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Go To東京除外解除直前の週末、羽田空港で国内航空会社6社が一緒にお見送り。4連休に比べて少なめ

鳥海高太朗航空・旅行アナリスト 帝京大学非常勤講師
羽田空港で国内航空会社6社の地上係員が合同お見送り(9月26日、筆者撮影)

 国内旅行者が急増した9月19日(土)~23日(火)までの秋の4連休明けの週末となった9月26日(土)、羽田空港のチェックインカウンターには旅行者の姿が多く見られているが、4連休初日に比べると、少し落ち着いた状況となっている。

 19日(土)の朝は第1ターミナル・第2ターミナルに直結している駐車場が新型コロナウイルスの影響が出始めた3月以降では初めて「満車」になったが、26日(土)は午前11時過ぎでも全ての駐車場が「空車」表示になっていた。

26日(土)午後1時過ぎの羽田空港国内線第2ターミナル(筆者撮影、以下同じ)
26日(土)午後1時過ぎの羽田空港国内線第2ターミナル(筆者撮影、以下同じ)

羽田空港乗り入れ国内線6社が一緒にお見送り

 現在羽田空港の国内線は、ANA、JALグループ、ソラシドエア、スカイマーク、AIRDO、スターフライヤーが乗り入れているが、26日(土)の朝から昼にかけて便で、羽田空港では初めてとなる6社のグランドスタッフ(地上係員)が各社2名ずつ参加し、一緒になって、それぞれの航空会社の出発便をお見送りする「合同お見送りイベント」が実施された。他の空港では既に実施されているケースも目立つが、国内線の主要航空会社全てが就航する羽田空港では、新型コロナウイルスによる影響後初めての合同お見送りとなった。

ターミナルも異なる国内6つの航空会社のグランドスタッフが、合同で各社の便を一緒にお見送りした
ターミナルも異なる国内6つの航空会社のグランドスタッフが、合同で各社の便を一緒にお見送りした

発案した経緯は?

 今回、新型コロナウイルスによる影響で国内線利用者が低迷しているなか、羽田空港から出発するお客様に感謝の気持ちをお伝えしたいということから、ANAのグループ会社で羽田空港でのチェックイン業務などを行っているANAエアポートサービスが発案し、他の5つの航空会社に声掛けして実現した。

 発案したのはANAエアポートサービスの永峯広基さんと和田莉英さん。永峯さんは「9月に入ってから他の5つの航空会社の方にご提案したところ、ご快諾いただきました。毎年9月の空の日に航空教室などのお仕事紹介などのイベントを実施していたが、各社ともに工夫を凝らした取り組みを例年行っているなかで、今年はお客様と密にならないような形で羽田空港を盛り上がるイベントができないかと考えた結果、6社合同でお見送りイベントが面白い取り組みかと思って発案しました」と今回のイベントの経緯を話した。

合同お見送りを発案したANAエアポートサービスの和田莉英さん(写真左)と永峯広基さん(写真右)
合同お見送りを発案したANAエアポートサービスの和田莉英さん(写真左)と永峯広基さん(写真右)

4連休に比べると利用者は減少のなか、沖縄・北海道方面は堅調

 今回、以下の6社の各便で合同お見送りをしたが、ANAでは、9月19日(土)~23日(火)までの4連休中の平均搭乗率は71.7%(利用者数は対前年の53%)で、特に9月19日(土)の連休初日の羽田発の便に限ると97%近い搭乗率となったが、1週間経った26日では時間帯や目的地によっても異なるが5割~7割程度の搭乗率で搭乗率で出発する便が目立った。ただANA・JAL共に沖縄や北海道方面への路線における搭乗率は高くなっていた。

 参考までに合同お見送りをした便の搭乗者数・搭乗率は以下の通りだ。

■ANA245便 福岡行き(9時00分発)

ボーイング787-8型機(335人乗り)

搭乗者:182人+幼児2人=184人 搭乗率:54.3%

■ソラシドエア33便 長崎行き(9時40分発)

ボーイング737-800型機(174人乗り)

搭乗者:99人+幼児1人=100人 搭乗率:56.9%

■JAL909便 那覇行き(10時25分発)

ボーイング777-200型機(375人乗り)

搭乗者:307人+幼児8人=315人 搭乗率:81.8%

■スカイマーク711便 新千歳行き(11時00分発)

ボーイング737-800型機(177人乗り)

搭乗者:130人+幼児3人=133人 搭乗率:73.4%

■スターフライヤー23便 関西行き(12時05分発)

A320型機(150人乗り)

