高校生平和大使がノルウェーの若者とオスロで交流
被爆地の声を世界に伝えるための活動を行う「高校生平和大使」が、ノーベル平和賞の授与式の開催地であるノルウェー・オスロに3日到着した。
船井木奈美さん(広島 英数学館高校3年)、中村涼香さん(長崎 活水高校3年)、山口雪乃さん(長崎 活水高校1年)は、4日、オスロにある商業高校の英語のクラスを訪問。現地の14人の高校2年生(17・18歳)と交流をした。
高校生平和大使の3人は、英語でプレゼンテーションを行い、活動内容を紹介し、被爆者の声を伝えた。
「世界に核兵器はどれほどあると思いますか?」という質問に、「2500基くらいかな?」と答えたノルウェーの男子高校生。「1万4000基以上」という数字を聞いて驚いていた。
「『核の傘』って、どういう意味?」
「ほかの国にも、高校生平和大使はいるのですか?」
「アメリカが行動を起こしてくれるために、あとどれくらいの署名が必要なんですか?」
「私たちも高校生平和大使の活動に参加することはできますか?」
ノルウェーの若者たちからは、次々と質問が飛んだ。
マティーナさん(17)とセレーナさん(18)は、高校平和大使のことは、この機会がなければ知らなかったと話す。
歴史の授業で、広島と長崎で起きたことは教科書で学んだ。しかし、「過去に何が起きたか」という情報のみで、「被爆者の人体にどのような影響をその後及ぼしたのか」、「被災地は今はどうなっているか」を知ることはなかったという。
「こんなにたくさんの国が核兵器を持っているなんて知らなかった。アメリカ、ロシア、北朝鮮だけだと思い込んでいました」
「被爆者や高校生平和大使が、こんなに活動的に動いていることに驚きました」
核兵器を条約で禁止しようとするICANは、2017年にオスロでノーベル平和賞を受賞した。NATO加盟国であるノルウェーは条約の署名を拒み続けている。
「なぜノルウェーは条約に署名しないのか理解できない。イライラする」とマティーナさんとセレーナさんは口を揃える。
中村涼香さんは、話を聞いてもらえて、充実した交流ができたと取材で語る。「核兵器について知らないことを素直に聞くノルウェーの高校生の姿勢が印象的でした。勉強してきた甲斐がありました」。
今回の訪問先はノルウェー外務省、オスロ市長、ノルウェーノーベル委員会、ノーベル平和センターなどが予定されている。
Text: Asaki Abumi