もと阪神タイガースの“同級生”・穴田真規選手と阪口哲也選手 ことしも顔合わせ
ことしは、3月初めからWBC(ワールドベースボールクラシック)、選抜高校野球と野球熱が高まっていますね。そして、いよいよ2日後に開幕するプロ野球の、その1軍メンバーが発表されました。阪神タイガースは以下の27人です。
【投手】能見、岩貞、藤川、マテオ、高橋、メッセンジャー、松田、桑原、岩崎、ドリス
【捕手】梅野、岡崎、原口
【内野手】上本、大和、鳥谷、北條、新井、糸原、荒木
【外野手】糸井、福留、高山、江越、中谷、俊介、狩野
ルーキーは糸原選手のみ、原口選手(8年目)と中谷選手(6年目)は初の開幕1軍。岩貞投手と岩崎投手(4年目)、ドリス投手(2年目)も、開幕となると初めてですよね。安芸キャンプ組から狩野選手(17年目)、新井選手、大和選手(12年目)、桑原投手(10年目)が入ったのは嬉しいかも。とはいえ、先発ピッチャーの残りが登録される際に2人は抹消しなくちゃならないわけで…そこは複雑です。一刻も早く1軍へと、ファームの戦いも激しくなっていくでしょう。
社会人野球はもう開幕しました
さて、きょうは社会人野球の話題です。こちらは既に3月初めから、公式戦であるJABA大会など各地で熱戦が繰り広げられています。もと阪神の選手が所属するチームは、まず3月4日からの『京都府春季大会』にカナフレックス(藤井宏政選手)が出場。1勝1敗で1次トーナメント敗退でした。またクラブチームのOBC高島(野原祐也監督)は1次リーグ初戦を棄権したため、0勝1敗という結果です。
3月11日から行われた『JABA東京スポニチ大会』には、新日鐵住金鹿島(玉置隆投手)とパナソニック(阪口哲也選手)が同じAブロックで出場したため、直接対決も!玉置投手が先発し、リードを許しながら中盤以降に追いついた新日鐵住金鹿島ですが、3‐3のまま延長戦へ突入。タイブレークの10回にパナソニックがサヨナラ勝ちしています。ただし両チームとも決勝トーナメント出場はなりませんでした。
4月に入ると、いよいよ7月の都市対抗野球を目指して各地で1次予選が始まります。これを突破することが、企業チームもクラブチームも第一目標ですからね。また、優勝すれば秋の社会人日本選手権に出場できるJABAの対象大会も次々に行われるわけで、そこへ向けてのオープン戦(練習試合)も多数開催中。4月12日にはパナソニックがカナフレックスと対戦、4月18日にはカナフレックスが鳴尾浜にやって来ますよ。ぜひ応援をお願いします!
ことし最初のアナテツ対戦
そして3月28日は大阪府枚方市のパナソニックベースボールスタジアムで、パナソニックと和歌山箕島球友会のオープン戦が行われました。
パナソニックの阪口哲也選手(24)と、和歌山箕島球友会の穴田真規選手'(24)は阪神タイガースに育成選手として同期入団。退団が1年違うので、社会人としては穴田選手が4年目、阪口選手が3年目です。
ことしはまだ社会人初観戦だったので、両チームの監督や選手に“新年の挨拶”をしたり。どちらも新人選手が入りラインアップも変化しています。ということは、昨シーズンまで見ていた顔ぶれがいない寂しさもあるわけで…。パナソニックは8人が、また和歌山箕島球友会は6人(投手1、捕手1、内野手2、外野手2)が入団しました。それでも相変わらず、阪口選手や穴田選手の同学年は多いですね。
さて、試合はパナソニックは阪口選手と同じ3年目の安部投手(24)、榎本投手(24)が登板。和歌山箕島球友会は2年目の松尾投手(19)、和田投手(23)です。序盤から長打が出て点の取り合いになり、3回に4安打3四死球で5点を取ったパナソニックの勝ちでした。
パナソニック-和歌山箕島球友会
(パナソニックBBスタジアム)
箕島 020 100 000 = 3
パナ 205 000 10X = 8
試合経過
パナソニックは1回、田中の先頭打者ホームランで先制。ヒットやエラーなどで1死一、三塁とし、5番・井上の右前タイムリーでもう1点追加。すると箕島は2回、1死から5番・林の中越え二塁打、相手エラーと西口の中前打で1死満塁となり、8番・水田の中前タイムリーで2点を返しました。
その裏を三者凡退で終えた箕島の先発・松尾ですが、3回にパナソニックは1番からの連打と死球で無死満塁、4番・柳田が左中間へ走者一掃の二塁打!2死後に連続四球を与え、9番・宮本に2点タイムリー。この回5点が入ります。箕島は4回に林の中前打と平井の四球などで1死一、二塁として、またも水田が中前タイムリー。これで7対3。
箕島2人目の和田は6回、2死満塁と攻めたパナソニック打線を0点に抑えたものの、7回2死から7番・福原に四球を与え。続く三上の左中間二塁打で1点を失います。8回は三者凡退でした。でも箕島の方は7回と8回にヒットを放ちながら無得点。8対3で試合終了。パナソニック10安打、箕島は8安打です。
チャンピオン奪還に向けて
先に和歌山箕島球友会の話から。まず穴田選手の打席結果を書いておきましょう。3番サードでフル出場、1回は2死から四球を選ぶも盗塁失敗で終了。3回は1死ランナーなしで空振り三振。5回は左中間二塁打を放ったルーキー・夏見選手を、穴田選手は初球でキッチリと送りました(投犠打)。7回は1死二塁で空振り三振、2打数0安打です。
