増えるカラオケ採点番組 ”老舗”『THEカラオケ★バトル』がコンサート開催、CD発売と好調な理由
少なくなる”音楽番組”、増える”音楽バラエティ番組”
最近いわゆる“音楽番組”というと、特番も含めて、歌のうまさを競う“音楽バラエティ番組”が増えている。『歌王2016』(TBS系)、『歌唱力日本一決定戦 歌唱王』(日本テレビ系)、『関ジャニ∞の音楽王No.1決定戦』(テレビ朝日系)、そして『THEカラオケ★バトル」(テレビ東京系)』と、百花繚乱だ。出演者はプロのみ、プロとアマチュア、アマチュアのみ、またジャッジをするのが、審査員のみ、審査員と視聴者参加型、カラオケマシンと、切り口は様々だ。中でも『THEカラオケ★バトル』は“カラオケ採点番組”の草分け的な存在として、安定した人気を誇っている。
様々なカテゴリーでチャンピオンを決め、半年に一度”歌うま”の頂点を決める『THEカラオケ★バトル』
「THEカラオケ★バトル」は2014年にレギュラー化(毎週水曜18時57分~)され、J-POP、演歌、アニソン、アイドル、ミュージカル、宝塚歌劇団…それぞれのシーンで活躍する歌のプロたちが集う「歌の異種格闘技戦」をはじめ、全国の歌うまシンガーから日本一を決める「全国統一!最強歌うま王決定戦」、さらに18歳以下の歌うまたちがハイレベルなバトルを繰り広げる「U-18歌うま甲子園」など、様々なカテゴリーで、大会を開催しているところも人気の秘密だ。そして半年に一度、プロ・アマそれぞれの大会で活躍したシンガーが、”歌うま”の頂点を競う4時間スペシャルで決勝に進出した7人に、“神7”ならぬ「トップ7」の称号が与えられる。
出演者に集まる注目。”絶対女王”城南海、メジャーデビューを果たした林部智史
人気番組だけに、当然業界内外からの注目度は高く、この番組をきっかけに、活動の幅を広げることができた歌手、アマチュアからメジャーデビューを果たした出場者もいる。まず2014年に初めて出演して以来、100点満点を何度も叩き出すなど、最多優勝回数を誇り、絶対女王の異名をとる城南海は、その歌の上手さが多くの人に認知され、視聴者からの声を受け、昨年1月に『サクラナガシ』、6月に『ミナミカゼ』のカバーアルバムを2作品リリース、いずれもロングヒットになっている。そしてトークゲストとして番組に出演した演出家・宮本亜門氏は、城とオペラ歌手・翠千賀の歌を聴き、自身が手掛けるミュージカル『狸御殿』にブッキングしたほど、二人の歌のうまさにほれ込んでいた。
アマチュアとして出場し、2015年の年間チャンピオンに輝いた林部智史は、今年2月シングル「あいたい」でエイベックスからメジャーデビューを果たした。『第58回日本レコード大賞』の新人賞も受賞するなど、注目を集めている。
長年、番組でメインMCを務める堺正章はこの番組の魅力について「プロ、アマ関係なく本当に歌のうまい歌手たちがカラオケの採点を競い合う番組ですから、そこには常に緊張感と臨場感があります。またほとんどの出演者が成長過程の中にいますから、この番組から羽ばたいて、より高みへいってくれるのがとっても楽しみです。スタッフを含めて番組全体がそんな想いをもってやっていますから、その姿勢が皆さんの共感を生んでいるのではないでしょうか。ここから一人でも多くのプロが誕生したら、嬉しいですね」と語っている。ちなみに堺は、最近街中で「あっ“何点だおじさん”だ!」と話しかけられるといい、番組が視聴者に浸透しているのを実感している。
コンサートに続いて、CDも発売決定。”日本一歌のうまいベストアルバム”
視聴者からは番組出演者の声を生で聴きたいという声が多く寄せられ、今年5月4、5日に「THEカラオケ★バトル コンサート」が神奈川・相模女子大学グリーンホールで開催され、番組で活躍中の “歌うま” たちが一堂に会し、5000人を動員。この反響を受け全国ツアーとして行われることも決まり、福岡、岡山、東京で開催される。この勢いはさらにCDの発売へとつながっていった。番組で歌われた曲は、売り上げが上がるという現象も起こっていて、ハイレベルな戦いを制した王者たちがCDで競演する『「THEカラオケ★バトル」BEST ALBUM』が12月21日に発売される事も決定した。このアルバムの発売にあたり、同番組のプロデューサー・柴幸伸氏は「番組を制作していると、「日本にはまだまだ歌の上手い人がたくさんいるんだ」ということにいつも驚かされます。そんな番組の中でも特に上手いシンガー達が、カラオケマシンの得点を度外視して本気で挑んだこのアルバムは、まさに「日本一歌の上手い」ベストアルバムだと確信しています」と語っている。出演者達を一番近くで見守っていた司会の堺正章も「プロ、アマの垣根をこえて歌手たちが心を一つにして作り上げたCD作品というのは、前代未聞だし、歴史的なことですよね。とても面白い誕生の仕方だと思いますし、若い人たちにとってのチャンスに繋がれば素晴らしいと思います。またCDというメディアから発信されて多面的になることで、より多くの人に番組を知ってもらい、番組出演に挑戦する人がもっともっと全国に広がればいいですね」と感慨深げに語っている。
アルバムにはつるの剛士、城南海、林部智史、翠千賀、RiRiKA、宮本美季、中村萌子、角田龍一(U-18四天王)、堀優衣(U-18四天王)、佐々木麻衣(U-18四天王)、鈴木杏奈(U-18四天王)が参加し、カバー曲を中心に全11曲を収録。番組オールスターが歌う、初のオリジナルエンディング曲「Over and Over-夢は終わらない」も収録されている。
精密採点で百分の一を争う、まるで陸上100m競争を見ているようなハラハラ、ドキドキ感に老若男女が夢中に
この番組の影響で、60代以上の世代が、番組で歌われている若い世代の曲をカラオケで歌う事が多くなったといい、名曲がさらに広い世代に広がり、歌い継がれていくという事、さらに名曲の発掘、再評価にもつながっている。
この番組に出演が決まったプロは、カラオケボックスで特訓を重ねる人が多いという。アマチュアはさらに練習を積んでいる。どんどん出演者のレベルがあがり、審査はカラオケ機での精密採点で、百分の一を争うまさにガチ勝負。さらに難しいルールは一切なく、結果がすぐに出るという緊張感はスポーツ、まるで陸上の100m競争を見ているようだ。老若男女がハラハラしながら夢中になるわけだ。