搭乗者:112人+幼児1人=113人  搭乗率:74.7%

■AIRDO23便 新千歳行き(12時50分発)

ボーイング767-300型機(288人乗り)

搭乗者:130人+幼児6人=136人 搭乗率:45.1%

 1週間前は上記の全便が満席で出発していたことを考えると、4連休に比べて利用者数が減少傾向に減じているが、それでも7月・8月に比べると羽田空港では多くの旅行者の姿を見ることができた。

ANA便のお見送り光景(ボーイング787-8型機)
ANA便のお見送り光景(ボーイング787-8型機)
ソラシドエア便のお見送り光景(ボーイング737-800型機
ソラシドエア便のお見送り光景(ボーイング737-800型機
JAL便のお見送り光景(ボーイング777-200型機)
JAL便のお見送り光景(ボーイング777-200型機)
スカイマーク便のお見送り光景。ボーディングブリッジの乗客に向かってのお見送り(ボーイング737-800型機)
スカイマーク便のお見送り光景。ボーディングブリッジの乗客に向かってのお見送り(ボーイング737-800型機)
スターフライヤー便のお見送り光景(エアバスA320型機)
スターフライヤー便のお見送り光景(エアバスA320型機)
AIRDO便のお見送り光景。企画に携わった各社のスタッフも一緒にお見送り(ボーイング767-300型機)
AIRDO便のお見送り光景。企画に携わった各社のスタッフも一緒にお見送り(ボーイング767-300型機)

航空業界の垣根を越えて一丸となって立ち向かう

 今回のお見送りのイベントに参加した各航空会社の羽田空港で働くグランドスタッフは「普段こういう機会はないが羽田空港で働く航空会社の社員が全社一丸になる機会になった」「今回のように他社の方と協力して感謝の気持ちを伝えられてよかった」「こういう環境の中で他の航空会社との合同イベントで少しでも笑顔を届けられたと思う」などといった感想が聞かれた。今回、普段はライバル関係にある航空会社が業界を上げて新型コロナウイルスに立ち向かう姿を垣間見ることができた。

参加した各航空会社のグランドスタッフ(注:撮影のために一時的にマスクを外しております)
参加した各航空会社のグランドスタッフ(注:撮影のために一時的にマスクを外しております)

今度の木曜日からGo Toトラベルの東京除外解除で予約も増加傾向

 ようやくGo Toトラベルにおける東京都発着除外が10月1日(木)に解除されると共に、これまでの35%割引に加えて15%分の「地域共通クーポン」の配布が開始されることが決まり(航空券のみの場合は適用されない)、これまでの「マイクロツーリズム」という新しい旅行の形として自宅から1~3時間程度で行ける場所への旅行需要に加えて、東京除外解除で明らかに10月以降の沖縄や北海道などへの航空券及び飛行機利用の旅行商品の予約が増えている。

 東京都発着のGo Toトラベルの予約が開始されたのが9月18日(金)だが、ANAでは、Go To東京除外が明らかになる前の9月5日~11日と比較すると、19日~22日の間の新規航空券予約数が1日あたりの平均で10月搭乗分で2.7倍、11月搭乗分で6.2倍に増加している。

 更にある大手旅行会社でも10月・11月の予約が急増し、9月18日(金)以降は前の週に比べて1.5倍~2倍の新規予約が入るなど旅行回復の傾向が見られる。Go Toが東京で適用されない最後の週末になるが、次の週末となる10月3日にはGo Toを使って羽田空港から出発する旅行者が増えそうだ。

羽田空港から多くの人が空の旅に出かけてくれることを願っている

 今後に期待することについて、合同お見送りを企画したANAエアポートサービスの永峯さんは「以前のような形で羽田空港が盛り上がるような日が1日でも早く戻り、羽田空港から多くの人が空の旅に出かけてくれることを願っている」と話した。新型コロナウイルス対策を十分にした上で、感染者数の推移次第ではあるが、飛行機を使った国内旅行も少しずつ回復していくことになりそうだ。

航空・旅行アナリスト 帝京大学非常勤講師

航空会社のマーケティング戦略を主研究に、LCC(格安航空会社)のビジネスモデルの研究や各航空会社の最新動向の取材を続け、経済誌やトレンド雑誌などでの執筆に加え、テレビ・ラジオなどでニュース解説を行う。2016年12月に飛行機ニュースサイト「ひこ旅」を立ち上げた。近著「コロナ後のエアライン」を2021年4月12日に発売。その他に「天草エアラインの奇跡」(集英社)、「エアラインの攻防」(宝島社)などの著書がある。

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