西川忠宏監督は「穴田、いいですよ。守備は本当によくなったし。終盤に守備固めを出す必要がなくなったからね」と言われました。ことしはずっと3番サードで出ていて、オープン戦ながらホームランも打っています。ついで「松尾がよくなったんですよ、体重をあと3キロ増やせとは言っていますけどね(笑)」と西川監督。
ことしも都市対抗の本大会出場が目標であることは変わらず、昨年まさかの予選敗退となったクラブ選手権に出て、チャンピオンの座を取り戻さなくてはなりません。「そうですね。新人は入りましたが、去年とレギュラー陣は変わっていないので。去年のような“油断”はしないように頑張ります!」
4番を打つ岸選手が、この日は3三振を喫するなど4打数ノーヒットでした。それについて「パナソニックの監督にも『岸くん、調子よかったのに』と言われたけど、本当によく打っていたんですよ。でも先日の大阪ガスとか今回のパナソニックとか、企業チーム相手になると力むのかな。平常心でできたらねえ」と、西川監督は残念そうでした。
その岸翔太選手は「負けた原因はこれ」と自分を指さして、うつむきながら「1打席目の三振が…。やっぱり1打席目が大事ですね」と悔やみます。また先発した松尾大輝投手は「状態は悪くないです。レベルの高い相手に投げるのはことし初めてで、今までと同じようにやって “あ、レベル高いわ” と思いました」と言ったあと「こういう相手にもっと投げたいし、抑えていきたい」と前を向く、負けず嫌いな二十歳です。
3番に定着して勝利に貢献すること
お待たせしました。穴田真規選手の話をご紹介しましょう。ここまでのオープン戦を振り返って「調子いいんか悪いんか、わからん。いいとは言われへん…かな」と微妙な表現。守備に関しては西川監督と同じく、よくなったと周りから評価されるそうですが、これも「自覚は特にないですね。だって、もともとうまいし」。しれっと言ってニヤリ。
ここで、同い年の北面成也投手が「もともと守備うまいですからね」とダメ押し(笑)。そして「丁寧さが増したと思いますよ」とのことです。穴田選手本人も「ずっとサードをやっていて、だいぶ慣れたかな」と、最後は真面目に答えました。
なお、この日の試合後に原井和也ヘッドコーチから「3番と4番があんなバッティングしていたら絶対勝たれへん!話にならん」と怒られたそうです。3番・穴田選手と4番・岸選手で合わせて5三振でしたもんねえ。ただ結果ではなくて、打席の内容が悪いのだとか。原井コーチの口調をマネしながらも、納得して反省する3、4番。次に生かしてください。
昨シーズンは、前年に優勝したクラブ選手権の出場を逃し、いろいろと自分自身のことも考えた穴田選手ですが、このままでは終われないと思ったのでしょう。続ける決心をしました。勝負の4年目、目標は?「ことしは3番を打つことが多いので、そこで定着して文句を言われない活躍をしたいです。それでチームが勝てば一番いい。西武ドーム、行かんとね」
西武プリンスドームの名前はメットライフドームに変わりましたが、全日本クラブ野球選手権は変わらず9月です。その前に都市対抗の予選ですね。和歌山箕島球友会は4月8日と15日に大阪・和歌山の1次予選に臨みます。
背番号変更「頑張らないと!」
続いて、パナソニックで3年目のシーズンを迎えた阪口哲也選手。28日は出場機会がなく、攻撃前の円陣やグラウンド整備で姿を見られたくらいです。きょう29日の福岡大学戦は途中から出たそうで、でも結果は三振…。あらま。
そうそう!阪口選手の背番号が変わりました。昨年までは、梶原康司監督が現役時代につけていた『8』だったんですけど、ことしから『27』になっています。8は空いたままだとか。「8番はクビですよ、哲くん」と梶原監督。これ、わざとです。いつも本人に聞こえるように、こういうことを言いながら奮起を促しているのです。
「哲くん、きのう、おとといは出ていたけど、きょうは出番なしですね。あ、でもオープン戦でホームランを打ったんですよ!パッカーンって」と、梶原監督から教えてもらいました。そういえば阪口選手が、あとで思えば阪神ラストゲームになった公式戦でホームランを打ったと伝えたら梶原監督は「えっ打ってるんですか!公式戦で?へえ~」とビックリ顔。
3月5日の奈良学園大学戦で右ピッチャーから打ったそうです。阪口選手に聞いてみたら「めっちゃ飛びましたよ。特大ホームラン!あそこまで行くかと思った」と、ライトのネットより、まだずっと向こうにあるマンションを指差します。いや、そこまで飛んだらすごいことになるでしょうけど。でも本当に特大だったみたいで、これまた同い年の藤井健選手が「完璧なホームランだった」と証言してくれました。ちなみにホームランは、パナソニック1年目に1本打って以来だそうです。
それからは自分の話そっちのけで「○○さん、どうしていますか?」「○○は元気ですか?」と阪神の選手やスタッフの近況を聞く阪口選手。同期で同い年の中谷選手に話が及ぶと「僕も頑張らなあきませんね!」と、自ら気合を注入していました。試合に出ずとも、ベンチで誰より声を出しています。梶原監督も「哲くん、最近は大きな声出してますよ。ヤーヤー言うてる」と笑顔でした。代走で出ることも多いし、守備も堅実な阪口選手ですが、ことしはスタメンで出るところをたくさんみたいですね。