1試合で50得点以上……)」と書いてあり、NFLチームには限定されていない。
マクドナルドは2012年にNFLと公式スポンサー契約を結んだが、2017年の契約更新のタイミングで更新を見送り、NFLのスポンサーから降りてしまった。昨季は1シーズンだけマクドナルドはNFLのスポンサーに復帰したが、NFLは今季から新たにサブウェイとスポンサー契約を結び、マクドナルドの穴埋めをした。
不思議なことに、このキャンペーンはツイッターを利用して行われているのに、マクドナルドとドアダッシュの公式ツイッター・アカウントには、このキャンペーンの告知が見当たらない。一般向けの公式サイトにも当キャンペーンの告知は見当たらずに、第三者が偽装した偽キャンペーンかと疑ってしまった。
ようやく投資家向けの企業サイトの中にキャンペーン開催のお知らせがひっそりと載っていたのを見つけた。
マクドナルドはNFLの公式スポンサーではないので、キャンペーンにNFLの名称やロゴを使えない。そのため苦肉の策として「アメリカのプロのフットボール・チーム」という言い方をしている。
では、このキャンペーンはNFL以外の試合には適用できないのだろうか?
「アメリカのプロのフットボール・チーム」には、「メジャーリーグ・サッカー」(MLS)のチームも含まれるが、MLSの試合で1チームが50得点以上を記録するのは不可能ではないが現実的ではない。
では、2人の日本人選手が参戦しているアメフトの育成リーグ、「ザ・スプリング・リーグ」(TSL)はどうだろうか?
対象期間中、TSLは今日、11月17日(日本時間18日)に3試合を予定している。11月10日と11日の試合では2チームが42得点を上げており、50得点は現実味はある。
問題はTSLを「プロのフットボール」と呼べるかどうかだ。今季からFOX系列の大手スポーツ専門ケーブルテレビ・チャンネルの「FS1」でTSLの試合は生中継されている。そこだけを見ると「プロのフットボール」に感じるが、TSLの選手は給料を得てはいない。給料をもらっていないだけでなく、選手は2000ドル前後(約20万円)の参加費をリーグに払ってプレーしているのでプロではない。選手の中には参加費を免除される者もいるが、TSLのチームは「プロのフットボール・チーム」には該当しない。
……とここまで書いていたら、16日(日本時間17日)の新型コロナウイルス検査の結果、複数の選手から陽性反応が出たために、17日の試合の中止が試合直前に急遽発表された。
12月2日(日本時間3日)に予定されていたチャンピオンシップ・ゲームも中止となり、TSLの今シーズンはいきなり幕を閉じた。