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B級1組昇級は丸山忠久九段(51)か? 鈴木大介九段(47)か? 本日3月1日、B級2組最終11回戦

松本博文将棋ライター

 3月1日。第80期順位戦B級2組最終11回戦がおこなわれます。

 B級1組に昇級できるのは成績上位3人。前々節で昇級を決めた中村太地七段(33歳)に続いて、前節では澤田真吾七段(30歳)が昇級を決めています。

 中村七段、澤田七段ともに、誰もが認める実力者。もっと早くB級1組に上がっていても、なんらおかしくはなかったでしょう。

 残るあと1人は、7勝2敗で並ぶ丸山忠久九段(51歳)か鈴木大介九段(47歳)のいずれかとなります。

 前年度成績に基づく順位は、丸山九段は2位、鈴木九段は23位で丸山九段が上位。よって丸山九段は「自力」の立場で、鈴木九段と同成績で並んだ場合には、丸山九段の昇級となります。

「他力」「キャンセル待ち」の立場の鈴木九段は、自身が勝ち、丸山九段が負けた場合に昇級できます。

 対戦カードは次の通りです。

▲丸山忠久九段(7勝2敗)-△中田宏樹八段(1勝8敗)

▲鈴木大介九段(7勝2敗)-△中村太地七段(8勝1敗)

 丸山九段の対戦相手の中田八段は今期不振で、すでに降級点が決定。こうした状況では、昇級を争う成績上位の側が、すんなり勝ちそうとも思われます。しかし決してそうではないのは、順位戦の歴史をたどれば明らかなところ。上を目指す側が敗れた例は枚挙にいとまがありません。

 両者の過去の対戦成績は、丸山九段10勝、中田八段4勝です。

 鈴木九段は前期不振で、降級点を取りました。B級2組では降級点2回で降級となります。鈴木九段は今期、勝ち越しで規定により降級点を消去。そして現在、昇級を争っています。

 鈴木九段の対戦相手である中村七段はすでに昇級を決めています。しかし中村七段がこうした一番を「消化試合」と見て手を抜くなどとは、まったく考えられません。また現実に、中村七段は勝つか負けるかで、来期B級1組における順位も変わります。おそらくは大変な激闘となるでしょう。

 両者の過去の対戦成績は鈴木九段2勝、中村七段2勝の五分です。

 丸山九段は元名人。鈴木九段は元A級です。今年度、丸山九段は23勝11敗(勝率0.676)、鈴木九段は15勝7敗(勝率0.682)と、両者ともに7割近い好成績です。

 鈴木九段は最近、師弟トーナメントでの快進撃も話題です。

 昇級争いの一方で、降級点を回避する争いも熾烈です。はたして、どのような結末が待っているのでしょうか。

将棋ライター

フリーの将棋ライター、中継記者。1973年生まれ。東大将棋部出身で、在学中より将棋書籍の編集に従事。東大法学部卒業後、名人戦棋譜速報の立ち上げに尽力。「青葉」の名で中継記者を務め、日本将棋連盟、日本女子プロ将棋協会(LPSA)などのネット中継に携わる。著書に『ルポ 電王戦』(NHK出版新書)、『ドキュメント コンピュータ将棋』(角川新書)、『棋士とAIはどう戦ってきたか』(洋泉社新書)、『天才 藤井聡太』(文藝春秋)、『藤井聡太 天才はいかに生まれたか』(NHK出版新書)、『藤井聡太はAIに勝てるか?』(光文社新書)、『棋承転結』(朝日新聞出版)など。

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