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藤井聡太叡王、タイトル戦12連勝なるか? 叡王戦五番勝負第2局、出口若武六段の相掛かりを受けて立つ

松本博文将棋ライター
(記事中の画像作成:筆者)

 5月15日9時。愛知県名古屋市・名古屋東急ホテルにおいて、第7期叡王戦五番勝負第2局▲出口若武六段(27歳)-△藤井聡太叡王(19歳)戦が始まりました。棋譜は公式ページをご覧ください。

 本局の立会人を務めるのは久保利明九段です。

「それでは定刻となりましたので、出口挑戦者の先手番で始めてください」

 久保九段が声を掛けて両対局者は「お願いします」と一礼。持ち時間各4時間(チェスクロック方式)の対局が開始されました。

 本局の先手は出口六段。初手は飛車先の歩を突きました。コンスタントに好成績をあげている出口六段。特に先手番は高い勝率です。

 藤井叡王はコップに継がれた冷たい緑茶を口にしたあと、こちらもまた、飛車の前の歩を一つ進めました。デビュー以来、ずっと変わらない2手目。相手の作戦をすべて正面から受けて立つ王道の姿勢です。

 戦型は両者ともによく指す相掛かりに進んでいます。

 叡王のほかに竜王・王位・王将・棋聖と、全部で五冠を保持する藤井叡王。タイトル戦の番勝負では将棋界トップの座を争う場であり、当然相手もトップクラスの強敵ばかりです。そこで藤井叡王は26勝4敗(勝率0.867)という恐るべき成績をあげています。

 タイトル獲得数の多い羽生善治九段(99期)、大山康晴15世名人(80期)、中原誠16世名人(64期)、渡辺明名人(30期)は番勝負での勝率は6割前後。それを考えると、まだ対局数が少ないとはいえ、藤井叡王の8割7分近い勝率は驚異的というよりありません。

 そして藤井叡王は現在、タイトル戦番勝負の舞台で11連勝中。本局に勝てば12連勝です。

 昨年の叡王戦第5局では不二家の「コロコロしばちゃん」を頼んでいた藤井現叡王。今年の第2局は手を変えて「コロコロくまちゃん」を選択しました。対して出口六段は昨年の藤井流で「コロコロしばちゃん」です。

将棋ライター

フリーの将棋ライター、中継記者。1973年生まれ。東大将棋部出身で、在学中より将棋書籍の編集に従事。東大法学部卒業後、名人戦棋譜速報の立ち上げに尽力。「青葉」の名で中継記者を務め、日本将棋連盟、日本女子プロ将棋協会(LPSA)などのネット中継に携わる。著書に『ルポ 電王戦』(NHK出版新書)、『ドキュメント コンピュータ将棋』(角川新書)、『棋士とAIはどう戦ってきたか』(洋泉社新書)、『天才 藤井聡太』(文藝春秋)、『藤井聡太 天才はいかに生まれたか』(NHK出版新書)、『藤井聡太はAIに勝てるか?』(光文社新書)、『棋承転結』(朝日新聞出版)など。

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