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朝日杯3度目の優勝を目指す藤井聡太二冠(18)1月17日、本戦1回戦で大石直嗣七段(31)と対戦

松本博文将棋ライター
(記事中の画像作成:筆者)

 第14回朝日杯将棋オープン戦は二次予選が終了しました。過去5回優勝を誇るレジェンド羽生善治九段が敗れるなど、大変な激戦が繰り広げられています。

 前回第13回、並み居る強敵を連破して優勝を果たしたのは、千田翔太七段でした。

 今回のシードは千田七段ら8人。そこに予選勝ち抜き者8人が加わって、合わせて16人が本戦トーナメントを戦います。

 トーナメント表は、先日発表されました。

 過去2回優勝、注目の藤井聡太二冠(18歳)は1月17日、愛知県名古屋市でおこなわれる1回戦で登場。大石直嗣七段(31歳)と対戦します。

 すぐ隣りの山は豊島将之竜王-飯島栄治七段戦。豊島竜王は一宮市、藤井二冠は瀬戸市と同じ愛知県出身です。地元の両者がもし勝ち進めば、同日に指される2回戦では「愛知ダービー」が実現することになります。

2017年、大石六段-藤井四段戦

 藤井二冠と大石七段は過去に3回対戦し、成績は藤井二冠の3連勝です。

 2017年度朝日杯一次予選▲大石六段-△藤井四段戦(肩書は当時)の棋譜は公式サイトで公開されています。

 大石六段先手で戦型は相掛かり。持久戦のあと藤井二冠がリードを奪い、終盤では勝勢となります。しかし大石六段が粘り、上部に逃げ出す形となって、形勢は逆転模様となりました。

 早指しの秒読みの中、最後は人間同士の「指運」(ゆびうん)とも言える熱い戦いとなりました。その上で、後世に棋譜を並べる方のため、現在のコンピュータ将棋ソフト(水匠2)でハイライトシーンの見解を補足しておくと。

・141手目△6一香の王手では、代わりに△6四金としばる手が優る。

・142手目▲6二歩合では▲6四歩の中合が優る。

・143手目△6四金ではなく△6四桂は藤井二冠らしい気づきにくい攻め方。対して本譜の▲6五玉が敗着で△6三金と打たれて受けなしに。代わりに▲7八香と粘っていれば先手有望だったか。

 最後は藤井四段が入玉を阻止。大石玉を押し戻して寄せ切り、166手の熱戦に終止符を打ちました。

 藤井四段は一次予選、二次予選、本戦と破竹の勢いで勝ち続け、史上最年少15歳で初優勝を飾っています。

将棋ライター

フリーの将棋ライター、中継記者。1973年生まれ。東大将棋部出身で、在学中より将棋書籍の編集に従事。東大法学部卒業後、名人戦棋譜速報の立ち上げに尽力。「青葉」の名で中継記者を務め、日本将棋連盟、日本女子プロ将棋協会(LPSA)などのネット中継に携わる。著書に『ルポ 電王戦』(NHK出版新書)、『ドキュメント コンピュータ将棋』(角川新書)、『棋士とAIはどう戦ってきたか』(洋泉社新書)、『天才 藤井聡太』(文藝春秋)、『藤井聡太 天才はいかに生まれたか』(NHK出版新書)、『藤井聡太はAIに勝てるか?』(光文社新書)、『棋承転結』(朝日新聞出版)など。

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