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フェニックス・リーグ 練習試合は4回で終了、最終クールも雨の幕開け《阪神ファーム》

岡本育子フリーアナウンサー、フリーライター
雨粒を顔に受けながら投げ続けた秋山投手。4回1安打4三振で無失点です。

いよいよ最終クールに突入した『みやざきフェニックス・リーグ2016』。残り3試合しかないのに、きょう22日は前夜からの雨が朝になっても降り続き、朝7時40分に全8試合の中止が発表されました。予報通り、日中はとても試合なんてできない大雨だったので、仕方ないかな。でも、あす23日も雨のようで…。最終日の24日はできそうな気配ですけど、土日とも流れるなんて困りますよねえ。

そういえば2010年も終盤、立て続けに試合が流れました。また詳しく書きますが、もしかすると今回はそれを超えるかもしれません。投手陣がなかなか登板できなくて、だいぶ予定を変更したでしょうね。

なおチームは、きのう練習試合があったため、きょう中止の場合は休養日と決まっていました。投手のみ指名練習を行っていて、24日に先発予定の望月投手がピッチングをしたみたいです。きょうは金田投手だったのですが、あすはおそらく松田投手の先発ではないかと。やりくりが大変ですねえ。もちろん中継ぎで投げている投手陣も、予定変更だらけで気の毒です。

なんとか4回までできた練習試合

既にポツポツ来ている球場。10分ほど早く試合を始めます。
既にポツポツ来ている球場。10分ほど早く試合を始めます。
ロッテの高濱卓也選手。もう27歳になったんですね~
ロッテの高濱卓也選手。もう27歳になったんですね~

さて先ほども書いたように、きのう21日はSOKKENスタジアムでロッテと練習試合を行いました。午後は雨という予報だったものの、朝は青空も見えていてホッ。何より秋山投手がどうしても投げたい!と切実に願っていたので、たとえ4回まででも出来て本当によかったですね。

ことしのフェニックスでは21日に練習試合を行うことが決まっていて他は休養日の予定だったのですが、第1クールにいきなり2試合が流れたため、7日に巨人との練習試合(清武第二)が組まれました。しかし練習が終わって、さあプレーボールというところで中止になったとか。よって練習試合は、きのうの1試合だけです。

実は日程がうまく合わず、ことしはロッテ戦を見られないと思っていたのですが、この練習試合のおかげで高濱卓也選手に会えました!最近、弟の祐仁選手(日本ハム)と会うことの方が多いかも。本来なら高濱選手は休みの予定だったと言っていたけど、4番でキッチリ二塁打を打っています。

《フェニックス 練習試合》21日

阪神- ロッテ (SOKKEN)

ロッテ 000 0 = 0

阪 神 000 0 = 0

※雨が激しくなり4回で終了

◆バッテリー

【阪神】秋山 / 坂本

【ロッテ】原 / 吉田

◆三塁打 森越

◆二塁打 高濱

◆打撃 (打-安-点/振-球/盗塁/失策)

1]中:板山 (2-0-0 / 0-0 / 0 / 0)

2]右:植田 (2-0-0 / 0-0 / 0 / 0)

3]指:江越 (1-0-0 / 1-1 / 0 / 0)

4]左:横田 (2-0-0 / 1-0 / 0 / 0)

5]三:陽川 (2-1-0 / 1-0 / 0 / 0)

6]遊:森越 (2-1-0 / 0-0 / 0 / 0)

7]一:西田 (1-0-0 / 1-0 / 0 / 0)

8]捕:坂本 (1-0-0 / 0-0 / 0 / 0)

9]二:荒木 (1-0-0 / 1-0 / 0 / 0)

◆投手(打-振-球/失点-自責) 最速キロ

秋山 4回59球 (1-4-0 / 0-0) 144

<試合経過>

2回、先頭の高濱投手に投げたのがこのカーブ
2回、先頭の高濱投手に投げたのがこのカーブ
ショートの後ろに落ちて二塁打となりました。
ショートの後ろに落ちて二塁打となりました。
3回裏の攻撃が始まる時。金網にもしずくが。
3回裏の攻撃が始まる時。金網にもしずくが。
スタンドもこんな状態で、屋根のないところは座れません。
スタンドもこんな状態で、屋根のないところは座れません。
砂入れ作業。秋山投手(左)や久保投手コーチ、審判も見守ります。
砂入れ作業。秋山投手(左)や久保投手コーチ、審判も見守ります。

