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ラグビーワールドカップ南アフリカ代表戦前日、エディー・ジョーンズHC展望語る【ラグビー旬な一問一答】

向風見也ラグビーライター
今大会限りで辞任。最高の仕事は果たせるか。(写真:アフロ)

9月18日にイングランドで開幕する4年に1度のラグビーワールドカップ第8回大会で、24年ぶりの勝利を目指す日本代表は、19日、南アフリカ代表との予選プールB初戦に挑む。18日にはブライトン・コミュニティースタジアムで試合前日練習をおこない、エディー・ジョーンズヘッドコーチ(HC)がフッカー堀江翔太副将、プロップ畠山健介とともに公式会見に参加した。

以下、ジョーンズHC一問一答の一部。

――きょうの練習について。

「きょうは自信をつけるために(連携を)合わせました。ワールドカップに参加するどのチームも同じですが、緊張感はあります。変更点がひとつ、あります。センターのクレイグ・ウィング。100パーセントの状態ではないので、立川理道と入れ替えました。代わりのリザーブは田村優となります。立川は常にチームとコンビネーションを合わせているので、問題はない」

――ウィング選手の問題は何か。

「長年、ふくらはぎの問題を抱えている。木曜日(16日)にまたそこを痛めてしまい、リカバリーできなかった」

――2007年大会で、対戦国のアドバイザーをしていた。特別な感情は。

「国代表のチームに携われるのは光栄なこと。今回、日本代表のHCとして参加できるのもそうです。ただ、今度の試合はあくまで1つのテストマッチ(国同士の真剣勝負)と捉えています」

――就任以来、「JAPAN WAY」というスローガンを掲げてきたが、この大会で何を示したいか。

「あくまで勝たなければいけない。その方法を探るわけなのですが、我々はハイテンポでボールを動かします。それを遂行する勇気も必要です。すると、強豪相手にも追い込めます。明日は南アフリカ代表の練習試合にはさせない。8年前(2007年フランス大会)。オーストラリア代表は日本代表の試合にBチーム(控え選手主体)を出してきました。4年前(2011年ニュージーランド大会)のニュージーランド代表もそうです。それでも勝てると思われていたからです。今度、南アフリカ代表は強いチームを構成してきた。これはリスペクトを得られているということ。野球に例えれば、やっと、バッターボックスに立てるところまで来たのです。

我々はどのチームよりもハードワークをして、仕事、家族を犠牲にしてきました。日本のラグビー界はユニークで、仕事をしながら…仕事をしているのかどうかわからない人もいますが、まぁ、セミプロのような形でラグビーをしている。この日本代表の力を、明日、証明したいと思います」

――明日への思いは。

「選手は、いままでやってきたことを勇気を持って遂行して欲しい。

そしてレフリーも、そこに大きく関わってきます。これまでワールドカップでは、ティア1(一部の強豪国)に有利な笛を吹くことがある。ただ幸い、明日はフランス人のトップの方(ジェローム・ガルシア)です。そういうことはないように願っています。

日本人には言葉の壁がある。ただ、レフリーには特にスクラムをさばいて欲しいと思います。なぜなら我々はスクラムに自信があるからです。きちんとプレッシャーをかけ、相手をピンチに追い込めるはずです。フェアなコンテストをさせてくれたら。最悪な状況は、1本目のスクラムが崩れた際、日本に『もっと高く組め』と言われること。そうなるとこちらのやりたいことは一切、できない。ルールにのっとって、腰より頭の位置が高い状態で組めば、そんな問題は起こらないと思います。

相手のプロップ(最前列)のヤニー・デュプレッシーは、スクラムの時にぺちゃくちゃ喋って、まるで自分がレフリーであるように振る舞います。ただ、そこは正式なレフリーがさばいてくれたら、我々の有利に働きます。

勝ちに行きます。相手の練習試合にはさせません。ウェールズ代表やイタリア代表にも勝ち、テストマッチでは11連勝もしました。一時、世界ランクは9位になりました。なので、いままでやってきたことの集大成を見せたいです」

【ラグビーワールドカップ2015 出場予定メンバー】

1 三上 正貴(29)

2 堀江 翔太(38)

3 畠山 健介(68)

4 トンプソン ルーク(59)

5 大野 均(94)

6 リーチ マイケル(43)=キャプテン

7 マイケル・ブロードハースト(22)

8 ツイ ヘンドリック(32)

9 田中 史朗(49)

10 小野 晃征(29)

11 松島幸太朗(12)

12立川 理道(39)←クレイグ・ウィング(10・負傷のため変更)

13 マレ・サウ(23)

14 山田 章仁(13)

15 五郎丸 歩(53)

16 木津 武士(37)

17 稲垣 啓太(6)

18 山下 裕史(45)

19 真壁 伸弥(31)

20 アマナキ・レレイ・マフィ(3)

21 日和佐 篤(47)

22 田村  優(33)←立川 理道(39・先発に繰り上げ)

23 カーン・ヘスケス(10)

※()内はキャップ(国同士の真剣勝負への出場)数

ラグビーライター

1982年、富山県生まれ。成城大学文芸学部芸術学科卒。2006年に独立し、おもにラグビーのリポートやコラムを「ラグビーマガジン」「ラグビーリパブリック」「FRIDAY DIGITAL」などに寄稿。ラグビー技術本の構成やトークイベントの企画・司会もおこなう。著書に『ジャパンのために 日本ラグビー9人の肖像』(論創社)『サンウルブズの挑戦 スーパーラグビー――闘う狼たちの記録』(双葉社)。共著に『ラグビー・エクスプレス イングランド経由日本行き』(双葉社)など。

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