『優勝願望のサポーターと疲労感な選手たち』浦和vs横浜FC【浦和レッズ川柳試合レビュー】
■予想以上の埼スタな理由
想像していたよりも観客の数が多かったので、「これは、ひょっとして『優勝』もあるかもしれないっていう、『優勝願望』のお客さんが来たのかな」とつい考えた。金曜夜で相手が横浜FCとなれば、正直、2万人割れは覚悟してたし。
私がスタンドについたのが、試合開始30分前くらい。それからバックスタンドロアーはどんどん埋まっていって、ほぼ満員。しかも、観客層を見ていると、女性、それもカップルで連れて来られた初心者という感じではなく、すでにレッズの試合をたっぷり見て来たコアな人たちが多い印象だ。結局、2万2千人台か。
しかも、南側自由席でも、いつも以上に応援がアツい。声もよく出てる。これは確実に「優勝願望」だな。
優勝を 目指して叫ぶ 南側
■疲労感が目立つ展開に
ところが、試合が始まってみたら、私たちが思い描いていたのとはだいぶ違う現実が展開していた。優勝を争っているはずのレッズが、残留争いの横浜FCに押されまくっているのだ。ようやくフリーでヘディングのチャンスがあっても、小泉が外しアリャリャと呆れているところに失点を食らう。
試合が立て込んでるのはあるとしても、チーム全体が油の切れた歯車みたいなもので、うまく回って行ってない。
と思ったら、ようやく調子が出てきて、点とってもらわなきゃいけないリンセンが倒れた。
継続不能で興梠にチェンジ。ちっとも優勝争いをしているような「華やぎ」はなく、とにかくルヴァンやACLや、厳しいスケジュールの中、試合をこなしていこうとする疲労感ばかりが見える。
立て込んだ 試合をこなす 疲労感
こりゃきょうはキビしいか、と見ていたら、オーロラビジョンに森保の顔がうつっていた。え?いったい誰を視察に来たのだろう?
後半は、小泉、荻原、早川と3人を引っ込め、攻勢をかける。ただ、「カラ元気」みたいなもので、5分もしないうちに前半のペースに戻ってしまった。
横浜FCも、2度3度と鋭いカウンターかましてくるので、「2点目とられた終わり」とヒヤヒヤする。ようやくPKを獲得した時には、「これでどうにか1点」と一安心。カンテもリンセンもいない中、まず点を取るとしたらPKかな、と半ば予想したら、まあその通り。でも、勝ち点3とるにはもう1点必要なのに、誰が点取ってくれるか、見当つかない。こうなったら、もう1点PKかなと期待してたら、逆にとられそうなシーンがあって、これもまたヒヤヒヤ。
「優勝願望」のゴール裏のサポーターの方ばかりがヒートアップして、それがうまくピッチ上に行かないもどかしさが続く。
あと1点 PKとれよと ゴール裏
アディショナルタイムが「6分」と出た時も、時間内に、どうゴールを決めてくれるか以上に、どう相手のゴール前でうまく倒れてくれるかを考えていた私がいた。
レッズは攻めはしたものの、サポーターの願いも届かず、勝ち点1止まり。残り5試合で、首位のヴィッセルとの差は8か。厳しくなった。厳しいって言えばもともとそうだが、横浜FC相手なら、当然、勝ち点3を計算していたはずだが。相手としても、降格危機の中、勝ち点3をとれる試合をとりそこなって、ガッカリしてるかもしれないけど。
帰り、「中秋の名月」は雲に隠れてよく見えなかったし、自転車乗ってたら、途中で雨が降り出した。つまり、そういう1日だったのだ。
名月も 見えずに雨で 勝ち点1
山中伊知郎
1954年生まれ。1992年に浦和に引っ越して来て、93年のJリーグ開幕時にレッズのシーズンチケットを取得。以後30年間、ずっとシーズンチケットを持ち続け、駒場、ならびに埼スタに通う。2021年より、レッズ戦を観戦した後、「川柳」を詠むという「レッズ川柳」を始める。現在、去年一年の記事をまとめた単行本『浦和レッズ川柳2022』(飯塚書店)が好評発売中。
代表を務める「ビンボーひとり出版社」山中企画では、8月、テレビの夢グループCMで、石田社長の横で「社長~! 安くしてエ~!」の甘え声でお馴染の歌手・保科有里の『愛人!? 困っちゃう・・・』という本を出す。秋には、タブレット純とエド山口の対談本を出す予定。
11月27日(月)、東京都江戸川区のタワーホール船堀・小ホールで『ちょっと昭和なヤングたち90回スペシャル』も開催。