ロッテは、1]右:加藤、2]二:三木、3]左:肘井、4]指:高濱、5]一:大嶺翔、6]三:香月一、7]遊:平沢、8]捕:吉田、9]中:大下、投:原というスターティングメンバ―です。

予定より10分ほど早く始まった試合は、まず秋山が1回に左邪飛、三ゴロ、空振り三振の三者凡退。その裏の阪神も、二ゴロ、投ゴロ、空振り三振の三者凡退でした。

2回は先頭の高濱にカウント1-1からの3球目(おそらくカーブ)を打たれた秋山。打球がレフトとショートの間に落ち二塁打となったものの、あとは空振り三振の連続と一ゴロで難なく抑えています。2回の裏は2死を取られた後、森越がセンターオーバーの三塁打!しかし西田はフルカウントから空振り三振に倒れて得点なし。

3回の秋山は、吉田と大下を遊ゴロ、加藤は左邪飛で三者凡退。こちらの打線も同じく8番からで、坂本は捕邪飛、荒木が見逃し三振、板山は遊飛とやはり三者凡退です。

既に本降りとなった雨の中、4回は投ゴロ、見逃し三振、そして高濱を投ゴロでしっかり抑えた秋山。打線は緒方が二ゴロ、江越は四球、横田が空振り三振で2死となるも、陽川が中前打を放って一、二塁とチャンス到来。先ほど三塁打の森越でしたが、ここは一ゴロで2者残塁。

少し空が明るくなり、何とか5回までやる意向で内野に砂が入れられます。ところが、その作業中にまた雨が激しくなってしまい、結局このまま試合は終了。傘を差して観戦されていた方もあったんですけど、本当に残念でしたね。

投げっぷりを意識したと秋山

秋山投手は「振ってくる相手に、うまくカウントを使えて、いい打ち取り方ができたかなと思います」とピッチングを振り返り、そして「投げられたし、よかったです」と少し笑顔も見られました。何が何でも投げたかったんですよね。残り試合を考えたら、もう機会がないかもしれないと。先発して帰阪していく投手陣がいる中、投げて帰りたいと願っていたでしょう。

投げている秋山投手の写真でも雨粒が写っています。
投げている秋山投手の写真でも雨粒が写っています。

秋山投手は、フェニックスでここまで2試合、中継ぎでの登板しかなかったんですよね。合わせて1回と1/3、たった18球なんて、例年では考えられない数字。恨めしい雨です。しかも6日と11日に投げて、そこから10日ぶりのマウンドでした。これで3試合、でも5回1/3は少ないですねえ。

先発で試したかったことは?と聞かれ「ちょっと(登板間隔が)空いている分、練習でだいぶ体も疲れていたので。躍動感というか、いつもより投げっぷりを意識して、うまくバッターに向かっていこうとはしました。フィニッシュで飛び跳ねてみたりとか。調子がいいとやるんですけど、きょうは意識的に」と答えています。

あえて躍動感を出そうとしたという秋山投手。
あえて躍動感を出そうとしたという秋山投手。

試合前から雨が降り出していたけど、影響はなかったみたいで何より。「入りに気をつけていたので。よかったです」。ゲームで59球、そのあとブルペンで33球のピッチングをして引き揚げた秋山投手。投げ終えた後も坂本選手と試合を振り返っていたのか、結構長く話し込んでいましたね。

なお掛布監督は、4回までしかできなかったものの「秋山だけ投げられればと思って。きょう帰る予定だったから。もう残りを考えたら投げさせるところがなかったので、やれてよかったですよ。秋山もよかったでしょう」と納得の表情です。

