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渡辺明王将(36)永瀬拓矢挑戦者(28)相掛かりで両者強気の応酬 王将戦七番勝負第2局1日目終了

松本博文将棋ライター
(記事中の画像作成:筆者)

 1月23日。大阪府高槻市・山水館において第70期王将戦七番勝負第2局▲永瀬拓矢王座(28歳)-△渡辺明王将(36歳)戦が始まりました。棋譜は公式ページをご覧ください。

 第1局を制したのは渡辺王将でした。

 本局の立会人を務めるのは久保利明九段。王将位通算4期の実績を誇る名棋士です。今年度王座戦では永瀬王座と五番勝負を戦いました。

 副立会人は糸谷哲郎八段(32歳)。2月に開幕する棋王戦五番勝負では渡辺棋王に挑戦します。

「それでは定刻になりましたので、永瀬挑戦者の先手番で始めてください」

 朝9時。久保九段がそう告げて、両対局者は一礼。対局が始まりました。

 本局の先手は永瀬挑戦者。まずは初手に飛車先を突きました。

 永瀬挑戦者は七番勝負が始まる前、和服ではなくスーツで通すことを宣言していました。第1局に続き、本局もまたスーツです。マスクは最初、地元高槻市のマスコットキャラクター「はにたん」があしらわれたものを使っていました。

 戦型は相掛かりとなりました。序盤から波乱含みの立ち上がりで、33手目、永瀬挑戦者は7筋で桂を取る戦果を得ます。ただし渡辺王将は歩を2枚得て、バランスは取れています。

 永瀬挑戦者は取ったばかりの桂をすぐに右辺の1筋に打ち、さらには左辺中段にも桂を跳ね出し、攻めを続けます。1日目午前中から、驚くような進行の早さです。

 昼食休憩のあと、渡辺王将も反撃。飛金両取りがかかるなど、派手な展開となりました。

 55手目。永瀬挑戦者は渡辺陣に桂を不成で飛び込み、飛金両取りをかけました。対して渡辺王将は「両取り逃げるべからず」の格言通り、どちらの駒も逃げず、永瀬陣に歩を垂らします。すでに終盤の入り口を迎えているといってもいいのかもしれません。形勢はほぼ互角のようです。

 18時。永瀬挑戦者はすぐに57手目を封じる意思を示しました。今期王将戦で初めて2日制タイトル戦に登場した永瀬挑戦者。封じ手を書くのは初めての体験となります。

 永瀬挑戦者が封じ手2通を久保九段に預け、1日目が終わりました。

 明日2日目の対局は午前9時に始まります。

将棋ライター

フリーの将棋ライター、中継記者。1973年生まれ。東大将棋部出身で、在学中より将棋書籍の編集に従事。東大法学部卒業後、名人戦棋譜速報の立ち上げに尽力。「青葉」の名で中継記者を務め、日本将棋連盟、日本女子プロ将棋協会(LPSA)などのネット中継に携わる。著書に『ルポ 電王戦』(NHK出版新書)、『ドキュメント コンピュータ将棋』(角川新書)、『棋士とAIはどう戦ってきたか』(洋泉社新書)、『天才 藤井聡太』(文藝春秋)、『藤井聡太 天才はいかに生まれたか』(NHK出版新書)、『藤井聡太はAIに勝てるか?』(光文社新書)、『棋承転結』(朝日新聞出版)など。

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