中国東部で猛烈な竜巻発生 鉄塔・住宅倒壊、死者多数
現地時間23日(木)午後、中国東部で猛烈な竜巻が発生し、大規模な被害が出ています。外電によると、78人が死亡、およそ500人がケガをし、そのうち200名近くが重傷とのことです(24日未明時点)。死者の数はさらに増える恐れがあります。
竜巻の風速と被害
竜巻の風速は秒速35メートルと伝えられています。鉄塔が折れ、トラックが逆さに転がり、家屋の屋根や壁が完全に飛ばされるなど、現地では壊滅的な被害が広がっています。
竜巻発生当時の状況
竜巻が発生したのは、23日(木)午後2時半ごろ。場所は上海から北へ約250キロの距離にあり、人口およそ800万人が住む、江蘇省塩城です。地名の由来が「塩の町」であるように、塩産業で発達した海に面した町です。
竜巻発生当時の衛星画像を見てみると、塩城周辺には、厚い雲がかかっているのがわかります。これは梅雨前線に伴う発達した積乱雲です。東シナ海は例年よりも海水温が高いため、暖かく湿った空気が中国東部に断続的に流入し、前線の活動が活発となっていました。
今年は活発な梅雨
中国の竜巻シーズンは夏で、この時期しばしば発生しますが、これほどまでの被害が起きるのは非常に珍しいことです。
実は6月初めにも、中国南部の海南島で珍しい巨大な竜巻が発生し、10名以上の死傷者が出ました。中国では例年よりも2週間ほど早く梅雨が始まり、それ以来いつになく荒れた天気が続いています。
今後の予想
梅雨前線は24日(金)にかけても、中国東部にかかり続ける見込みです。中国気象局は警報を出し、大雨への警戒を呼び掛けています。今回竜巻の起きた江蘇省でも強い雨が降る予想が出ており、救出活動や復旧作業への悪影響が懸念されます。
なお、竜巻をもたらした梅雨前線は日本にも伸びています。今後も停滞する見込みで、特に24日(金)夜から25日(土)にかけては、西日本で大気の状態が非常に不安定となる恐れがあります。気象庁は竜巻への警戒も呼び掛けています。
*追記*
現地の統計によると、江蘇省では1956年からの50年間に1,070個、年間で平均21.4個の竜巻が発生していると言う。