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小野あつこ “あつこお姉さん”としての日々と、これから。「全てが宝物のような時間だった」

田中久勝音楽&エンタメアナリスト
写真提供/ポニーキャニオン

“あつこお姉さん”の6年間の軌跡を辿る作品『「おかあさんといっしょ」 メモリアルアルバム いっしょにうたえば わくわく ひろがる』が発売

4月、「おかあさんといっしょ」の第21代“うたのお姉さん”、あつこお姉さんこと小野あつこが卒業した際は、子どもたちや親世代のファンが“あつこお姉さんロス”に陥り、ニュースにもなったほどだ。広い世代から愛される、ある意味、国民的歌手でもあるうたのお姉さんのその去就には注目が集まる。

6月29日にその6年間の軌跡を辿る作品『「おかあさんといっしょ」 メモリアルアルバム いっしょにうたえば わくわく ひろがる』が発売された。小野に卒業直後にインタビュー。6年間の活動と、この作品について聞いた。

――最終収録はどんな気持ちで臨まれたのでしょうか?そして6年間という日々、長かったですか?あっという間でしたか?

小野 最後の収録の時は、泣いてしまうのでは、と心配でしたが、新しいうたのお姉さん(ながた まや)と一緒だったので、6年前、同じシチュエーションで初めてカメラの前に立った時のことを思い出して、自然と気持ちが落ち着きました。卒業することを発表してから、子どもたちや親御さんから『卒業おめでとう!』『ありがとう!』というお手紙をたくさんいただきました。とてもびっくりしたのと同時に本当に嬉しかったです。私がお姉さんになった時0歳だった子が、小学校に入学しますということを書いて下さった方も多かったですね。そう考えると6年間が長かったようにも思いますし、楽しかったことも大変だったことも全てが宝物のような時間です。

「生で子供たちや多くの方々と、一度限りの時間を一緒に過ごして、それを重ねてきたことが一番の思い出」

――6年間で一番印象に残っていることを教えて下さい。

小野 うたのお姉さんとして全国の多くの子どもたちに会えたという事です。収録も毎回参加する子どもたちが変わるので、同じ雰囲気になることがなく、毎回新鮮な気持ちで収録に臨めました。コンサートでもいろいろな所を回らせていただきました。生で子どもたちや多くの方々と接してきて、一度限りの時間を一緒に過ごして、それを重ねてきたことが、一番の思い出になっています。

――小野さんの子どもたちへの愛情が、画面を通しても伝わってきていました。子どもたちも安心して一緒に遊んでいる様子が微笑ましかったです。

小野 私は元々子どもが大好きで、大学、大学院時代には児童館でアルバイトをしていました。いただいたお手紙に『また遊ぼうね』って書いてくれる子どもたちが多いんです。直接会ったことはなくても、テレビを見ながら一緒に歌って一緒に遊んでいるという、そういう距離感で私たちを感じてくれていたんだなって教えられました。

――この2年はコロナ禍という特殊な状況での番組制作だったと思います。

小野 この2年はコロナ禍で、本当に皆さん大変だったと思います。番組も収録の形も変わりましたが、不自由な生活を強いられている子どもたちや、親御さんたちに、スタジオから元気を届けられたらという思いで毎日臨んでいました。キャストをはじめ制作に携わる一人一人が自分の体調にも気を付けながら、緊張感の中でフォローし合いながら、収録をしていました。

“お姉さんとして子どもたちに伝える”という歌い方

――6年間で何曲位歌ったのでしょうか?

小野 数えたことはないのですが、私が入ってから新しくできた曲だけでも60曲以上はあって、毎月新曲ができる番組ってすごいと思います。大学で声楽を学んだのですが、この番組での歌は、歌い方が全然違うんです。先輩方から『お姉さんにはお姉さんの歌い方がある』と教えられました。どのジャンルにも属さないというとおかしいかもしれませんが、ミュージカルでもポップスでもなく、言葉をすごく大切にして、子どもたちに語りかけるようにというか、“お姉さんとして子どもたちに伝える”という歌い方は、この番組ならではのものだと思いました。

メモリアルアルバムに収録された35曲の中で、一番印象に残っている曲は「ネガイゴト」

CD『「おかあさんといっしょ」 メモリアルアルバム いっしょにうたえば わくわく ひろがる』
CD『「おかあさんといっしょ」 メモリアルアルバム いっしょにうたえば わくわく ひろがる』

Blu-ray『「おかあさんといっしょ」メモリアルベスト またあおうね!』
Blu-ray『「おかあさんといっしょ」メモリアルベスト またあおうね!』

――そんな思い出に残る曲達が35曲収録された、あつこお姉さんの6年間の軌跡を辿る『「おかあさんといっしょ」 メモリアルアルバム いっしょにうたえば わくわく ひろがる』が発売されました。この中でも特に小野さんの中で印象に残っている曲を教えて下さい。

小野 (坂田)おさむお兄さん(第7代)が、コロナ禍の時に作ってくださった『ネガイゴト』という曲です。私も含めて、このスタジオで子どもたちと一緒に歌ってきた歴代のお兄さん、お姉さんが願っていたこと、『みんなが幸せになれますように』ということを、ダイレクトにメッセージにして歌にしてくださいました。この曲を一年ぶりに再開されたコンサートで、子どもたちの前で歌った時にはいろいろな思いがこみ上げてきて、感慨深いものがありました。

「みなさんにどこかでお会いしたいですし、これからも子どもたち関われることを中心に活動したい」

―――これからはどんな活動をしていく予定ですか?

小野 番組とかコンサートに来てくださった方たちから「またどこかで会えたらいいですね」というお手紙や声を頂いて、そういう方たちに、またどこかでお会いしたいというのが、今の一番の思いです。子どもたちに関われることを中心に、何かできたらいいなっていうことを考えながら、あとプライベートでは、健康や食に関しても勉強していけたらいいなと思っています。

『「おかあさんといっしょ」 メモリアルアルバム いっしょにうたえば わくわく ひろがる』特設サイト

音楽&エンタメアナリスト

オリコン入社後、音楽業界誌編集、雑誌『ORICON STYLE』(オリスタ)、WEBサイト『ORICON STYLE』編集長を歴任し、音楽&エンタテインメントシーンの最前線に立つこと20余年。音楽業界、エンタメ業界の豊富な人脈を駆使して情報収集し、アーティスト、タレントの魅力や、シーンのヒット分析記事も多数執筆。現在は音楽&エンタメエディター/ライターとして多方面で執筆中。

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