スリランカ、新内閣の布陣-24年ぶりに女性首相が誕生
スリランカのアヌラ・クマーラ・ディサーナーヤカ新大統領は、就任からわずか2日後の9月24日に新内閣を発表しました。その中でも特に注目を集めたのが、54歳のハリニ・アマラスーリヤ氏が新首相に任命されたことです。彼女はスリランカ史上3人目、そして24年ぶりの女性首相であり、国内外で大きな話題となりました。この動きは、スリランカにおけるジェンダー平等と女性の政治参加の進展を象徴しています。
スリランカは、1960年に世界で初めて女性首相を誕生させた議院内閣制の国でもあります。初代女性首相となったのはシリマヴォ・バンダーラナーヤカ氏で、彼女は夫であるソロモン・バンダーラナーヤカ首相の暗殺後、その遺志を継いで政治の舞台に立ちました。バンダーラナーヤカ氏は、社会主義的な政策を掲げ、農村開発や社会福祉の充実、教育の無償化などを進め、スリランカの発展に貢献しました。彼女のリーダーシップは国内外で高く評価され、世界における女性リーダーシップの先駆けとなりました。
その後、スリランカは大統領制へと移行し、女性リーダーの伝統は引き継がれました。1994年には、バンダーラナーヤカ氏の娘であるチャンドリカ・クマーラトゥンガ氏が、スリランカ初の女性大統領に就任し、母親の後を継ぐ形で政界で女性の存在感を示しました。今回のアマラスーリヤ氏の登場は、この女性リーダーの歴史を継承し、新たな時代を切り開くものとして期待されています。
アマラスーリヤ氏は国民人民権力(NPP)に所属し、長年にわたり社会活動家、大学教授、作家として社会正義や教育の分野で尽力してきました。女性の権利や子どもの教育への取り組みで知られており、今回の首相就任は彼女の活動が評価された結果です。
新政権の布陣-3人の閣僚の役割
新内閣の発表に伴い、アマラスーリヤ首相は以下のような重要な分野を担当することになりました。
・司法、公共行政、地方議会、労働
・教育、科学技術
・女性、子どもおよび青少年の問題、スポーツ
・貿易、商業、食糧安全保障、協同組合開発、産業および起業家育成
・保健
一方で、新大統領のアヌラ・クマーラ・ディサーナーヤカ氏は、防衛や財務、経済開発、政策策定、観光、エネルギー、農業、土地、畜産、灌漑、漁業および水産資源など、国家の根幹に関わる分野を直接管轄します。
また、新内閣の一員であるヴィジタ・ヘーラトゥ氏は、仏教・宗教・文化問題、国家統合、社会保障、交通、高速道路、港湾、民間航空、公共の安全、外交、環境、野生生物、森林資源、水供給、プランテーション、地方・都市開発、住宅および建設など多岐にわたる分野を担当します。
このように、アマラスーリヤ首相は司法や教育をはじめとする広範な政策分野を担当し、彼女のリーダーシップがスリランカのさまざまな分野での改革を推進することが期待されています。
ディサーナーヤカ大統領は、新政府の団結と安定を目指し、迅速に内閣の編成を進めました。新内閣は当面3人で構成される見込みですが、今後の選挙結果や政治状況に応じて組織再編が行われる可能性もあります。11月下旬に予定されている議会選挙を経て、新政権の体制を整える計画が進行中です。
アマラスーリヤ首相の就任は、スリランカ国内外で女性の政治参加やジェンダー平等に対する大きな一歩として評価されています。議院内閣制と大統領制の両方で女性リーダーを輩出してきた歴史を持つスリランカにおいて、彼女がどのような新しいアプローチを現代のスリランカ政治にもたらすかが注目されています。
スリランカ新政権の舵取りとともに、アマラスーリヤ首相自身のリーダーシップと取り組みにも大きな関心が寄せられています。経済政策、教育改革、インドや中国との外交関係などで彼女がどのような役割を果たすのか、その動向が注目されるでしょう。彼女の活躍はスリランカの未来だけでなく、女性の政治参加に対する期待にも大きな影響を与えると見られています。