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中食・外食ともに精肉の売り上げが好調

池田恵里フードジャーナリスト
精肉売り上げ好調、今回は牛肉に注目。(写真:アフロ)

スーパー

「精肉売り場がなぜか売り上げ、いいんですよね」

「好調なのが精肉部門でして・・・」

グラフを見ても分かるように、生鮮三品のなかでこの3年、前年比を比較すると精肉は100以上となっている。ちなみに赤い線が精肉です。見づらくてすみません・・・。

一般社団法人新日本スーパーマーケット協会より
一般社団法人新日本スーパーマーケット協会より

野菜は、季節や天候によって仕入れ価格の変動が起こりやすく、魚介類は年々食べることそのものが減少している。1964年、一人当たりの年間消費量25キロからじわじわ増加しはじめたものの、ピークは2001年40キロで止まり、その後下がり続け、現状、約28キロと1964年に近い数字にまで落ち込んでいる。そんななか、こと精肉に関しては年々増加している。なかでもシニア層の消費量は多く、幼い頃から肉に慣れ親しみ、65歳以上でも継続して好まれている。この年代、つまり団塊の世代は貯蓄額も高い。

経営者の方々は口を揃えて、精肉の粗利率の良さも述べられる。私から見ると、最近、特に伸長しているカット野菜は、コンビニでも販売され、諸にぶつかる商品であり、野菜、魚介類はいずれも劣化が早く、ロスになりがちなのだ。ということで、生鮮3品では残るは精肉となる。そしてこれは、顧客に求められている商品でもあり、売り場側からみてもありがたい存在なのだ。さて、この数年の売り場を見ると、精肉の商品の盛り付けの仕方、そして取扱い方もスーパー各社の売り込み方は多岐にわたっている。

なかでも精肉売上で断トツなのが鶏肉であるが、今回、取り上げる牛肉は、原料が高騰し、売上的にはトントンとのこと(豚のことではございませんが・・・)。とはいえ、顧客、なかでも60代以上の年齢層に人気のある牛肉に力をいれずにいられないようだ。

スーパーの売り場

スーパーの売り場を見ると、部位ごとに明記し、それを一つのパックに入れて販売されたり、たれに漬けこみ、細長い容器に入れて、他社との違いを打ち出しているところもある。

サラダにもローストビーフ

スーパーのサラダ売場でも肉を使ったサラダが一般化され、ローストビーフサラダはどこのお店にも登場し、すっかり定着している。何度か、サラダ特集をある雑誌で取り上げたことがあるが、スーパー各社のローストビーフサラダを食べると、そのスーパーのレベルがわかるほどだ。独自のドレッシング、肉の質、盛り付けの良し悪しで、一見、同じように見えても、各社の方針が垣間見える。最近では、ローストビーフそのものを分厚くカットしたものを販売されていたり、ちょっと新しい提案も見受けられる。

ライスペーパーローストビーフサラダ200円お手頃
ライスペーパーローストビーフサラダ200円お手頃

外食でブームとなったローストビーフ丼も陳列。惣菜専門店の方に聞くと「売れているよ、昨年からね」とのこと。スーパーも同様にヒットしているようだ。

とある売り場にてローストビーフ丼
とある売り場にてローストビーフ丼

外食で一世風靡し、今も人気のドライエージングビーフ。温度が1度前後、湿度が70から80%程度の湿度に保ち、風によって、時間をかけてコントロールさせることがポイント。熟成することで酵素が働き、繊維がゆっくり解けていくので、肉も柔らかい。これまでダイエット族には、肉が敬遠されがちだったけれど、これにより見直され、風穴を開けたとも言われている。その後、阪急オアシスでは、11年から手がけ始めたエージングビーフ。最近では、関東のスーパーでも見受けられようになったが、エージングビーフをスーパーで先駆けたのは、阪急オアシスと言われている。「熟成屋」といったコーナーを設け、エージングビーフを使った牛丼、エージングカツレツまで並んでいる。

ということで、今、中食では精肉がちょっとしたブームというか、売り場は華やかに変化してきている。

外食でも肉!

さて外食に目を転じると、外食も同様、最近というか、このところステーキがブームである。

日経MJに50位まで取り上げられているが、ここでは売上伸び率(単独店売上高50億以上)をざっと5位まで見ると

1位 ペッパーフードサービス (ステーキ)69.7%

2位 SPFダイニング(居酒屋)35.4%

3位 近鉄リテーリング(他業態)30.0%

4位 あさくま(レストラン・ステーキ)28.2%

5位 ブロンコビリー(ステーキ)22.0%

ステーキ業態、中でもサラダブッフェが付いているところが好調だった。ここに来てペッパーフードサービスの「いきなり!ステーキ」が伸び率NO1となり、69.7%と驚異の数字を出している。一時期の低迷から返り咲いた「あさくま」も注目している。

偏った栄養ではなくタンパク質

ということで、中食、外食、いずれも今、精肉が元気である。

さて牛肉の栄養について

加齢にともない、アルブミンの量は少しずつ低下していくので、高齢になるほど肉を積極的に食べることで長寿につながるようです。アルブミンが低下すると、体が乾いて縮み、老化の変化が早く進んでしまうということがいわれています。日本の平均寿命の伸びに大きく貢献したのは、この牛肉を始めとする肉食文化と大きな関係があると考えられています。

出典:ココロとカラダの教科書

野菜をしっかり摂りつつ、タンパク質は必要不可欠であり、なかでも消化吸収の早いとされる牛肉を適度にとることも肝要である。

フードジャーナリスト

神戸女学院大学音楽学部ピアノ科卒、同研究科修了。その後、演奏活動,並びに神戸女学院大学講師として10年間指導。料理コンクールに多数、入選・特選し、それを機に31歳の時、社会人1年生として、フリーで料理界に入る。スタート当初は社会経験がなかったこと、素人だったこともあり、なかなか仕事に繋がらなかった。その後、ようやく大手惣菜チェーン、スーパー、ファミリーレストランなどの商品開発を手掛け、現在、食品業界で各社、顧問契約を交わしている。執筆は、中食・外食専門雑誌の連載など多数。業界を超え、あらゆる角度から、足での情報、現場を知ることに心がけている。フードサービス学会、商品開発・管理学会会員

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