「仮面ライダーセイバー」で初のイクメンライダー役。今、生島勇輝が明かす父・生島ヒロシへの思い
現在放送中のテレビ朝日「仮面ライダーセイバー」でシリーズ初のイクメンライダー・仮面ライダーバスターを演じている生島勇輝さん(36)。フリーアナウンサー・生島ヒロシさんの長男で、リポーター活動を経て2011年に俳優デビューしました。テレビ朝日「緊急取調室」やTBS「Kesennuma,Voices.」などで経験を積み重ねてきましたが、活動の根底にある両親への思いを明かしました。
まさか、この歳で
「仮面ライダーセイバー」への出演のお話をいただいたのは、今年7月頃でした。
まず何より、お仕事をいただけるありがたさが最初にきたんですけど、僕も、もう36歳ですので(笑)、何かしらのゲスト出演か、敵対する悪役とかかなと。それで、マネージャーさんに聞いてみると「いや、変身します。ライダーです」とのことでして(笑)。
まさか、この歳でライダーをやるとは思ってなかったので、最初は理解が追い付かない部分もあったんですけど、詳しく聞くと「子どもがいる、イクメンライダーです」と。
しかも、仮面ライダーシリーズ50年の歴史で初めての“子育てライダー”ということで、それはそれで重圧があるなとも思ったんですけど、幾重にもありがたいことだと痛感しています。
ただ、役が決まってからが大変でもありました。僕の役はものすごく大きな剣を振り回すんですけど、これがね、実際にとっても重いんです。初のイクメンライダーの重みもありましたけど、物理的に剣も重たくて(笑)。
これを扱うためには相当なトレーニングが必要だと思って、とにかくその日から重たい木刀を振り回すことを始めました。あと、友人のトレーナーに連絡して「とにかく、急速にオレをデカくしてくれ」と頼んで筋力トレーニングも始めました。
この歳ですし、なかなかトレーニングはキツイものではあったんですけど、確実にデカくはなりましたね。剣も、最初は振り下ろしてピシッと止めることができなかったんですけど、今は止めることができるようになりました。
実際に放送が始まると、やっぱり仮面ライダーのすごさを感じました。大きな変化としては、友だちから「子どもがサインを欲しいと言ってるんだけど…」という連絡がくるようになりましたし(笑)。仮面ライダーという看板の大きさというか、説明不要の存在であることを身をもって感じています。
親への感謝
あと、息子がいる役なので“家族”“子ども”ということを演じる中で、強く意識するようにもなりました。
子どもがいて、家庭を持ったら、どうなるんだろう。子どもにはどんな習い事をさせるのか。どんなことを教えようか。ナニな話、成人するまでどれくらいお金がかかるのか。そんなことも改めて調べたりもしました。
そうやって、子どものことをあらゆる角度から考えていると、必然的に、自分の親への感謝が高まりました。
実際、僕は私立の学校にも通わせてもらっていたので、それだけでも「こんなにお金をかけてくれていたんだな」と思いましたし、自ずと「お父さん、ありがとう」という気持ちも湧き上がってきました。期せずして、親の愛を再認識する作品にもなっています。ま、ウチの親ももう70歳になるので、早く孫の顔を見せてあげたいというのはあります。まず結婚しないといけないんですけど(笑)。
この作品が決まった時、両親はすごく喜んでくれました。僕は役者を始めて10年になるんですけど、一つの節目でもあるし、実は10年経っても何の希望も見えていないならば、全く違う仕事にシフトしようかとも思っていたんです。
その矢先にいただいたのが今回のお話でした。まだまだこれからなんですけど、やっと、少しは親にこの仕事をやり続ける意義を見せられたかなと思ってもいます。
僕が小さい頃は、親父はほとんど家に居なかったので、親とはいえ、テレビの向こう側の人という意識も強かったんです。ただ、だからこそ、テレビとの距離を近く感じられたというか、自分と全く別世界のものとは思わなかったといいますか。その感覚があったことが今の仕事にも確実に繋がっていますしね。
ただ、忙しい中でも、学校の運動会だとか、そういう行事にはしっかりと来てくれる親父でもありまして。ちゃんと自分たちのことを大切にしてくれているというのは意識として分かってはいました。
あと、これは今でもそうなんですけど、親父はめちゃめちゃ健康オタクでして(笑)。僕らも小さな頃から乾布摩擦をやらされたり、冷たいシャワーと熱いシャワーを交互にかけてからじゃないと風呂からあがれなかったり。
ま、正直、小さい頃は寒いしイヤな思いもありましたけど(笑)、今から思うと、自然と健康を意識する感覚を身につけさせてもらっていたんだなと。それが、今のお仕事、特に体が資本の仮面ライダーという作品にとっては、とても役立っています。
こうやって、何か新しい場面に置かれた時は、とりわけ親父の言葉や、やってくれていたことが意味を持つような感覚になります。
親孝行のカタチ
父も今の状況を喜んではくれていますし、あと、母の願いはNHKの朝ドラに出ることなんです。来年の朝ドラ「おかえりモネ」は宮城の気仙沼が舞台になるので、親父の故郷も気仙沼。僕自身もドキュメンタリーの撮影で気仙沼を訪れてますし、もし、何かしらの形で関われたらなとは思っています。
来年でなくとも、今後もし朝ドラに出られたら、少しは母親にも安心してもらえるのかなと。なんだかんだ、この10年心配をかけてきてますから、早く「大丈夫だよ」を言えるようなことがしたいとは思っているんです。
ま、親父に関しては、具体的な作品というよりも「一人前の男になったことを見せる」のが一番なのかなとも考えています。
もちろん、いろいろな形がありますけど、今回のライダーみたいに家庭を築いて、孫を親に抱かせて。一家の大黒柱としての姿を見せた時に、これまでとは違う親父との関係性がまた築けるんじゃないかなとも思っています。
そうやって、今よりも多くのものを背負うことが、役者としても大切だと思いますし。
…ずいぶん、まじめにしゃべっちゃってますね(笑)。なんだか、気恥ずかしくもありますけど、本当に思ってることですし、なんとか、頑張っていきたいと思います!
(撮影・中西正男)
■生島勇輝(いくしま・ゆうき)
1984年4月4日生まれ。東京都出身。リポーターとして活動後、2011年に俳優デビュー。東日本大震災をテーマにしたドキュメンタリードラマ「Kesennuma,Voices. 」に主演。現在放送中のテレビ朝日「仮面ライダーセイバー」ではシリーズ50年の歴史で初となる“子連れライダー”の仮面ライダーバスターとして出演している。