ライバルセラーの評判を下げる目的か。プレスリリース配信サイトの汚染が加速した日
通販サイトで商品を購入する際に、購入者が入力したカスタマーレビューを参考にしている人は多いでしょう。しかし近年、通販サイトのカスタマーレビューは怪しげなものが多くなっています。
自動翻訳機能を使ったようなたどたどしい日本語で書かれたレビューもあれば、ネイティブな日本人が書いたであろうけれども製品レビューとしてまとまっていなかったり、他のアカウントのレビューとほぼ同じ内容だったり。
なんか怪しい。「これは商品の無償提供、または金銭提供によるフェイクレビューなのでは」と思えるものを多くみかけます。
TwitterやFacebookで検索すると、毎日のように「レビュアー募集しています。無料で商品が入手できます」といった書き込みを見ることができます。レビューを書くことで商品をもらったり、キャッシュバックしてもらうことを、副業として紹介しているサイトもあります。
これはもちろんAmazonの利用規約違反。しかしサクラのフェイクレビューは鳴りを潜めることを知らず、どんどん増えているのが現状です。
さて2019年8月7日。大手プレスリリース配信サイト・PR TIMESに掲載された1つのプレスリリースに、ネットの注目が集まりました。それはAmazonに出品されている商品が、フェイクレビューを集めているものではないかと糾弾する内容でした。
現在は削除されているようなので、有志の方がアーカイブサイト archive.todayに記録したURLから本文を引用します。
プレスリリースに記載されたURLは、プレスリリースで非難しているAmazonセラーのもの。そしてプレスリリースを出した企業の履歴を見ると、別のAmazonセラーであることが見えてきました。
これ...もしかして、ライバルセラーの評判を下げるためのプレスリリース、ということなのでしょうか。
Amazonのカスタマーレビューの場において、ライバル関係にあるセラーの評判を下げるためのレビューテクニックがあると聞いたことはあります。しかしリングを超えて、PR TIMESというプレスリリースサイトで非難をするというのは、アバンギャルドな飛び道具すぎですよね。
とはいえプレスリリースの文体は、特定のルールでガチガチに決められたものではありません。そして該当のプレスリリースがPR TIMES掲載中はPVが多かったのでしょう、ランキング上位に位置していました。
以前から、校閲されたとは感じないフリーダムなプレスリリースはときおり出回っていました。プレスリリースサイトに掲載からの、その提携先であるニュースサイトにも掲載されるうま味を吸い尽くすかのような内容のものが。
もしかして僕らは、フェイクレビューだけではなく、フェイクプレスリリースにも注意しなければならなくなるのでしょうか。