厳しい秋季キャンプに備えて

20日のヤクルト戦で西都へ行った時、朝の練習前ミーティングの締めで掛布監督はフェニックス・リーグでの方針変更について話していました。「僕たちがぶれて申し訳ないんだけど」と前置きして。少し前に変わったと思われますが、つまり1軍からの要望で「秋季キャンプは相当ハードなものになるので、宮崎にいるメンバーもゲーム主体からトレーニングに重点を置くよう」要望があったということでしょうか。

「1軍は、どれだけ自分を追い込んでいけるか。走る量だとかウエートだとか、いい意味で体をいじめていく。(首脳陣は)今、結果が出なくても来年出ればと考えていると思います。フェニックスで数字の目標はあるんだけど、上の戦う集団を考えれば、どうパフォーマンスを出していくかということでしょう。フェニックスがよかったから来年いい、ではないので、基礎的なことをやっておいてくれと、そういうフェニックスに方向を切り替えて」と掛布監督の説明です。

ことしのフェニックスでよく見る光景。江越選手を指導する掛布監督です。
ことしのフェニックスでよく見る光景。江越選手を指導する掛布監督です。

宮崎入りする前に、選手たちの試合での目標設定をさせていたこともあって、掛布監督から「ぶれて申し訳ない」という言葉があったんですね。「秋季練習で1軍もやり出していて、こっちでもやってほしいと連絡があった。秋季キャンプには、ここにいる選手がほとんど行くから、準備をさせておいてくれとのこと。当初の目的である『ゲームで』というより、秋季キャンプへの準備に切り替えた部分はあります」

具体的に何が変わったかを説明するのは難しいんですけど、たとえば試合後の練習でもティーバッティングの早打ちというか、連続打ちを繰り返しやっていますね。全員が打つ日もあったり。試合がホームならメイングラウンドで、ビジターでも室内練習場やサブグランドで、みっちりと打ちこんでいました。

「体が鉛のように重いはず」

掛布監督は「ゲーム云々より追い込むこと。これは、秋季キャンプがきつくなるというメッセージ。だからといってゲームで抜くんじゃなくてね。ゲームをやって、それに加えてこれだけ練習するわけで、そうなるとケガが心配」と話しています。

なお第4クールの3試合は4安打、4安打、6安打と打線が湿りがちで「きょうもヒットが打てていないでしょう。体が鉛のように重いはずですよ」と監督。なるほど、それだけ追い込んでいるということでしたか。

「ゲームについて、あまり細かいことを言わないようにしてあげようかなと。こういう練習で技術を身につけないといけないってのもある。惰性でやっちゃダメなんですよ。自分のものにしないと。僕も現役時代、いろいろやったから。両面打ちとか。体が覚えてるもんだね。自転車に乗ったら走れるのと同じ。忘れないものだよ」

試合後のティーバッティングでバットを振る梅野選手。すべては来季のために…。
試合後のティーバッティングでバットを振る梅野選手。すべては来季のために…。

そして掛布監督は最後に「雨が多かったのもあるが、逆に個人の時間も増えるし、ランニングなども含めて。25日から秋季練習に合流して、安芸へ行く人、鳴尾浜の人が分かれると思う。そこから秋季キャンプだけど、もう秋季キャンプがスタートしているようなもの」と締めくくりました。金本監督へ引き渡すまで、選手ひとりひとりに少しでも何かを伝えようという掛布監督。その時間は残りわずかです。しっかり受け取ってください。

フリーアナウンサー、フリーライター

兵庫県加古川市出身。MBSラジオのプロ野球ナイター中継や『太田幸司のスポーツナウ』など、スポーツ番組にレギュラー出演したことが縁で阪神タイガースと関わって約40年。GAORAのウエスタンリーグ中継では実況にも挑戦。それからタイガースのファームを取材するようになり、はや30年が経ちました。2005年からスポニチのウェブサイトで連載していた『岡本育子の小虎日記』を新装開店。「ファームの母」と言われて数十年、母ではもう厚かましい年齢になってしまいましたが…1軍で活躍する選手の“小虎時代”や、これから1軍を目指す若虎、さらには退団後の元小虎たちの近況などもお伝えします。まだまだ母のつもりで!

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