ガソリン価格は10週連続で上昇、春には一段高が確実な情勢
資源エネルギー庁が2月3日に発表した「石油製品価格調査」によると、2月1日時点のレギュラーガソリン価格は、全国平均で1リットル=139.3円となり、前週の138.9円から0.4円値上がりした。これでガソリン価格の値上がりは10週連続であり、昨年11月16日時点の132.5円から累計で6.8円値上がりしている。
昨年は新型コロナウイルスの影響で国際原油価格が急落したことで、ガソリン価格も急落した。年初の150.1円が5月11日時点では124.8円まで急落していた。しかし、その後は国際原油価格が上昇に転じたことで、ガソリン価格も上昇に転じており、昨年3月23日時点の139.3円以来の高値を更新している。
国内では新型コロナウイルスの感染拡大で緊急事態宣言が発令されており、外出自粛の動きからガソリン販売は低迷している。直近の昨年11月時点のでは、ガソリン販売量は前年同期を4.9%下回っている。ただ、ガソリン生産コストが急激な上昇を見せる中、価格は強含みに推移している。
しかも、このガソリン価格はこれから一段と上昇するのが必至の状況にある。年明け後に国際原油価格が一段と上昇しているためだ。国内のガソリン価格は中東産原油の輸入コストに依存するが、国際指標となるNY原油先物価格は既に約1年ぶりの高値を更新している。昨年4月には一時マイナス価格が示現するほどの混乱状況になったが、2月2日の取引では1バレル=55ドルの節目を突破している。
世界的なパンデミックの影響で需要は依然として低迷状態にあるが、少なくとも昨年までと比較すると大幅な改善傾向にある。一方、石油輸出国機構(OPEC)にロシアなどを加えた「OPECプラス」は、大規模な協調減産体制によって、過剰在庫の取り崩しに取り組んでいる。しかも、2月と3月にはサウジアラビアが日量100万バレルと大規模な自主的減産に踏み切ることで、短期的な需要環境の悪化、需要端境期の需給緩和、原油価格の値崩れを阻止する姿勢を鮮明にしている。
2月2日にはOPECプラスの合同技術委員会(JTC)が開催されているが、そこでは現時点での基本シナリオでは、2021年は全ての月にわたって在庫の取り崩しが進む(=供給不足状態になる)との楽観的な見方を示している。これから原油価格が急激な値崩れを起こさないのであれば、現在の原油価格の値位置でもガソリン価格は150円台回復が支持される状況にある。春先には原油価格上昇のコスト転嫁が進むことで、コロナ禍前のガソリン価格環境に近づく可能性が高い。