地震に便乗する者たちよりも、素早い注意喚起と警戒が重要 ノーサイドの取り組みが不可欠#専門家のまとめ
能登半島地震に便乗するような窃盗や悪質商法と思しき事案が次々に報道されています。特に災害直後に気をつけるべきは、空き巣や窃盗です。
過去の事案を見てもそうですが、犯罪を行う者たちは、多くの人が避難所に向かい、人がいなくなった家を狙います。もし家から金品を盗み出しても、家が被災したら何が盗られたのかわからないし、玄関や窓などが壊れていて侵入しやすいこともあるからです。避難所から戻り、後片付けをするなかで、犯罪の兆候を感じたら、迷わずに警察への通報をお願いします。
今後、こうした犯罪を起こさせないためにも、今、起きている被害などの状況を知ることが何より大事になります。
▼大学生の男が住宅に侵入し、家にあったみかん6個を盗みましたが、不審に思った近所の住民が身柄を確保し、現行犯逮捕されました。
▼善意を前面に出して訪問し、高齢者が屋根などに上がれない状況につけこむ悪質な点検商法では、高額な請求をされてしまう懸念があります。
▼一人暮らしの高齢女性が、汚泥回収の名目で20万円を請求されて、払っています。注目すべきは、災害の発生から4日目に、便乗と思しき手口が起きていることです。
▼国民生活センターは、過去の災害時には便乗した悪質商法などが多数発生しているとして、最近は「火災保険を使って自己負担なく住宅の修理ができる」という勧誘の手口への注意も呼び掛けます。
自然災害に便乗した手口はすぐに発生します。
記事をみても、汚泥回収名目の訪問は、災害の発生から4日目に起きており、大学生が逮捕された事例は5日目です。まだまだ埋もれた被害もあるのではないかと思います。
詐欺や窃盗、悪質商法を行う側は、被災者の窮地を好機とみており、すぐに行動してきます。本当に許せない行為ですので、私たちも、そうした者たち以上のスピード感をもって、警戒をすることが大事になります。
一般論として、犯罪行為を一度成功させれば、2度、3度と行われる可能性があります。そうした意味において、今回、大学生はみかん6個を盗んで逮捕されましたが、小さな犯罪でもそれを許さない環境をいかに作るかが大事になります。
何よりこの事例でとても大事だったのは「住宅から出てきた男を不審に思った近所の住民が身柄を確保した」ことで、それにより被害を防止できたと考えています。
ただし、筆者がこれまでの自然災害と違い、一番懸念しているのは、被災地を狙う詐欺や悪質商法のグループが、闇バイト募集などで集められて、行われないかということです。今も、SNS上には、組織的犯罪グループが、様々な犯罪行為をする者たちを呼び集める書き込みがみられるからです。
能登半島地震という甚大な被害を前に、報道する側も含めて、関係各所がすべての垣根を超えたノーサイドでの注意喚起に取り組むことが、詐欺などの犯罪や悪質商法の抑止のために必要となってきます。