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特殊詐欺の阻止率は上がっている! 被害を防いだ事例を通じて私たちが学べること #専門家のまとめ

多田文明詐欺・悪徳商法に詳しいジャーナリスト
(写真:アフロ)

警察庁が発表した令和5年の特殊詐欺の被害額は約441億2千万円と前年より増加しており、深刻な状況です。

一方で希望も見えています。金融機関やコンビニにおいて、詐欺被害を防いだ件数は2万2千346件、約71億7千万円になっていて、阻止率(阻止件数を認知件数と阻止件数の和で除した割合)は、前年に比べて54.6%になっています。詐欺の被害をなくすためには、いかにこの阻止率を上げていけるかが重要です。今年に入っても高齢者の被害を防ぐ事例も多く出ています。被害防止のために何が必要なのかを考えます。

ココがポイント

▼素晴らしいのは、素通りせず声をかけた勇気だと思います。怪しさに気づき、一歩足を踏み出すことで詐欺を防ぎました。

すれ違いざまに「お金」と聞こえ…特殊詐欺見抜く 大学生に感謝状(日テレNEWS)

ATMで電話をかけながら操作する高齢女性の姿を見て、高校生が声をかけて詐欺を防ぎました。孫世代の力も必要です。

“特殊詐欺”被害を未然に防いだ男子高校生に表彰状 「勇気を出して声をかけることができてよかった」(日テレNEWS)

▼コンビニは詐欺を防ぐ最後のとりで 6度も表彰された店長の心がけからみえてくる、詐欺を防ぐための環境作りの大事さ。

6度目の表彰!「かまいたち」弟は詐欺防ぐコンビニ名物店長(NHK)

▼詐欺被害が多く起きるなか、自宅の固定電話は外すべきか否か。読者からの声を通じてみえてくる自分に合った詐欺対策の必要性。

自宅の固定電話って外してる?外してない? かかってくるのはセールス電話、こちらから誰かにかけることはないし…(中国新聞)

エキスパートの補足・見解

すべての事例に通じるのは、詐欺を防ぐための事前準備をしていることです。6度も詐欺を防いだコンビニ店長は、店に迷惑がかかるのではと心配する従業員に「大丈夫」と伝えて、お客さんに声をかけやすい環境を作っています。被害を防いだ大学生や高校生も特殊詐欺の手口への知識があったからこそ、詐欺に気づけたのだと思います。「積極的な声掛け」と「気づき」が詐欺の阻止率を上げることにつながります。

何より被害に遭わないためには、詐欺の電話を取らないことが重要ですので、固定電話を外す以外にも、詐欺対策用電話の設置も選択肢の一つとして考えることを勧めます。新手の詐欺は今後も出てきますので、様々な面からの備えをしておくことが大事になります。

詐欺・悪徳商法に詳しいジャーナリスト

2001年~02年まで、誘われたらついていく雑誌連載を担当。潜入は100ヶ所以上。20年の取材経験から、あらゆる詐欺・悪質商法の実態に精通。「ついていったらこうなった」(彩図社)は番組化し、特番で第8弾まで放送。多数のテレビ番組に出演している。 旧統一教会の元信者だった経験をもとに、教団の問題だけでなく世の中で行われる騙しの手口をいち早く見抜き、被害防止のための講演、講座も行う。2017年~2018年に消費者庁「若者の消費者被害の心理的要因からの分析に係る検討会」の委員を務める。近著に『信じる者は、ダマされる。~元統一教会信者だから書けた「マインドコントロール」の手口』(清談社Publico)

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