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固定電話のみ世帯は1.3%…アメリカ合衆国電話普及率の推移と現状(2023年下半期版)

不破雷蔵グラフ化・さぐる ジャーナブロガー 検証・解説者/FP  
固定電話を見たことがない人も増えているであろう、アメリカ合衆国の電話事情(写真:アフロ)

携帯電話だけの世帯が7割台後半

携帯電話、特にスマートフォンの普及が著しい米国における電話の普及状況に関する最新調査結果(2022年下半期分)が、同国の公的機関である米疾病対策予防センター(The U.S. Centers for Disease Control and Prevention、CDC)から発表された。それによると携帯電話のみの世帯は半数を超えて76.0%に達している。その発表内容を経年推移の各種データとともに確認していく。

まずは18歳以上の大人に「自分が所属する世帯に関する電話環境」を尋ねたものの結果をグラフ化し、状況を確認する。「携帯電話のみ」に「固定電話のみ」「固定電話・携帯電話双方あり」の3つの選択肢があり、その動向を重ねたのが次のグラフ。ちなみに「携帯電話」とは原文では「wireless telephones」と解説されており、旧来の自動車搭載型の小型携帯式電話、各種携帯型電話(従来型携帯電話、スマートフォンなど)が該当する。

↑ 自分が所属する世帯に関する電話環境(アメリカ合衆国、大人(18歳以上))
↑ 自分が所属する世帯に関する電話環境(アメリカ合衆国、大人(18歳以上))

2006年と2007年の間で「固定電話・携帯電話双方あり」「固定電話のみ」に大きな変化が起きている。これは2007年以降において携帯電話関連の項目で設問方法に変更があったため。区分が変わっただけで、実情が大きな変化を起こしたわけではない。

その動きをのぞけば、固定電話はほぼ一貫して減少している。「固定電話のみ」だけでなく「固定電話・携帯電話双方あり」も減っていることから、固定電話の数が物理的に減り、携帯電話に取って代わられていることが確認できる。2023年下半期で、固定電話のみの世帯は1.3%でしかなく、すでに76.0%は固定電話無し・携帯電話だけの世帯となっている。

この動向は18歳未満の子供に尋ねた場合も変わらない。

↑ 自分が所属する世帯に関する電話環境(アメリカ合衆国、子供(18歳未満))
↑ 自分が所属する世帯に関する電話環境(アメリカ合衆国、子供(18歳未満))

固定電話比率は大人に確認した時よりも低い。最新値では固定電話のみは0.3%となり、携帯電話のみは86.8%と、8割を超えている。これは学生寮などに入り、一人暮らし、あるいはルームメイトとともに過ごす環境下にいる人が多いのが原因と思われる。固定電話に慣れ親しんだ大人世代がいない世帯では、携帯電話の比率が高くなるのも当然ではある。

個人における電話の利用環境

次のグラフは直近期における回答者本人の電話環境を答えてもらったもの(世帯単位ではない)。保有の有無は問わず、生活の中で電話は何を使っているかの実情が分かる。

↑ 自分自身の電話環境(アメリカ合衆国、属性別)(2023年下半期)
↑ 自分自身の電話環境(アメリカ合衆国、属性別)(2023年下半期)

全体では携帯電話のみが75.2%、携帯電話メインが14.0%で、携帯電話のみ・メインで使っている人は9割近く。固定電話と携帯電話が同じぐらいの人は4.7%、固定電話メインが2.8%、固定電話のみが2.0%。

年齢階層別では18~44歳において8割以上が携帯電話のみ、18~64歳で携帯電話のみ・メインが9割を超えている。65歳以上でも7割強が携帯電話のみ・メイン。高齢層ほど固定電話への執着が強いが、それでも携帯電話は確実に普及を進め、固定電話を駆逐しつつある。

学歴別ではおおよそ低学歴の方が固定電話率が高め。これはむしろ学歴そのものよりも世帯貧困度に影響を受けているものと考えられる。その世帯貧困度では貧困度合いが高い方が電話無しの環境下にある人の方が多い。その一方で携帯電話のみの人も貧困度合いが高い方が多めなのは興味深いところ。携帯電話と固定電話の双方を揃える余裕がないのだろう。

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(注)グラフ中では体裁を整えるために項目などの表記(送り仮名など)を一部省略、変更している場合があります。また「~」を「-」と表現する場合があります。

(注)グラフ中の「ppt」とは%ポイントを意味します。

(注)「(大)震災」は特記や詳細表記のない限り、東日本大震災を意味します。

(注)今記事は【ガベージニュース】に掲載した記事に一部加筆・変更をしたものです。

グラフ化・さぐる ジャーナブロガー 検証・解説者/FP  

ニュースサイト「ガベージニュース」管理人。3級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。経済・社会情勢分野を中心に、官公庁発表情報をはじめ多彩な情報を多視点から俯瞰、グラフ化、さらには複数要件を組み合わせ・照らし合わせ、社会の鼓動を聴ける解説を行っています。過去の経歴を元に、軍事や歴史、携帯電話を中心としたデジタル系にも領域を広げることもあります。

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