「神対応」など不要なまともな伴侶と結ばれたい。「選ばれる人」のたった一つの条件
W不倫をしていた元妻と親友に対して、寛大なコメントをしたお笑い芸人の「神対応」が話題になっている。本人も不倫が原因で大きなトラブルになった過去があるため、他の人の愚かさにも寛容になれたのだろう。良い話だ。
しかし、このエピソードから我々が学べることは別のところにある。すなわち、「神対応」などをせずに済むような結婚相手を見つけることだ。配偶者の親友とわざわざ不倫をするような人は常識のある社会人ではない。しかも、その親友は彼女が既婚者であることを知らなかったという。露見したときに、最も社会的なダメージを受けるのは自分自身だ。その程度のことは予測して、自分の欲望をコントロールしてほしい。そうでなければ、生活と家族を共有するのはリスクが高すぎる。
現在進行形で結婚している人ならば、学校や職業を選択するのと同じかそれ以上に、「誰と結婚するのか」は人生の幸福度を大きく左右することを実感しているはずだ。裸同然の自分をさらけ出して寝食をともにし、喜びも悩みも共有して解決方法を探し、老親や子どもの世話をする――。まさに人生のパートナーである。愛情・尊敬・信頼を感じられない相手との生活は、ブラック企業での勤務以上に地獄だろう。どんなに辛い状況でも寝るときぐらいは安心したい。
では、どんな人と結婚すれば幸せなのか。現代の結婚は恋愛が前提なので、各自の好みがあってもいいと思う。ちなみに筆者は、「エキゾチックな雰囲気の美人」で「飲み食いが異常なほど好き」でないと恋愛感情を持つことはできない。
ただし、相手に求める条件を増やし過ぎたり高くし過ぎると、恋愛対象が減るばかりでなく、相手からも条件だけで評価されてしまう。小倉千加子氏(心理学者)がいう「カオとカネの交換」だ。
好みは十人十色だが、結婚生活に向いている性質は一般化できる。「働き者で、ほぼ健康で、親きょうだいとの距離感がほどよく、情緒が安定していて、偏見やこだわりは少なく、情に厚くて、正義感と常識も適度にある人」だ。このような人と愛し合って一緒に住むことができれば、福田雅章氏(法学者)のいう「安心と自由と自信」を同時に得られるだろう。
社会人としての経験があり、同世代の独身者も多い年代(20代半ば~30代半ば)に限って言えば、結婚生活に向いている「まともな独身者」は決して少なくない。感覚的な数字だが、3人に1人ぐらいの確率である。なお、他の2人は「問題を抱えているけれど相性と努力によっては幸せな結婚生活を送れるかもしれない人(不健康、陰険、頑固、卑屈など)」か「絶対に結婚すべきでない人(暴力癖、極度のマザコンファザコン、ギャンブル依存など)」だ。
人為的な危機を引き起こすような危ない人ではなく、穏やかで伸びやかな共同生活を送れる人と結ばれるにはどうしたらいいのか。正解は1つしかない。自分自身が「まともな人」であることだ。自分には厳しく他人には優しい大人であれば、同じぐらいちゃんとした異性から選ばれる可能性が急激に高まる。良き人を紹介してもらいやすくなる。なぜなら、「危ない人」を人生のパートナーとして選ばないことが「まともな人」の重要な要素だからだ。自分が選ぶと同時に、相手からも選ばれていることを忘れずにいたい。